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『平成20年度 お入学の本 関西版』より(抜粋)
お受験って、そんなにややこしい世界ですか?


「子どもは2歳半です。去年、義姉の子が有名校に合格しましたので、私の子どもも小学校受験をさせたいと思い、義姉にちょっと相談しました。そうしたら、まず親の生活態度を改めなさい、それからあなたのところでは子どもの躾には無頓着なようだけれど、今のままではどこも受からないと、まあ、とても厳しいことを言われて、受験する気がすっかりなくなりました。小学校受験とはそんなに厳しいのですか」

受験を思い立ってから、実際に入学試験を受けるまでの期間、体験者からのアドバイスだけでなく、いろいろな情報や噂が耳に入ってくると思います。出所不明のいわゆる“噂”の類は無視してもいいのですが、義姉さんの話のように、出所がはっきりしているアドバイスや情報(話)は無視するわけにはいかないでしょう。

同じ教室に通っているお母さんから、誰それちゃんはペーパーの勉強を始めていると聞けば、うちの子もそろそろはじめたほうがいのかと迷います。
「○○校を受験するんだったら、この教室はダメってみんなが言っているわよ」などという話を聞けばやはり不安になります。後から、振り返ってみるとなんであんなことに悩んだり迷ったりしたのか‥‥というのが大半ですが、どんなにしっかりもののお母さんでも試験が終わってみるまでは冷静に判断できにくいのです。

小学校受験に関するかぎり、情報や噂にいちいち振り回されるなと言っても無理なようです。ただ、情報の出所はどこ(誰)か、これだけはしっかりとチェックしてください。情報というのは、どこ(誰)から発信されたかによって信頼度が大きく変わって来るからです。

先輩のお母さん方の話はどうかというと、利害関係は何もないのだから100パーセント信頼していいと思いがちですが、そうとばかりは言えません。先輩のお母さん方のアドバイスは大きく二つに分かれることを知っておいてください。

一つは「うちは何もしませんでした」派です。「ペーパーのお勉強はちょっとやっただけです。躾ですか? うちは何も‥‥」という話を聞けば、それでも合格したのだからと安心しますが、でも、たいていの場合、何もしなかったのではなく、たいへんな努力をしているのです。受験校によっては、「家庭の品格」が重視されるために、「受験準備は大変でした」とは言いにくいのです。「お母様のつくるお料理は何か好きですか」と面接で聞かれたときのために料理教室に通いましたとは、とても言いにくいですね。

もう一つは、「甘く見ちゃいけない」派です。自分も大変な思いをしたのだから、みんなにも同じくらいの、いや、もっともっと大変な思いをしてもらいたいという気持ちがあります。

「幼児教室は1か所? ダメよ、それじゃ。大手と個人レッスンの併用、これは不可欠ね。それから、いずれ受験体操の教室に通わせなければいけないけれど、これは私がいいところを紹介するわ。えっ? そんなに大変だとは思わなかったって? まだ序の口よ。本当に大変なのは、これからよ。というのは‥‥」
ややこしいことを申し上げたようですが、これからお母さん方の耳に入ってくる情報については、まず出所を確認してください。それから動き出しても十分に間に合います。

行動観察のチェックポイントは何か

ほとんどの学校で行動観察を実施しています。行動観察という試験科目がなくても、自由行動や絵画・制作、巧緻性、運動などで、「行動面でのチェック」が行われています。待ち時間を利用して、ビデオ鑑賞、絵本読みなどを上級生と一緒に行う中で行動面をチェックしている学校もあります。「テスト全体」を通して子どもの態度や行動をチェックするケースもあります。

どんな方法で行動観察が行われているかというと、「自由遊び」「椅子取りゲーム」「食事」「制作」「ボール積み競争」「風船遊び」「音楽リズム(歌をうたいながら踊る)」「電車ごっこ」「動物などの模倣」「共同制作」「水族館つくり」「的当て(ペットボトルにボールを投げて倒す)」「身体表現」「お山つくり」「集団制作」など、さまざまです。

行動観察によって、入学後の集団生活に向いているかどうかがチェックされます。ペーパーテストでどんなにいい成績をとっても、協調性がない、自分勝手、我が儘といったところがあると合格はむずかしいでしょう。「椅子取りゲーム」のようにゲーム性のあるものでは、先生の指示を守らなかったり、椅子に座れなくて泣き出したり、あるいはズルをすれば大幅に減点されます。

合否は面接を含めた総合点で決まるといわれていますが、友達にいじわるをしたとかケンカをしてしまったような場合、致命的な減点がつくと覚悟したほうがいいでしょう。泣き出した子どもに対して慰めてあげた場面を試験官がたまたま見ていたというケースもあります。行動観察はどんな子と一緒になるか、組み合わせによる運不運もあることを知っておいてください。

行動観察というと、お友達と仲良くする、先生の言うとおりにする、元気に返事をすればいい点をもらえると思っていると、意外な落とし穴があります。待ち時間の間に試験官に話しかけられて「うるさいな」と言って落ちた子がいます。待ち時間は試験ではないと思っていたから、教えられたとおりの受け答えができなかったのです。試験会場に入るときに、乱雑に脱ぎ捨てたお子さんの靴をお母さんがきちんと揃えて靴箱に入れたところをチェックされたケースもあります。

「自由遊び」とは、会場にブロックや絵本、算数セットなどがおいてあって、文字通り「自由に遊ばせる」というテストです。真っ先に自分の好きなブロックのところに行って遊ぶ子、ブロックで遊んだかと思うと絵本のところに行くなど落ち着きのない子、つまらなそうな表情で遊ぶ子、何をしていいかわからずにウロウロする子‥‥など、さまざまですが、どう評価するかは学校によって違いがあります。「音楽リズム」「動物などの模倣」などでは、創造性や表現力、とっさの機転力、ひらめきの有無などがポイントになるでしょう。「食事」ではしっかりと躾られているかが見られます。

各校とも行動観察を重視するのは、入学後に先生の指示に従わなかったり、自分勝手な行動をとったり、友達と仲良くできない子が年々増えているためです。「学級崩壊」現象は公立小学校だけではありません。私学でも「困った子」が増えているのです。このため入試の時点で子どもの本当の姿を見極めたいのです。


答え方を練習しておいたほうがいい難問

子どもへの質問では、あまりむずかしいことは聞かれないと思いますが、いちおうわが子がどんな答え方をするかを事前にチェックしておくとか、答え方を教えておいたほうがいい場合もあります。

●動物が出てくるお話の中ではどんな話が好きですか
*何度も何度も話してあげているのに、話の名前(タイトル)を教えていなかったために答えられなかったという失敗談があります。「今日のお話は○○だよ」と、ときどき話のタイトルを教えておくとか、話し終わった後、「今日のお話の中にはウサギとカメさんが出て来て、どっちが早いか競争したんだね」くらいの要約をつけ加えておいたほうがいいでしょう。

●あなたの名前は誰がつけてくれましたか
*自分の名前は誰がつけたのか、どんな意味があるのか、パパとママはどんな願いを込めて自分の名前をつけたのか。子どもはとても関心があります。一度か二度、話しておけばずっと記憶に残ります。

●幼稚園の園長先生の名前を教えてください
*クラスの先生だけでなく、園長先生の名前も教えておいたほうが安心です。

●小学校に入ったら何をしたいですか
*3〜4校で同じ質問をしています。「なぜこの学校に入りたいのですか」と志望理由まで子どもに聞く学校もあります。お子さんがどんな答え方をするか、お子さんと話し合っておく必要があります。「この学校に入ったら○○○ができるね」「この学校には○○があって楽しいね」など、子どもにも答えられる範囲で教えておいたほうがいいでしょう。「わかりません」と答えさせるのは感心しません。

●一人で留守番をしていたら知らない人がきました。どうしますか
*返事をしない、ドアチェーンは外さない、パパかママがいるときに来てくださいと伝える‥‥など、子どもがどう答えるかはそれほど重要ではありません。子どもが被害者になる事件が多発している折、日頃、子どもの安全のために親がどんな意識をもって子育てをしているかを知りたいのです。子どもに「わかりません」と答えさせるのは受験対策以前の問題として、親のありようが疑われます。
あるお母さんは、お子さんと幾通りかのシュミレーションをしています。「知らないおじさんが、カブトムシがいっぱいいるところを知っているからクルマで一緒に行こうといわれたらどうする?」「仲良しのお友達が公園で待っているから一緒に行こうといわれたらどうする?」「ママがコンビニで待っているから一緒に行こうといわれたらどうする?」

●食事中にテレビを見ますか
*「それはどんな番組ですか」「どんなところがおもしろいですか」という質問が続きます。

●おじいさまの名前を言えますか
*父親と母親の名前を聞くケースは多いのですが、祖父母の名前やどこに住んでいるかも教えておいたほうがいいでしょう。6歳なら「山梨のおじいちゃん」よりも「○○太郎です」とか「山梨県に住んでいます」と答えられたほうがいいに決まっています。

●この小学校の名前を知っていますか
*これも出題頻度の多い質問です。ある校長に「別の学校の名前を言ったらどうなりますか」と聞いたら、「些細なことです」と笑っていましたが、おおらかな校長ばかりとは限りません。簡単なことですから、事前に教えておいてください。

●仲のいいお友達のどこが好きですか
*「友達の名前を3人言ってください」「仲のいいお友達はだれですか」はよく聞かれる質問ですが、「どこが好きか」は表現力が問われます。どんな質問にも的確に答えられる子どもに対しては、ちょっと突っ込んだ質問をしたくなるかもしれません。難問ですから、しばらく考えて「わかりません」でもいいでしょう。「○○ちゃんはやさしいね」「○○ちゃんと遊ぶと面白いね」など、ときどき話をしておくといいと思います。

●家から学校までの道順を言ってください
*6歳の子どもには難問かもしれません。練習していないと、「家を出て、コンビニの前を通って、駅に着いて、それから‥‥」という説明になってしまうかもしれません。通学経路がややこしいときは、「○○駅から○○駅で乗り換えて、○○駅で降ります」と答え方を教えておいたほうがいいでしょう。


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