願書&面接の禁句 「この一行・この一言」がなかったなら・・ |
|
*願書や面接時の一問一答には「この一行・この一言がなかったら」というケースが少なくありません。致命傷になる場合もありますが、たとえ減点にはならなくても、面接官に「この保護者は・・」などと不快感や不安感を抱かせては極めて不利です。お子さんの成績が合格圏内に入っていたとしても合格は微妙です。願書の「この一行」、面接時の「この一言」が合否の分岐点になるとおもってください。 |
|
|
|
|
「この一行・この一言」がなかったら・・添削例その1 |
「赤信号を渡ろうとしている人をみると、相手が大人でも注意するほど正義感の強い子です」 |
|
上は保護者面接で、お子さんの長所を問われたときの回答例です。幼稚園では、ひとりぽっちのお友達をみると、駆け寄って、どうしたのと話しかけてくれると先生にときどきほめられています。お友達が喧嘩をしていればやめろよと仲裁に入ることもしばしばあるようです。
何かを始めようとすると、さあ、みんな一緒にやろうと声がけをするなど、リーダーシップのある子です。
「赤信号を渡ろうとしている人をみると、相手が大人でも注意するほど正義感の強い子です」とつづきますが、この一言が問題です。
志望校に合格するのはこれこれこういうタイプよと周囲から教えられたのかどうかわかりませんが、この一言の何が問題かというと、「強過ぎる正義感」です。正論です。この子は間違ったことを言っているわけではありません。でも、この子の担任になるのは遠慮したいとおもう試験官(教員)がいてもおかしくはありません。こんなにも正義感の強い子どもの親は・・と警戒してしまうのです。
先生! 誰それさんは休み時間が終わったのに、教室に戻ってくるのがちょっと遅れました。
先生! 誰それさんはナニナニを忘れて来ました。
先生! 誰それさんは授業中、ノートにマンガを書いていました。
先生!
「赤信号を渡ろうとしている人をみると・・」の一言は不要です。 |
|
|
|
「この一行・この一言」がなかったら・・添削例その2 |
(志望理由を聞かれて)妻がココがいいと言いました。 |
|
この回答がなぜいけないかというと、「合格しても本気で入学する気がない受験者」とみなされるためです。仮にお子さんの成績が合格圏内に入っていても合格はむずかしいでしょう。入学する気のない受験者を合格させるほど私学はお人好しではありません。
応募者が定員に満たない学校は少なくありません。一部の人気校を除いて多くの校長先生方が頭を痛めているのは、「合格しても入学する気のない受験者の増加」です。試験慣れのため、滑り止めのため・・等々の理由で5〜6校受験はフツーになっています。定員を大きく上回る合格者を出していても、フタを開けたら定員を下回っていたというケースはびっくりするほど多いのが現実です。
「合格しても入学する気のない受験者」をどうチェックするか。その1つが、志望理由です。「妻がココがいいと言いました」は論外としても、ホームページなどからの抜き書きのような志望理由のばあい、面接官は、ひょっとしたら本命校は別にあるのかと疑念を抱くかもしれません。
志望理由は母親が文案を考えて、父親がほぼ丸暗記して答えるというばあいが多いのですが、小学校だけでも6年間、大学までの一貫校であれば16年間、わが子の教育を托す学校選びについて父親としての独自の考えをもっていないのかと批判的な面接官もいます。
保護者面接では、保護者の回答に対して追及するような再質問はほとんどありません。「妻がココがいいと言いました」と答えても、平然として、それはそれは仲のいいことでして・・と笑って次の質問に移ります。「学校説明会の感想をお聞かせください」と聞かれて「私は出席していませんが、妻からいろいろと話を聞いています」と答えたばあい、面接官の心証はあまり良くないとおもってください。 |
|
|
「この一行・この一言」がなかったら・・添削例その3 |
「御校の教育方針とわが家の教育方針は一致しています」 |
|
志望理由をお聞かせくださいと質問されて、御校の学校説明会に出席させていただいた折に・・校長先生のお話に感動しました。まさしく私どもの子育てに対する基本的な考え方に合致しており、ぜひとも・・
志望理由=志望校の教育方針方針と家庭の教育方針の一致という図式で書かれた志望理由です。でも、面接官は教育方針の一致には興味がありませんと言ったら言い過ぎかもしれませんが、知りたいことは別にあります。面接は10分くらいしかありません。自分の学校の教育方針を長々と聞いている時間はありません。御校の教育方針は創立者である誰それセンセイが・・などと「解説」してしまう保護者も少なくないようですが、これはゼッタイに避けてください。
「御校の教育方針と私どもの教育方針が一致しています」と答えることが、なぜ感心できないのか。多くの保護者が願書に書き、面接で口にします。10人や20人ではありません。数百組の保護者が同じようなことを答えます。校長先生方は「判で押したような・・」と言いますが、またか・・とうんざりしているかもしれません。
受験校の教育方針と一致していると断言されるとあまりいい気分ではないと言っていた校長先生もいます。教育方針が一致しているかどうかは志願者が言い出すことではなく、面接官が判断することです。
願書の志望理由欄には志望理由を書かなくてもけっこうです。どんなお子さんかだけをお書きくださいという学校も出て来ました。志望校の教育方針との一致を強調する以外に、なぜこの学校にわが子を通わせたいと思ったのかをお考えください。面接官の印象に残るような一言、文字通り、一言です。それを考えるのがお父さんの役割と思ってください。
|
|
|
「この一行・この一言」がなかったら・・添削例その4 |
「子どもがどうしてもこの学校に入りたいと言いました」 |
|
志望理由を聞かれて、子どもがどうしてもこの学校に入りたいと言いましたと答えるケースがあります。
「正門のすぐ脇にあった兎小屋のうさちゃんが気に入ったようです。門から校舎に向かう途中、きれいなお花がいっぱい咲いていて、たまたまアリさんの行列を見つけて・・」
5歳6歳というと、今、自分がどんな状況下に置かれているのかは理解できています。試験に合格しなければこの学校には入れないことも知っています。学校の門を一歩入ったところから、たくさんの先生方の目が自分とお父さんお母さんに向けられていることも承知しています。ウサギがかわいいからと兎小屋の前で座り込んでいいのかどうか。それぐらいは判断できなければ困ります。試験官の先生方はそういう目でチェックしているはずです。上記の答えではあまりにも幼稚です。
小学校6年間、小中高一貫校なら12年間、大学、大学院までもっている場合、お子さんは16年間通うことになります。5歳6歳の子どもがここに入りたいと言った。かりに、それが志望理由を決めキッカケになっていたとしても、子どもがココがいいと決めましたでは、あまりにも安易です。試験官の多くは首を傾げるでしょう。言っちゃまずい一言です。 |
|
|
「この一行・この一言」がなかったら・・添削例その5 |
「わが子は空手を習っています」 |
|
我が子の長所として空手を習わせているというケースをときどき見かけますが、願書・面接資料には記入しないほうが無難です。
5歳6歳の子どもはスーパーヒーローのマネをしたがります。子ども同士のトラブルが起きれば、空手を習っている子は見よう見まねで空手のかっこうをするとおもいます。子犬がじゃれているようなものです。
でも、相手の子が殴られて泣かされたとしましょうか。子供から話を聞いた親御さんは学校にクレームを持ち込むとおもいます。空手は武器をもっているのとおなじことだぐらいのことは誰でも知っています。5歳6歳の子どもでは空手を習っていたとしてもケンカに役立つとは思えません。しかし、「空手を習っている子どもにわが子を殴られた」ことが具合が悪いのです。
なんでそういう乱暴な子どもがいるのか。礼儀と躾を重んじるのが教育方針ではないのか・・と親は抗議するかもしれません。入学の際に、あるいは家庭調査のときにどんなにチェックを厳しくしても、たとえば皇族が通う学校で皇族がいじめの対象になるのが子どもの世界の現実です。
空手を習っているような子は受け入れたくないのが学校側の本音と思ってください。面接で質問されたときでも、空手を習っていることは伏せたほうがいいでしょう。お子さんにも黙っているように教えておいてください。 |
|
|
「この一行・この一言」がなかったら・・添削例その6 |
「御校であれば、広い視野と想像力を養い、自分の将来を自分で見出していくための土台を築けると考え・・」 |
|
志望理由を聞かれたときに、上記のように答えたら、なぜいけないのかと疑問をもつかも知れませんが、結論を先にいえば、学校は「学びの場」だからです。「広い視野と想像力を養い、自分の将来を自分で見出していくための土台を築」くのは、学校で教えられて身につくものではなく、日々の生活の中で、つまり家庭で身につけてほしいというのが大方の小学校の基本的なスタンスと言っていいでしょう。
御校の児童たちの品格さえ感じられる行儀やマナーのよさをぜひ小学校6年間で身につけさせていただきたいとおもい志願いたしました・・などと、志望理由に書いてあったら、面接官は、この親に育てられた子どもを受け入れていいのかどうか迷うかもしれません。行儀やマナーは家庭でしっかりと教えてほしいということです。
下記は、ある私立小学校の授業教科名です。国語、言葉、算数、理科、音楽、図画工作、体育、英語、書道・古典・・おおかたの小学校もほぼ同じようなものです。これらの授業のどこを探しても、「広い視野と想像力を養う」ための授業は行われている様子はありません。「自分の将来を自分で見出していくための土台」を築けるような授業もなさそうです。
でも、もし、受験校の教育方針に「広い視野と想像力を養い、自分の将来を自分で見出していくための土台を築く」という文言が入っていたとしても、学校に丸投げという保護者であったら合格はむずかしいのではないでしょうか。 |
|
|
「この一行・この一言」がなかったら・・添削例その7 |
「泣いている子がいればすぐ声をかけ、泣き止むまで手を握って・・」 |
|
「どんなお子さんですか」と聞かれたら、上記のように答えるというケースがかなり多いようです。塾や幼児教室などでこう答えるように指導しているのかもしれませんが、面接官は、またか・・とうんざりしているかもしれません。やさしいお子さんですねなどと面接官はさも感心したように聞き入ってくれますが、それはうわべだけのことで面接官の印象にはほとんど残らないとおもってください。
受験校がどんな子どもをほしいとおもっているのかは、いろいろあるでしょうが、受験校が、国立大学や有名私立大学への合格実績を誇る小学校であれば、「泣いている子がいればすぐ声をかけ、泣き止むまで手を握って・・」を強調すればするほど、面接官はシラけるとおもってください。 |
|
|
|
|
|
|
|