*願書もしくは面接資料の中に、「受験の際に知ってほしいこと」「その他、伺っておいたほうがよいと思われる点がありましたら、なんでもお書きください」などの欄を設けている学校があります。何を書いたらいいか、迷いますね。「願書の書き方講座」でも、難関テーマの一つです。「志望理由」や「わが子の長所短所」よりも書きにくいようです。
*「受験の際に知ってほしいこと」「その他、伺っておいたほうがよいと思われる点」というのは、字句通り、「前もって知っておいてください」という事情があるときに書いてくださいというのが、この欄を設けた趣旨でしょう。たとえば、志願者は半年前から喘息で治療中だが医師の診断では後1年で治癒の見込みであるとか、4歳まで海外で生活していたため、入試の時点では日本語のコミュニケーションにやや難点があるなどの事情です。
*保護者からいえば、合否の判定に際しては、その辺の事情を斟酌してくださいということですが、この欄をPRの場として利用してもいいと思います。PRめいたことを書くのは逆効果ではないかと思う人がいるかもしれません。しかし、そもそも願書・面接資料というのは、こんな言い方をすると気を悪くするかもしれませんが、販売促進のためのパンフレットのようなものです。この商品には何も特徴はありません。それでもよかったら買ってくださいというのは、逆に失礼です。だったら売り込みに来るな(応募するな)と文句を言われます。売り手が商品の特徴や購入後のメリットを強調するのは当たり前と割り切ったらどうでしょうか。
*というのも、6歳の子どもに訓練をうけなければできないような試験を受けさせたり願書や面接資料を提出させるのは、志願者の情報(知的能力や家庭の経済状態など)をできるだけ多く知りたいためともいえます。しかし、ペーパーテスト、行動観察、制作などのテストのほか面接まで実施しても、こんなに手間のかかる試験は小学校受験しかありませんが、それでも期待通りの結果が得られるとは限りません。一定のレベルに達した子を確保できるというメリットはありますが、子どもの素質や将来性まで見抜くのはむずかしいのです。面接にしても、わずか10分足らずの時間ですから、単なる「面通し」というのが実態でしょう。だから、です。合格させるための材料と思うものがあったら積極的に申告したほうがいいのです。
*自己PRといっても、何を書いてもいいというわけではありません。「この子を合格させることが学校にプラスになる」という具体的な材料です。建学の精神に共感した、教育方針がすばらしい、在校生の行儀のよさに感動した、先生方の熱心さに心を打たれたなどということを、いくら並べ立てても「この子を合格させることが学校にプラスになる」という材料にはなりません。
*「願書の書き方講座」に寄せられたある事例を紹介します。「志望理由」がちょっと平凡でした。志望校の教育方針はよく理解できている、この学校で学ばせたいという熱意は伝わってくる、子育てに対する考え方もしっかりしています。文章的にも添削の必要がほとんどない願書だったのですが、学校側に立って読み直してみると、「この子を合格させるメリット」が具体的にイメージできないのです。競争倍率の高い学校ですから、もう少しインパクトのある願書にしてはどうかということから、「お子さんを合格させることで学校側にプラスになること」を考えてもらいました。何回かのメールのやりとりでわかったのが、大叔父が現職の国会議員(委員会委員長経験者)ということでした。学校側にとって、現職の国会議員を身内にもつ子を入学させるのは、やはりプラス材料でしょう。もし、プラス材料が何もない子と同点だったら、どちらを合格させるかです。
*「合格させることのメリット」をどの場面でPRするかは、願書のスタイルや「志望理由」欄との関わりもあります。また、願書・面接資料で手の内をすべてさらけ出してしまうか、面接で質問させるようにもってくるかはケースバイケースです。