2004.12.2

 受験するかどうか迷っていますが、とりあえず入会します‥‥というお便りが少なくありません。今日も2通のメールにそうコメントしてありました。小学校受験にはまだまだ誤解や偏見が多いようです。迷うのは当然でしょう。また、実際に、受験準備を始めると、お子さんとお母さんにかなり負担がかかり、その負担を乗り越えないと合格しないのも一方の現実です。
 お母さんが無駄なことに神経を使ったり、無意味な噂に振り回されたり、お母さんの期待に答えようとして無理して頑張るお子さんたち(いい子ほどその傾向があります)をみると、あまり積極的に受験を薦めることにためらいを感じます。

 小学校受験というのは、本来、お子さんが「無理して頑張る」ようなものではないのです。ペーパーの問題がわからなくて、お子さんが泣き出すというような勉強のさせ方では、それでも頑張ってしまうお子さんが多いのですが、それでは「勉強は楽しい」とか「新しいことを知ることは面白い」とは思わないでしょう。
 小さい頃から、勉強とは「頑張るもの」「我慢するもの」というイメージを植え付けてしまったら、お子さんがかわいそうです。
 勉強嫌いにさせたくない、過度のトレーニングで子どもの性格が変わってしまうのが不安――受験を迷っているというお母さん方の心配はその辺にあるのかもしれません。

 「過度のトレーニングはしないでください」「年齢相応でいいのです」各学校の校長先生が口を揃えてそう言っているのも、頑張って勉強した子は、入学後に伸びきったゴムのように無気力になりやすいためです。頑張るのは入学後でいいのです。

 入試方法は確実に変わりつつあります。ペーパーテストをなくした学校もあります。ペーパーテストを実施しても、なぜその答になったかを一人ひとりの子どもに質問する学校もあります。子どもの地の姿を見たいためです。2、3の学校では、前年の出題を公開するだけでなく、出題の意図を説明しています。「練習しなくても答えられる問題を出すように工夫しています」という学校もあります。

 ペーパーテストだけで合否を決める、あるいはペーパテストの配点を高くしている学校も少なくないようですが、そういう従来からの入試方法をいつまでとり続けることができるのか、その辺、疑問です。いずれ方向転換を迫られると思います。
 小学校入試は大きく変わってきています。子どもに無理をさせなければ合格しない――という学校であれば受験しなければいいだけのことです。



2004.11.29

 電車の中で、こういう光景を見ました。
 お母さんが色紙大の紙に時計の絵を描いて、3歳くらいの男の子に「時間」を教えていました。
「これが7時。朝、パパが会社に行く時間よ」
「長い針が12のところに来て、短い針が7のところ来たら7時よ」
「○○ちゃんが寝るのは、ココ、9時よ」
「じゃ、パパが会社に行くのは何時かな?」
 微笑ましい光景でした。
 
 「時間」は幼児にはわかりにくいでしょうね。リンゴやミカンのように目に見えるモノではなく、長針と短針の位置で時刻を覚えなければなりません。
 でも、興味のあることなら、幼児は貪欲に知識を吸収します。
 ある4歳の子どもは、「土曜日の朝8時」はしっかりと記憶しています。「仮面ライダー」のテレビドラマがあるのだそうです。それが見たくて、「土曜日の朝8時」は真っ先に覚えたようです。
 土曜日の朝。4歳の子どもは、眠い目をこすりながら、壁にかかった時計を見ます。
 幼児の頭の中で、「土曜日」と「朝8時」、厳密にいえば、さらに「10チャンネル」をどうやって覚えたのかというと、要するに、「興味」のあることはすぐ覚えるようです。
 あるお母さんは、こういう方法で時間を教えています。
 「7時になったら、パパを起こしてちょうだい」
 3歳の子どもには「7時」という時間がわかりません。最初のうちはキョトンとしていたようです。毎日くり返すうちに、お母さんが何もいわなくても、時計の文字盤を見て7時になったらパパを起こすようになったそうです。自然と覚えたようです。
 この「自然と覚えた」というのが、幼児教育のコツです。「これはこうよ、こうなっているの」と教えても返事をしません。興味のあることには、「どうして?」「なんで?」としつこいくらいに反応を示しますが、関心外のことには嫌がるか反発します。
 子どもにとって、「時間」というのは、あまり興味を示す対象ではなさそうです。
 「もうちょっとしたら、お風呂に入ろうね」
 「お片づけが終わったら、すぐ出かけようね」
 「そろそろパパが帰って来る時間ね」
 この「もうちょっと」「すぐ」「そろそろ」という時間は、教えようがありません。でも、ふだんの会話の中で何回もくり返して使っているうちにわかるようになります。
 幼児に何かを知ってほしいと思ったら、コツは1つしかありません。我慢と根気です。
 
 


2004.11.16

 このところ、幼児教室選びに迷っているというお便りをたくさんいただきます。体験授業を受けて、その日のうちに入室を決めたという人も少なくないのですが、やはり3〜4教室の体験授業を受けた上で決めるという例が多いようです。

 何人かのお母さんの話を紹介します。
 「1時間の間、私語は禁止。身体がグニャグニャしたり、よそ見をしている子はすぐ注意されました。また、子どもが発言したことに対して、○○ちゃんはこう言いたかったのねと子どもの発言を修正するような指導法でした。型にはめるというか、こうしなさい、ああしなさいという指導法はうちの子には合わないと思いました」
 「5〜6教室の体験授業を受けましたが、どこも合わないと思いました。ある教室に決めたきっかけは、こちらの話をよく聞いてくれ、その上で、お互いの考え方をすり合わせるという指導法でした」
 「ほかの幼児教室と違っていたのは、娘を丸ごと受け入れてくれた点です。受験にマイナスになるのであれば、たとえそれが娘の個性であっても直そうとするのが、ほかの幼児教室の指導法ですが、この教室の場合、短所も個性の一つだから無理に直す必要はない。長所は伸ばしてあげて、短所は見守るだけでいいと言ってくれました」
 「いろいろと習い事をしていました。多くの幼児教室では受験が終わるまで習い事はやめるようにいわれましたが、この教室では、本人が続けたいというならやめさせる必要はないと、押しつけるようなことがまったくなかったのが好感をもてました」
 「お子さんはこういうところがいい、ここを伸ばしてほうがいいなど、具体的に指摘してくれました。どれも的確でした。どんな授業をしてくれるかよりも、娘をそのまま受け入れてくれるかどうかで教室を決めました」

 子どもに合った指導をしてくれるかどうか――これが、幼児教室選びのポイントです。まだ就学前の幼児です。「右向け右」式の指導法は早いかもしれません。紹介したお母さん方も、「ああしなさい、こうしなさいという指導法は、うちの娘には合わない」「娘を丸ごと受け入れてくれた」「どんな授業をしてくれるかよりも、娘をそのまま受け入れてくれるかどうか」という視点で教室を選んでいます。
 お子さんがどんな性格の子どもであり、どんな教え方をしたらいいかをいちばんよく知っているのは、お母さんです。お母さんが、ここなら大丈夫と思ったら、そこに決めていいと思います。

 「あの教室に通わせたから○○校に合格した」「○○先生は教え方がうまい」「近所の○○ちゃんが合格したのは○○先生のお陰」など、いろいろな噂や評判を耳にすることが多いと思いますが、お母さんご自身の目と耳で確かめてください。そして、ご自分の直感を優先してください。そのほうが確かです。
 ついでに、体験授業の後、お子さんの意見を聞くお母さんが少なくないのですが、あまり参考にはしないでください。お子さんは、よほどのことがない限り、ここはイヤだとは言いません。幼児教室の先生方はプロです。ここはイヤだとか、あの先生はキライだなどといわせるような教え方はしません。念のため付け加えます。

2004.11.4

*これから受験準備を始めるお母さん方から、どんな本を読んだらいいかというお問い合わせをいただきます。小学校受験に関する参考書はたくさん出版されていますが、もっとも役に立つ本は何かといったら、出版社の人間がこういうことを言うのはヘンですが、「体験談」です。私どもでも、『ママ、合格した!』という本を出版していますが、読者からの反応がいちばん多く寄せられているのも、この本です。

*この本に登場するのは、こういうお母さんとお父さんです。

●「2歳の男の子を背中におぶって、年中の次女の手を引いて、長女を幼児教室に通わせました」
●「子どもは、最初から最後までスランプのままで、絶好調という状態は一度もありませんでした」
●「主人が子どもの受験に熱心じゃなかったことが救いでした」
●「何とバカげたことをするのか、小学校受験にはそういうイメージをもっていました」
●「勉強はすべてゲーム感覚でした。合格が決まった翌朝も、子どもは『パパ、点図形やろうって』言ってました」
●「私の仕事は9時から夕方6時までです。その間、子どもは保育園に預けていましたが、保育園育ちは受験に不利といわれていました」
●「ペーパーは教室の先生にお任せしました。私が教えたら叱ってしまいますから」
●「どうして同じところを何度も間違うのって、ずいぶん叱りました。そのつど、二人のお兄ちゃんが、今日はそのくらいにしてあげてと妹を庇うんです」

*この本がなぜいいかというと、この本に登場するお母さんお父さん方が「ふつう」だからです。こう申し上げたら失礼かもしれませんが、10人のお母さんお父さんは、「完璧なママ・パパ」ではありません。小学校受験に偏見をもっていたり、感情的になってお子さんを叱り飛ばしたり、ご主人はまったく協力してくれなかったり‥‥まさに、読者と等身大のママとパパです。

だからこそ、「そうよね、理屈通りにはいかないわよね」と共感していただけるのだと思います。読者からは、「受験準備を始める前に読みたかった」「自信がもてた」というお便りをいただいています。ぜひ、お読みください。