はじめての幼稚園・小学校受験



第15回●「願書・面接資料の書き方講座」への投稿から

第15回はフリーページです


「願書・面接資料の書き方講座」への投稿より

*この記事は、投稿者本人の承諾を得た上で公表しています。ほぼ原文のままです。

夫は小児科の開業医です。3年前にクリニックを開業しました。子どもは1人(4歳男児)。夫婦共働きのため、1歳から保育園に預けています。最近、私立受験を思い立ちましたが、そのきっかけは、夫の友人(開業医です)の息子さんが私立を受験し、志望校に合格したことを年賀状で知ったことです。

クリニックを受診するお母さん方の中には小学校受験を考えているケースが多く、待合室でもよく話題に出ています。「先生のお子さんも受験されますか?」と聞かれることもあります。夫も私も、相談したわけではありませんが、いずれわが家でも‥‥と考えていました。しかし、このお正月、「受験させようか」と夫に相談したところ、あまり乗り気ではありません。理由は、父親の面接があるからです。「たかが小学校受験のために、何で俺が仕事を休まなければいけないのか」と言います。父親の面接がなければいいのかと聞くと、曖昧に「うん」といいます。

父親が受験に乗り気ではないため、もし、本気で受験準備をスタートさせた場合、母親である私がすべてを取り仕切らなければなりません。クリニックの仕事を終えてから子どもを保育園に迎えに行くのは夜8時を過ぎることもしばしばです。疲れているときは、家に帰ってから家事をする気力も体力もなく、外食する日も少なくないというのが現実です。

4歳の息子が通っている保育園は、しつけや知的な面での指導にも力を入れており、わが子は年齢相応に順調に育っていると思います。仕事柄、同じ年齢の子どもを数多くみていますが、精神面や知能面での発達が遅れているとは感じていません。

「書くことで、漠然と考えていることがまとまるだけでなく、何をしなければいけないかが見えてくる」というアドバイスをいだたきましたので、とりあえず、書き始めてみましたが、私が仕事をやめて、専業主婦にならないかぎり受験は無理という結論になりそうです。

「編集部からのコメント」

「願書・面接資料の書き方講座」では、まず、「わが子は将来、どんな人生を歩いてほしいか」「わが子をこう育てたい」というテーマから書くことをおすすめしています。それによって、今、親がわが子にしてやれることは何かがぼんやりとでも見えてくると思うからです。その延長線上に小学校受験があると思います。わが子の将来像をイメージすることによって、すんなりと志望校の選択、受験準備の基本的な方向まで見えてくる場合もあれば、「受験しない」という結論が出ることもあり得ます。

今回、いただいたメールでは、「仕事をやめて専業主婦にならないかぎり受験は無理」とおっしゃっています。お子さんの将来像を考える前に、目の前のネックの大きさに受験をためらっているのだと思いますが、それほど大げさに考える必要はありません。現に共働きのお母さんがたくさんいます。学校によっては、母親が仕事をもっているのは不利になる場合もありますが、今の世の中、母親は専業主婦であるべきだというような学校は受験しなければいいだけのことです。たいていの学校は仕事をもつ母親を不利に扱うことはありません。ですから、お母さんが仕事を辞める必要はまったくありません。

次に、「母親である私がすべてを取り仕切らなければなりません」とありますが、お母さんがそんなに頑張らなくてもいいのです。今、お子さんは4歳ですから、受験は来年秋です。後2年あります。どんな受験準備が必要か、おおざっぱに申し上げると、今年1年間でやることは、せいぜい次の3っです。

まず自分の身の回りのことは1人でできるようにしてください。パジャマに着替える、寝る前に歯を磨く、お子さんの洗濯物は自分で畳ませる、食べ終わったら、自分が使った箸や食器は片づけさせる等です。

次は、しつけ。就学前の子どもに必要なしつけですから、簡単なことばかりです。挨拶ができる。名前を呼ばれたら返事をする。相手の話をきちんと聞く。静かにしていなければならないときは静かにしている。外に出たときはいろいろなルールがあることも教えください。

3つ目は、規則正しい生活習慣を身につけることです。三度三度の食事をきちんと食べさせる。夜は決まった時間に寝かせる。できれば、1日の時間帯の中に、5分でも10分でもいいですから、椅子に正しく座って何か(本を読んであげるなど)をするということを習慣づけてください。

もうおわかりのように、この3つは、受験するしないにかかわらず、子育てには不可欠なものばかりです。こういったことが受験対策としてではなく、当たり前のこととして身に付いていると受験準備の大半は終わったようなものです。ですから、小学校受験の準備といっても、こう育ってほしいと考えていることを実行に移すだけのことです。母親が頑張るとか必死になってどうこうするという問題ではないのです。お母さんが「ほんのちょっと頑張る」だけでいいのです。ペーパーの勉強は来年に入ってからでも十分間に合います。

ご主人が受験に乗り気でないという理由が、もし、本当に父親の面接にあるのだとしたら、これも心配することはありません。「保護者のどちらか1人」でもいいという学校もあります。また、保護者面接の際に両親の出席を求めている学校でも、仕事の都合でどうしても父親が出席できない場合は、その理由を書いた手紙を提出すればいいと思います。そういうケースはたくさんあります。

つまり、あなたが専業主婦になる必要はまったくありません。また、ご主人が受験に乗り気ではないという点も気にすることはありません。それよりも、まずあなたに考えてほしいことは、お子さんをどう育てたいのか、どんな大人になってほしいのか、それを漠然と頭の中で考えるだけでなく活字にしてほしいのです。「漠然と考えている」というのはシャボン玉のような状態です。ふわふわと漂っているだけです。活字にすることによって、自分の考えていることがはっきりしてきます。その先に、今、親としてわが子にしてやれることは何か、これが見えてきます。これが「書く」ということの大きな効用です。わが子をどう育てたいのか、次の原稿をお待ちしています。





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