読者の多くは、会社では部下をもっていると思います。自営業の方であれば何人もの社員を抱えているでしょう。管理職として、また経営者としてもっとも気を付けていることの1つはスタッフのやる気をどう引き出すかではないかと思います。
朝、出勤してきたスタッフの顔色をみれば、どんな心理状態かはうすうす見当がつくのではないでしょうか。落ち込んでいるようなときに、叱ったりややこしいことを言うのは避けるくらいの気張りはしていると思います。どんなときに、どんな言葉がけをすればやる気を出すかはご存知のはずです。
5歳のわが子を数検6級(小学校6年生レベル)に合格させた父親が、子どもが勉強したドリルを見て思わず口に出る言葉は、「えっ、この問題がホントにできたの?」です。この子は、父親のこの一言がとてもうれしかったと思います。父親のこの一言が聞きたくて一生懸命ドリルをするのかもしれません。
ある小児科医のパパは、最近、幼児教室に通い始めた子どもの様子を奥さんから聞くたびに、「えっ、そんなこともできたの! それはすごい!」の連発です。両親の話をそばで聞いていた子どもは、得意満面、「明日も教室に行きたい!」と叫んだそうです。往復2時間かけての教室通いに嫌気を示し始めている子どもは、またやる気を奮い立たせています。
どんなときに、どんな言葉をかけたら、わが子は喜ぶか、やる気を出すかは、実は、お父さんはよく知っているはずです。また、叱りすぎてもほめすぎてもいけないこともよくわかっています。にもかかわらず、わが子の場合、会社で部下を自在に動かすようなわけにはいかないのは、要するに、わが子だからです。
気を遣わなくても親子の信頼関係が崩れないとわかっているのです。会社で部下のやる気を引き出すときは「3つホメて1つ叱る(注意する)」というくらいに気配りをするのは、相手が他人だからです。そうしないと信頼関係が維持できないためです。
そこまで気を遣わないのは、親と子の間に仕事感覚を持ち込みたくないと思っているのかもしれません。しかし、わが子だからこそ、意識的に人間関係づくりに注意しなければいけないのです。やる気を引き出すように仕向ける必要があるのです。目の前にいるのはヨソの子と思ったら、言葉はもちろん、お父さんの顔つきまで変わってくると思います。
たとえ盲腸のような簡単な手術でも、わが子の手術はやりたくないという医師は多いようです。幼児教室の先生の中には、わが子の受験準備は別の幼児教室に通わせています。ある私立小学校の教師は、自分の学校を受験させるのに家庭ではいっさい勉強を見てやらなかったようです。「わが子の指導はむずかしい」と言っています。
同じ教室の友達が自分よりよくできていればやっかみもするし、いじわるもしたくなります。やる気も出ません。先生やママに、もっと頑張りなさいと叱られれば気分も落ち込みます。中学高校受験なら本人の自覚に待つこともできますが、5歳6歳の子どもですから、何のために一生懸命勉強するのかわかっていません。
歯がゆいし、腹が立つこともあると思います。しかし、相手の顔色をうかがい、機嫌をとり、そしてやる気を引き出すにはどうしたらいいか。わが子を奮起させる「殺し文句」を知っているのはパパです。