連載企画 願書・面接資料の書き方

第45回

●質問を誘導する一文を盛り込む



(子どもの長所短所)
生き物に関心が強く、庭に出るとレンガをひっくり返したり芝の下を掘って「ダンゴ虫」を見つけ、その動きをじっと観察していることもあります。アリの行列を30分も見ていたこともあり、興味のあることには我を忘れてしまうこともあります。また、パソコンから家族の写真を拡大縮小したり、プリントすることもできます。幼稚園の工作では、お菓子の空き箱でパソコンとマウスをつくり保育園の先生からほめられました。4歳くらいから、ひらがなが読めるようになり、一人で絵本を読むこともあります。3歳くらいから、ゴミをゴミ箱に捨てる、玄関の靴を揃える、雑巾がけをするなどの手伝いもしてくれています。ただ、初めての大人やお友達に対しては、うちとけるのに時間がかかりますが、年長になってからはこうしたところは少しずつなくなっています。


願書の書き方44回で上記のような案文を紹介しましたが、この「子どもの長所短所」を読んだとき試験官はどこに着目するかというと、「パソコンから家族の写真を拡大縮小したり、プリントすることもできます」という箇所だと思います。

というのも、校長の年代は50代後半から60代でしょう。パソコンを苦手とする世代です。仕事の都合上、メールのやりとりやインターネットくらいは利用できると思いますが、6歳の子どもが写真を拡大したり縮小できるというのは、やはり驚きでしょう。「何歳くらいからパソコンを教えましたか?」「最初はどう教えましたか?」などと身を乗り出して質問するかもしれません。

「乾いたスポンジが水を吸い込むような時期ですから、いろいろなことを教えたり、体験させてやりたいと思っています」とか「数遊びのソフトで遊ばせていましたら、いつのまにかパソコンの画面の中にクルマが何台あるとか、5台のうち2台走って行ったら3台残ったなど、自然に足し算や引き算を覚えてしまいびっくりしました」と答えれば、子どもの教育にいかに熱心な父親であるかが相手に伝わります。

「石集めに興味をもつ子」と書いたケースでは、土日のたびに近郊の山に親子で石を探しに行ったとか、新幹線を利用して石の博物館にも行ったとか、夜は父親と一緒に採集した石の絵を描いたり写真にとったりした‥‥という話につなげることができれば、親子の関わり方もわかるし、家庭環境も推測できます。このケースでは、たまたま校長先生も石に関心があったため、面接では石の話で盛り上がったようです。そういう偶然もあるのですね。

学校が子どもの長所短所を書かせるのは、どんな長所短所があるかを知りたいためではありません。面接の質問材料がほしいためです。「好奇心が旺盛で、行動的で、友達が多くて‥‥」といろいろ書いても、抽象的な文言には興味も関心も持ちません。「好奇心が旺盛」では質問のしようがないのです。幼児教室の先生方が具体的にとかエピソードを添えてと指導するのは、要するに、質問したくなるようなことを書いてくださいという意味です。

「1歳から日記を書き始めて大学ノートに50冊くらい溜まった」というケースでは、実際に、何冊かの日記を持参したようです。校長先生も面接に立ち会ったほかの先生も驚いていたようです。「これはすごい!」「よくここまで指導しましたね」と絶賛されたようです。

セールスポイントが何もないという人が多いと思いますが、何か特殊なことを書かなければいけないということではありません。「毎朝、父親と一緒にマラソンをしている」であれば、「朝、起きるのがつらいことはない?」とか「お父さんとどっちが早い?」など、質問材料はいくらでもあります。「ツバメの巣作りから雛が巣立つまでの観察日記」であれば、「親ツバメはどんなエサを運んでくるのかな?」「雛が巣立ったときどう思った?」など、聞きたいことはいろいろあるでしょう。

子どもの長所短所を書くときに注意したいことは、「探求心がある」「思いやりがある」など、決まり切ったことを書かないことです。「ツバメの巣作りから雛が巣立つまでの観察日記」であれば、探求心とか観察力があるなどという「ありふれた言葉」を使わなくても、どんな子で、どんな育てられ方をしているかは相手が想像してくれます。

前回44回では、キーワードとなる言葉を書き出すという方法をお勧めしましたが、この作業の過程で質問材料にするキーワードを予め決めておくといいでしょう。「志望理由」や「家庭の教育方針」「子どもの長所短所」などには、質問材料を盛り込む、これを忘れないでください。

何を質問してくるかを予測して、どう答えるかも準備しておいてください。「子どもの長所短所」というテーマを利用して、「わが家・わが子の特徴」を売り込むのです。その上で、6歳まではこのように育ててきました、これからは御校の指導の下にさらにわが子を伸ばしていただきたいという結論にもっていければ成功です。




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