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願書は母親が書くケースが多いようですが、父親が書くことをお勧めします。その理由はいろいろあります。まず、本気で入学を希望していることを読み手(学校側)が期待するという点です。母親が書いたものでは本気度が違うという意味ではありません。「父親も本気」であることが推測できるのです。これは大きなポイントになります。
というのは、合格辞退者の続出という問題に各校とも頭を痛めているからです。極端な例では、補欠合格35名中34名が辞退というケースもあります。19年度入試では、幼稚舎を「蹴る」というケースが数件出ています。理由は、東大を狙うのであれば、幼稚舎は第2志望だからです。第一志望校が合格すれば、幼稚舎であろうと何のためらいもなく辞退します。各校とも合格辞退者数は公表していませんが、「かなりの数」と見られています。
学校側にしてみれば、事前に入学の意思を確認したいと思うのは当然ですが、その一つの目安として、「父親が書いた願書」なら本気度がちょっとは違うはず‥‥と期待しているのです。滑り止め受験や試験慣れのための受験であれば、願書は妻に丸投げしてしまうのではないか、あまり根拠のない話ですが、そういうことを言っていた校長もいました。
願書は父親が書いたほうがいいという第2の理由は、それが父親の面接対策になるからです。「志望理由をお聞かせください」とストレートに聞いてくる場合はいいのですが、「お子さんはどんな生き方をしてほしいとお考えですか」などと変化球が投げられてくることもあります。妻が書いた志望理由を暗記しただけではとっさに対応できません。
志望理由や家庭の教育方針などは、簡単なようですが、なかなかむずかしいのです。「どんな子に育ってほしいか」「どんな生き方をしてほしいか」そのために、どう育ててきたか、育てようとしているか、そして、そのことが志望理由にどう結びつくのか、そこまで考えないと、「いい志望理由」は書けません。ですから、かなり苦労しますが、その苦労がないと面接では臨機応変に答えられないのです。
父親が書く願書は少数派ですから、読み手の印象に残るということも考えておく必要があります。「記入者名」を書かせる願書もありますが、多くの場合、父親が書いたか母親が書いたかはわかりません。しかし、男親と女親のどちらが書いたかは、けっこうわかるものです。
この「願書・面接資料の書き方」講座でも、文案はメールで送られて来ますから、筆跡ではわかりませんが、書かれている内容でほぼ推測できます。父親の視点と母親の視点は微妙に違うのです。母親の場合、幼児教室などでアドバイスされていることもあって、志望校のどんなところがよくて志願したのかに力点がおかれていますが、父親の場合、わが子の将来を考えた上での志望理由というケースが多いのです。
「海外勤務が長かったため、15年後のわが子に必要な資質は『言いたいことをはっきり言えること』だと前々から痛感しており、そのように育ててきました‥‥(中略)‥‥だから御校を志願しました」
この志望理由を読んで、本校の教育方針をどれくらい理解しているか不明と判断する試験官がいると思いますか? セオリー無視の志望理由のようですが、「御校の教育方針の○○○は、まさしくわが家の教育方針に合致しており」とか「学校説明会での校長先生のお話に感動し」といった志望理由と比べて、どちらが読み手の心を掴むか明らかです。
長期的な視点から志望理由を書くのは、父親のほうが多いのです。男親は、わが子が将来どんな生き方をしてほしいかに力点を置き、女親は、眼前の合格を見据えているという違いが出ているのです。これはどちらがいい悪いの問題ではなく、まさに男親と女親の視点の違いなのですが、父親が書いた願書のほうが本気で入学する気があるとみられていることも知っておいてください。
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