――最近の子どもをご覧になってどんな印象をお持ちですか?
寺澤 そうですねえ。わがままになっていることと耐える力がなくなっている、そんな印象です。個性の尊重というか、自由に伸び伸び育てるということを良しとする、そういう風潮は、ちょっと違うのではないかと思っています。
小学校が小学校たり得るのは、社会から、あるいは家庭から、きちっと自立した人間を育てることを期待されていることにあると思います。そのためには、小学生が6年間で身につけるべきことは、基礎的な学力と集団の中で共に生きていくための身の処し方です。
これをしっかりと身につけさせるには、妥協しない、子どもたちにおもねらない、わがままを許さない、そういったことを押し付けてでも身につけさせなければならない、そう思います。そのことがおろそかになると、ひ弱でありながら、わがままで、自己主張だけが強い、そんな子どもができあがってしまいます。それともう一つ大事なことは、他人とのかかわりが希薄になっていることが心配ですね。
――ひ弱でわがままで自己主張の強い子たちは、大人の前では「いい子」を上手に演じます。チェックがむずかしいでしょうね。
寺澤 まあ、そうは言っても、6歳の子どもです。ペーパーテストは、クイズみたいな問題ですけれど、そこそこ出来ても、お友達と仲良く出来なかったり、自分勝手だったり、20分、30分と様子を見ていると、普段の生活ぶりがだいたいのところはわかるのではないでしょうか。
――御校のように競争倍率の高い学校に入るためには、1点でもいい点をとらなければならない。しかし、行き過ぎた受験準備はさせたくない。保護者には悩ましい問題です。
加藤 お尻を叩かれ続けている子どもというのは、どこかきついところがあります。集団の中に入ったときに、負けてはいけないという気持ちが表に出てくるんですね。何か課題を与えられたときでも、真っ先に自分がやらなければいけないと思ってしまう。自由遊びにしても、常に自分が遊びをリードしなきゃいけないという焦りがある。そう教えられているんでしょうね、きっと。
そういう子を見ていると、私たちとしては、この子の本当の表情を見たいと思うんです。おっとりして、そういうことが出来ない子どもというのは、逆に、お片付けとか、あるいは遊び道具が友達と重なったときは、お先にどうぞと身を引くんです。とても穏やかな家庭に育っている子どもという印象を受けます。
その辺をテスター(試験官)は気を付けて見ます。それと、もう一つ、気になることは、子ども同士に話をさせたりすると、言葉もちょっときつく、ときには相手を威嚇するような言い方をする子どもというのは、どういうわけかペーパーがよく出来るという共通点があります。親御さんにはその辺もお考えいただいて指導していただきたいのですが‥‥。
――先生の指示があれば真っ先に手を挙げ、リーダーシップを取るような子が合格するといわれていますから、優秀な子は、当然そういうことになりますね。
加藤 そうですね。うちの先生たちは、どちらかというと、むしろその逆で、しっとりと落ち着いて、言われたことをさっと出来なくても、ちゃんと周りを見渡して自分の場がわかる子どもであってほしい。そういう意味で、落ち着いた子どもがほしいねということは常に言っております。
――ところで、面接の話を少しお伺いしたいのですが、父親の受け答え方によって、本気度というのはわかりますか。
寺澤 お母さんに引っ張ってこられて仕方なしに来た方というのは、入ってきた時点で、すぐわかります(笑)。何か気のないような返事の仕方をするお父さんもいますし、何としてもこの学校に入れてほしいという気迫のようなものを感じる場合もあります。どうしても入学させてほしいという熱意が感じられる家庭のお子さんに入っていただきたいと思うのは当然です。
――第一印象で決まるといわれていますが、見た目で心証が決まるものですか?
寺澤 いや、やっぱりちょっと口を開いていただかないと、なかなか‥‥。それに第一印象で決めたら、僭越だし、危険でもありますね。でも座り方とか、座った後の態度とか、何となく人柄が推測できる場合もあります。
――父親の勤務先は気になりますか。
寺澤 ええ、どんなお仕事をしているかは興味があります。というのは、4年ほど前に「父の会」が設立されました。「母の会」は80年近い歴史があるのですが、父の会は、お父さんたち同士でいろいろ交流があるわけです。IT教育推進とか学校行事の支援とか、危機管理などの分科会がありますから、お仕事の内容によってはご協力いただきたいケースがあります。そういう意味でお父さんの仕事については関心があります。また、ほかのお父さんたちとうまくやっていけるかどうか。お母さんについても、母の会の中で皆さんと協調して活動していただけるかどうか、その辺は気になります。
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