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難しい問題に挑んで、それができたときの喜びとか、
達成感の積み重ねが子どもたちを輝かせます。 

Ability ひとみ幼児教室
山田ひとみさん



Ability ひとみ幼児教室
192-0046 八王子市旭町8-10 比留間ビル4階
042-645-7777
http://www.ability-hitomi.com/






――平成20年度の入試はどうでしたか。
山田 今年は、早生まれの子が約半分いました。3月30日生まれとか4月1日生まれの子もいましたが、こういうケースは教室始まって以来のことです。それでも例年並みの実績を出せたのは、みんながよく頑張ってくれたおかげです。小学校受験というのは、結局のところ、精神年齢が高い順から受かってくるとも言えますが、早生まれの子というのは、いつまでたっても幼稚な部分が残っていて、試験中でも遊んじゃうし、同じ教室の子がいたら手を振ってしまう場合もあります(笑)。勉強はできるようになりますが、どうしても集団行動でマイナス点がつくケースが多かったと思います。

――国立学園(32名合格)、早稲田(一次8名 二次6名合格)、成蹊(6名)、桐朋学園(12名)、暁星(4名)など、難関校に多くの合格者を出していますね。
山田 早稲田の一次では、この教室の「基本クラス」で出題された問題が出ましたが、時間が足りなくて最後まで終わらなかった子は残念な結果でした。桐朋学園の問題は予想がズバリ当たりました。生活巧緻性の紐結び、葉っぱの工作問題は、「桐朋特訓」の授業で同じことをやっていました。桐朋学園は12名の合格をいただきましたが、男子合格者の4人に1人がこの教室の生徒というのは感動的ですね(笑)。

――国立学園の場合、こちらの合格者が募集定員の4割を占めていますが、なぜこんなに合格者が多いのですか?
山田 国立学園はペーパー難関校といわれていますが、ペーパーの枚数をこなすという勉強法では対応できません。たとえば、話の記憶問題を例にとると、○×で回答するのではなく、テスターがお話をした後で質問します。手を挙げさせて、教師が一人ひとりの子どもに「あなたはどう感じましたか」と質問します。手をあげるという積極性、そして表現力がチェックポイントになりますね。

私どもの授業では、ペーパーを利用していますが、なぜそう思ったのか、どうしてここに線を引いたのか、答えは1つじゃなくて、なぜ2つあると思ったのか‥‥普段から授業ではそういうやりとりをしていますから、国立学園の入試とほぼ同じスタイルです。1年がかりで入試のリハーサルをしているようなものですから、合格率が高いのだと思います。

●先取りの知識ではなく、考える力、諦めない力を伸ばす

――こちらの指導の特色は、思考力を重視する学校に強いということですか。
山田 各校とも、先で伸びていく子が欲しいのです。それにはたくさん勉強すればいいということではなくて、どんな勉強をしてきたかが大切です。ある難関校に入った子の例ですが、この学校の競争倍率は高いのですが、問題は、とても簡単でした。たぶん、合格者の多くは、合格するレベルの準備しかしなかったと思います。でも、私どもでは、小学校3年生や5年生で習うようなことでも教えることがありますから、学校に入ってからの伸び方が全然ちがうとその学校の先生からお聞きしています。

――年齢相応の知識があればいいというのが、各校の姿勢ですが‥‥。
山田 ええ、知識はそうだと思います。しかし私どものでは、先取りの知識ではなく、考える力、諦めない力を伸ばしていきたいのです。好奇心を伸ばし、「勉強したい!」という気持ちにして入学させてあげたいのです。簡単なことが完璧にできるということも大事ですが、難しい問題に挑んで、それができたときの喜びとか、一つひとつの達成感の積み重ねが子どもたちを輝かせているんだと思うのです。よく「光っている子」という言い方をしますが、もっと知りたい、いろいろなことを体験したい、そういう意欲とか向上心が子どもを光らせていると思いますね。

あるお母さんが、直前に簡単な問題を出して自信をつけようとしたらしいんです。「すごいね、すごいね」とほめたら、その子は、「お母さん、僕をばかにしている。やめてよ」って怒ったという話を聞いています。難しい問題に取り組むことがすごく楽しいという子どももいます。子どものほうが大人ですね。この精神年齢の高さが合格のキメ手になっています。

子どもの観察力と思考力を育てる実験主体の授業

――こちらでは、魚を解剖して見せたり、ノコギリで角材を切らせたり、カナヅチでクギを打たせたりと、具体物を使った指導に力を入れているようですね。
山田 ええ。子どもの好奇心を育てるにはできるだけ具体物を利用したほうがいいと思います。ペーパーだけの勉強では子どもの心は育ちません。ノコギリは木を切る道具ですとペーパーで教えても、そんなの面白くないでしょ。最初に、トンカチは何で必要なのか、みんなどう思う? と一人ひとりに答えさせます。その上で、実際にトンカチで釘を打たせます。次は、釘抜きで釘を抜かせてみる。子どもの場合、実際に自分で体験することが大切です。「見る」「聞く」というだけでは、好奇心も観察力も育ちません。

鳥をテーマにすることもあります。この鳥はどこに住んでいるのか、水辺に住んでいる鳥なのか、家の近所に住んでいる鳥なのか、森林に住んでいる鳥なのかといったことを一通り教えて、そのあとでカラーで印刷してある鳥の絵をバラバラに切って、その3つの場所に区分けします。そうすると、水辺に住んでいる鳥には足に水掻きがあることがわかります。

じゃあ口はどうなっているだろうか、アヒルの口はなぜ平べったい形をしているのだろうかと子どもたちに質問します。鳥は羽があって飛べる、足は2本くらいはわかっていても、嘴がどんな形をしているのか、足の先がどうなってるかといったことはわかりません。それを気にするということが観察力なんです。

そういう授業を普段から経験していると、動物園に行っても、あの動物はどういうところに住んでいるから、ああいう足になっているんだと気づく。そこまで観察力がつくと絵も具体的に描くようになります。アヒルの嘴や足がどんな形をしているかまできちんと描きます。観察力というのは自然と身に付くものじゃありません。

鳥と一口に言っても「鳥」という鳥はいません。雀、鳩、九官鳥、鷲、フクロウ、アヒル‥‥いろいろな鳥がいます。同じ鳥でも、雀とアヒルの嘴はどうして違うのだろうか、足の形も違うね、なぜだろうね、大人がそういう働きかけをしなければ観察力は身に付きません。答を教えちゃダメなんです。働きかける、それが子どもの思考力や観察力を育てる秘訣だと思います。

私は、「受験だけのための教室」にはしたくないのです。小学校受験というのは、単に合格レベルにもって行くだけなら、そうむずかしいことではありません。でも、今お預かりしている、そして私が教える1年というのは、その子の一生の中で、とても大切な1年ですよね。それを受験のためだけで時間を過ごさせてしまうのは、かわいそうというか、嫌なんですよ。5歳6歳の時期に知っておいてほしいこと、体験させてあげたいことはたくさんあります。だから授業では10を教えます。それらは試験でもきっと役に立つと思います、輝く子どもとして‥‥。

●難問に挑戦することで子どもは一回り大きくなる

――レベルの高い問題に取り組ませると、精神年齢も上がりますか?
山田 ええ。例えば、昆虫の勉強の場合、私どもの授業では、小学校4年生で習うカリキュラムをそのまま利用しています。あやふやに教えるよりは、昆虫は、体が頭・胸・腹の3つに分かれていて、胸から足が3本ずつ出ているんだよと、きちんと教えたほうが子どもは喜びます。教え方次第では、6歳の子どもでも完璧に理解できます。てんびんの問題は、小学校5年生の算数に登場しますが、私どものカリキュラムに入れています。

何で5年生の問題を教えるんだと言われてしまうと何とも言えないですけど、5年生の問題でも、子どもたちは楽しい楽しいって、結構それではまっているんですよ(笑)。実際に国立学園で出題されていますから。むずかしい問題に挑戦してできたとき、子どもは一段上のレベルになっています。知的な能力だけでなく、ひと回り大きくなったという感じです。

――こちらでは魚の解剖をしていますが、試験には出そうにないですね(笑)。
山田 それはそうですけど、観察力を養うというメリットもあります。アジとかイサキをお皿に乗せて、さあ、絵を描きましょうでは面白くないと思いますよ。ここが尾ひれで、胸にあるのが胸びれで、うんちが出て来るのはここよ、これが浮き袋といって、これがあるから浮いていられるんだよ、もうみんな目をギラギラさせています(笑)。魚はエラ呼吸をするとか、背ビレと尾ビレの違いなんて受験には関係ないけれど、ちょっと手をかけてあげることで、背びれとか胸びれとかいろいろ描けるようになります。それだけでも、私はすごく大きな収穫だと思っています。

ジグソーパズルだって、おもしろさがわかってくると、親が顔負けのジグソーパズルができる子もいるじゃないですか。勉強の与え方だと思うんです。子どもは私たちよりもずっと探求心も旺盛だし、もっと知りたいという気持ちが強いので、教え方によってはすんなり入っていくんですよね。だから、勝手に6歳児はここまででいいと決めるのはどうなのかなと思います。

ことしも、受験した学校に全部受かった子が何人かいます。西武文理、桐光、国立学園、成蹊、暁星、桐朋、早稲田と、全部合格した子です。もう一人の子は、国立学園、成蹊、学習院、桐朋、早稲田の1次に受かりました。全部合格するというのは誰にもできることではありません。うちはどこ向けという指導をしていませんが、どこにでも対応できると思っています。自分で考えて、自分の言葉でしゃべるということはすごく大切なんですよね。

もう一つ、私の指導を受けた子どもは、難しい問題にはひるまないですね。めったに「わかりません」とは言いません。これは受験にはとても大切なことだと思います。試験では練習した問題が出ることはほとんどありません。知らない問題、むずかしい問題が出たとき、わからないとサジをなげてしまうか、よしっと頑張るか、その違いは大きいと思います。いつも簡単なことしかしていないと、当日難しい問題が出たら、それだけで真っ白になって何も考えられなくなると思うんです。

●幼児性をコントロールする力を身につけるには

――ペーパー問題はできるけれど、すぐはしゃいでしまうというタイプの子がいます。家庭ではどういうことに気をつけたらいいですか。
山田 やっぱり大人にしていくしかないですね。大人扱いするんです。何かあったときに、どうだからいけないのよということをきちっと教える。教室に来たときにも、今日はお勉強しに来ているんだから遊んじゃだめなのよ。ふざけちゃだめなのよ。廊下を走っちゃいけないのよと、そのつど注意しないといけないですね。 

今年は、早生まれの子が多くて苦労しました。「僕はこれがいいもん」みたいな感じで、人の話を聞かない。鬼になりたくないから、じゃんけんで負けても、「何だよ、もう一回やろうよ」とか言ってお友達にガンつける子もいます。何をやらせてもトラブってしまうんです。その点、大人の子は、もう達観して「いいよいいよ、やっていいよ」なんて言ってくれるから、図に乗ってどんどんやっちゃうじゃないですか。

また、わがままに育てられた子は、幼児性がコントロールできていないのです。これが試験のときに出てしまったら致命的なマイナスです。要するに、しつけができてないんですね。何がだめなのかが自覚できていないのです。「今よくないことをしたよね」と注意してもわからない。「今、先生は怒っているんだけど、何で怒っているかわかる?」「わかんない」「今こう言ったよね」「うん」「それってよくないよね」「ああ?」。もうたまらない(笑)。

――要するに、幼いと‥‥。
山田 ええ。場が読めないというか、とにかく自分がやりたいことをやってしまう。静かにしなさいって言えば、その場は静かにするけれども、言われなければずっとしゃべっている。お母さんは、年長になったから勉強だけすればいいと考えているかもしれないけれど、本当に大事なのは年長に来る前までですね。そこまでに、きちっと我慢させることを教えているかどうか。私は学力をつけてあげられるし、いろんなことも教えてあげられるけれど、4歳か5歳までにしっかりと身に付いた我が儘は簡単には修正できません。

これまでは、1年間預けてもらえばどうにか合格できるだけのものは教えることができました。早生まれでも、みんな志望校に入っていますから。だけど年中までの生活の中で、お母さんが子どもの言いなりになって、わがまま放題にしている子はやっぱり修正がむずかしいのです。上っ面で勉強だけできるようになっても、頭がいいだけでは合格できないのです。難しい学校になればなるほど、その辺のチェックが厳しいと思います。
――ありがとうございました。



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