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『小学校受験 年長の秋までに身につけたい「お受験力」111
  1 規則正しい生活を送る


 子供の理想とする1日のタイムテーブルを書き出しましょう。5、6歳児は11時間の睡眠時間が必要です。早寝早起きは子供の健康増進の要(かなめ)です。親の都合にひきずられた夜更かしや、夜遅くまでの受験対策の勉強は子供にとっては害にしかなりません。就学前の子供であれば、11時間の睡眠時間を確保するために夜9時までには就寝し、朝は7時前には起床するように親も努力すべきでしょう。
 1日のタイムテーブルが決まったら、徹底的に守るように努力します。週末も大きく変化させません。もし金曜や土曜に10時過ぎまで起きているとすれば、日曜1日で修復は不可能です。月曜に時間のずれを持ち込みながら早起きしなければならず、疲れが取れなくなります。
 保護者面接で、「お子さんの健康に留意していることはありますか?」という質問が頻繁に出ます。規則正しい生活のリズム、バランスのとれた食生活、適切な運動の3点が子供の健康増進には欠かせません。理想論を言うだけでなく、実践しなければ意味がありません。
 睡眠時間が十分な子供は、日中の頭の働き、体の働きが活発になります。目の輝きもあります。同じ受験対策の勉強をするのにも集中力を発揮し吸収も良いはずです。反面、夜型や睡眠不足傾向の子供は日中もぼんやりしがちで、何をしても効率的に行かないようです。
 ニコニコしている子供、キビキビ動ける子供、内側から湧き出る活力を感じさせる子供、賢明な子供。これらの合格しやすいタイプの子供に共通することは、規則正しい生活を送っていることです。規則正しい生活から子供の本来のエネルギーや能力が引き出されるといっても過言ではありません。心身の健康は、規則正しい早寝早起きの生活から始まると考えましょう。
 親は家事や仕事で常に時間に追われ、つい子供をそのペースに巻き込んでしまいがちかもしれませんが、相手は幼児ですから、けじめのある生活を強いることがとても大切です。家事が途中でも子供を寝かしつけましょう。父親の帰宅が遅くても、子供を待たせないほうがよいでしょう。たとえ父親と顔をあわせるのが週末だけであっても、週末の時間を大切にすればよいのです。子供には子供の生活リズムを守ることが非常に重要です。
 受験対策の勉強時間が必要であれば、早朝に行うように切り替えましょう。特にワーキングマザーの家庭では家での学習時間の確保に悩むようですが、早朝こそ活用すべきです。朝5時から7時までの1時間半、じっくり取り組むのです。朝型の生活はメリットがいろいろあります。1日のスタートがすっきり切れる、慌しかった朝が落ち着きのひとときになる、頭のさえている朝は勉強の理解が早い、その日の夕方に同じ範囲を復習することで学習の定着を確実にできる、早起きすれば夜は早々に眠くなるなど、良いことづくめです。
 受験シーズンが間近になれば、ますます早寝早起きが必要となります。朝一番の集合時間である場合や、朝の支度やラッシュなどの交通機関の事情を考えれば、入試当日は早く起床し、早く自宅を出発しなければなりません。それには、遅くとも9月から早起きの習慣をつけておく必要があります。9月から切り替えるくらいならもっと早い時期から切り替えればよいわけで、つまり、夏休み開始と同時に早寝早起きに切り替えます。特に夏は暑いので一石二鳥です。思い立ったら吉日。夏を待たずとも、明日から、1日15分ずつ、起床時間と就寝時間を早めましょう。

★キラッと光る瞬間
ニコニコしている子供、キビキビ動ける子、内側から湧き出る活力を感じさせる子、賢明な子。これらの合格しやすいタイプの子供に共通するのは、規則正しい生活を送っていることです。
★家庭学習のポイント
5、6歳児は11時間の睡眠時間が必要。夜9時までには就寝し、朝は7時前には起床するように親も努力すべきでしょう。



  31 完全文を話す


 幼児の話し方の特徴のひとつが、会話を単語で成立させようとすることです。

 問「今日の朝、何を食べましたか?」
 答「パン」
 問「誰と一緒に朝ごはんを食べたのですか?」
 答「お父さんと弟」

 このような答え方では、小学校の入学考査は突破できません。「パンを食べました」「お父さんと弟と一緒に食べました」と、完全文(主語は場合によっては省略)で話さなければなりません。
 面接ではこの点、つまり、単語だけの応答ではなく、なるべく完全な文で答えることができるかということをチェックしています。面接ではいちいち「それがどうしたのですか?」などとは聞き返しません。できていればプラス評価を得ますが、できなければマイナス評価がつけられるだけです。
 我が家の子供たちがよく言った言葉に、「ミルク!」というものがありました。「ミルクちょうだい」の意味だといことはわかっていますが、「ミルク!」と言われただけでは、私は決して動きません。
 もう一度「ミルク!」と聞こえたら、「ミルクがどうしたの?」と聞き返します。「ミルクが欲しいの。だから、ちょうだい」と子供が言えば、「わかりました。はじめから『ミルクちょうだい』って言えるよね?」と言い聞かせました。
 同様のケースはいくらでもあります。「ご飯!」「靴下!」等々。「何が、どうだ」という構文にせずに単語だけを叫び、おまけに人にお願いごとをするのに、そのような言い方を認めるわけにはいきません。
 家庭でできる対策としては、完全文で話すまで子供に言い直させることです。
 母「今日は誰と遊んだの?」
 子「ゆうたくん」
 母「ゆうたくんと遊んだの、って言ってみよう」
 子「ゆうたくんと遊んだの」
 母「よく言えました。ゆうたくんと遊んだのね。何をして遊ん
   だの?」
 子「お砂場」
 母「お砂場で遊んだの、って言おうね」
 子「お砂場で遊んだの」

 このように根気強く繰り返せば、「私(僕)は、ちゃんとお話しないといけないんだな」とわかってきます。子供でも繰り返し言い直させられることは好みませんので、「はじめからちゃんと言うほうがいいな」と思うようになります。そして、面接でもしっかりした構文で受け答えができるように定着するでしょう。
 親が「これは絶対に身につかせたい」と思うことは、親自身が実践しつつ子供に根気よく教えることが必要だと思います。子供がすぐにマスターしないからといって根負けしてしまうと、子供たちは「なあんだ、やらなくていいんだ」と、あっという間にそっぽを向いてしまいます。

★キラッと光る瞬間
面接では、単語だけの応答ではなく、完全な文で答えることができるかということをチェックされています。
★家庭学習のポイント
親が「これは絶対に身につかせたい」と思うことは、親自身が実践しつつ子供に根気よく教えることが必要だと思います。




   68 正直である



 うそをつく、ごまかす、言い訳をする、ずるをする、考査でどれかひとつでも犯してしまえば合格はあり得ません。幼児とはいえ、年長の秋ともなれば、人間として正しいことと悪いことの区別がつき、正直であることの大切さを知っていなければなりません。つまり、年長になるずっと以前から、親はこれらのことを子供に教えます。それが社会のモラルを守る人間を育てることにもつながります。
 うそをついたりごまかしたりするのは、相手に真実が伝わると不都合があるとわかっているからです。子供の場合だと、怒られるということが最も大きいのではないでしょうか。失敗をしたときに怒られてばかりいる子供は、怒られたくない一心でうそをつきます。親は、悪いことは悪いと叱るべきですが、過度に叱ったり罰を与えたりすることには慎重になるべきでしょう。
 ずるいことをするのも、自分の実力以上に良く見せたい気持ちがあるからです。日頃から幼児教室の講習や模擬試験で、「今日のテスト、絶対に間違いをしちゃだめよ」「今日のお授業、しっかりやるのよ」「○○ちゃんには絶対に負けちゃだめよ」などと親から言われていたらどうでしょうか。
 受験の当日にも「今日は大切な試験よ。がんばるのよ。間違えちゃだめよ」に親からプレッシャーを与えられればどうでしょうか。子供は親の期待を裏切らないようにと必死になり、「良い点をとらなくちゃ」と思い込み、それがゆえにずるいことをしてしまうかもしれません。
 就学前の子供に点数、偏差値重視の価値観を押し付けるのは間違っていますし、過度の期待をかけるのも子供には心の負担にしかなりません。子供は親の期待を敏感に感じ取り、それに応えようと頑張ってしまうものです。その頑張りが、例えばカンニングや友達への裏切り行為などの望ましくない手段に走らせてしまうようであれば、悲劇としか言いようがありません。そもそも、小学校受験は点数のみで合格が決まるものでありませんから、ほかの子供と点取り主義で競争しても意味がないのです。
 子供の正直さ、のびのびとした子供らしさを育むには、人間が正直に生きることの大切さを言い聞かせ、もし失敗することがあってもそこから成長するのだという考えを日ごろから示すことが大切です。
 それはおそらく親の生き方と重なるものです。親自身が自分と世の中に正直に真面目に生きて来て、子供にもそうあって欲しいと願うのであれば、おのずと子供に伝わっていくはずです。逆に、世を欺き、手段を選ばずに自分の利益を追求する生き方を親がしていれば、そのような生き方でやっていけると子供が思ってしまう可能性があります。
 正直に生きていれば時には不利益をこうむることもある、しかしそれは単なる通過点であり、そこからまた人は活路を見出すということを子供には伝えたいものです。子供は、親の顔も背中も常に見ています。まさに人生の手本が親なのです。私も一人の親として、いつもそれは忘れないように、子供に恥じない生き方をしたいと思っています。
 考査では、子供の言動を観察し、正直な子供であるか、素直な子供であるかをチェックしています。考査の最中に受験生間でトラブルが発生することもあるでしょう。たとえそれがある子供にとって意図しない不本意なことであったとしても、言い訳をしたりごまかしたりせず、正直に教師に報告することができれば、その子供はむしろ高い評価を得られるはずです。

★キラッと光る瞬間
年長の秋ともなれば、人間として正しいことと悪いことの区別がつき、正直であることの大切さを知っていなければなりません。
★家庭学習のポイント
正直に生きることの大切さを言い聞かせ、もし失敗することがあってもそこから成長するのだという考えを日ごろから示すことが大切です。


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