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連載企画 願書・面接資料の書き方

第1回


受験対策は願書の書き方から始まる

おおかたの小学校では、入学願書に「志望理由」を記入する欄があります。願書だけでなく、「面接資料」や「調査表」「アンケート」の提出を求めている学校もあります。願書に添付する面接資料には、「本校をどのように知りましたか」「本校のどこを評価しましたか」「お子さんの子育てについてお書きください」といった項目があります。「幼稚園・保育園での生活状況」「お稽古ごと」「本人の長所短所」などの記入を求めているケースもあります。「アンケート」を提出しなければならない学校もあります。

簡単なようですが、いざ、記入する段になると、ほとんどのご両親が頭を抱えることになります。というのも、たとえば、志望理由一つとっても、どう書いていいか混乱するのです。「公立は荒れているから」「仲良しの○○ちゃんも通っているから」「有名小学校だから」「家に近いから」「中学受験に有利だから」「エスカレータ式に大学まで進学できるから」というのが、親御さんの本音です。しかし、それをストレートに書くわけにはいきません。

「御校の建学の精神に深く共感した」とか、「在校生の礼儀正しさに感銘した」「緑が多くて教育環境のすばらしさに惹かれた」など、まあ、ウソとはいいませんが、いずれにしても「心にもないこと」を書かなければなりません。建前を書くというのは意外とむずかしいのです。ほとんどの人は志望校の学校案内やホームページからキーワードを引っ張って文章をつくることになります。

幼児教室の先生からは、学校案内に書かれているようなことを書かないでください、何としてでも入学したいという熱意が感じられません、これでは滑り止め受験がミエミエです‥‥などと、きびしく指導されます。しかし、もともと「心にもないこと」を書くのですから、読み手に熱意が伝わるはずもないのです。これでは面接で何を質問されるかわからないという不安があります。それにお子さんの成績に親の面接点を上乗せすることもむずかしいでしょう。

願書対策からスタートさせるメリットは、願書の記入項目をじっくり検討できることにあります。願書提出期限ぎりぎりになってから書いたのでは、どうしてもありきたりの内容になってしまいます。「判で押したような内容」では、面接官の心を動かすことはできません。一夜漬けと1年をかけた志望理由は大きな違いがあります。

もう一つ、見逃せないメリットというより、願書対策を先行させる最大の利点は、「志望理由」や「家庭の教育方針」「わが子の長所短所」などに沿った対策をとることができる点です。たとえば、「家庭の教育方針」を「思いやりのある子」とした場合、1年をかけて思いやりのある子に仕立て上げることも可能です。「困っている子がいたら、どうしたのと声をかけてあげようね」と折にふれて教えておけば、行動観察のときに、前の子を突き飛ばすようなことはないはずです。

志望校の教育方針が「自主性を重んじる」というのであれば、子供への口出しは控えるようになります。躾や挨拶を重視する学校であれば、1年の期間をかければ何とかなると思いませんか?

受験を思い立ったら、できるだけ早めに志望校を絞り込み、願書対策をスタートさせてください。それが効率のいい受験対策にもつながるだけでなく、わが子にムダな努力をさせなくてすみます。






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