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「願書・面接資料の添削講座」
 添削担当者から 


このコラムでとりあげている会員さんからの質問と添削担当者からの回答は、実際例をベースにしていますが、プライバシー保護の観点から、個人が特定できないように大幅に加筆・修正したケースもあります。お含みおきください。
 
   保護者から添削担当者へ
志望理由の中で「わが子はどんな子か」をどう書いたらいいかわかりません
   添削担当者から保護者へ

 

「伝える技術(その2)」
願書の段階から合否のふるい分けがはじまっている

 

面接官が知りたがっている情報を伝える。これも「伝える技術」の必須ポイントです。2つの志望理由で説明します。

志望理由A
自分にも他人にも優しく大切にする心と何事にも感謝の気持ちをもち、自ら学び、最後までやり遂げようとする強い力をもってほしいと思ってわが子を育ててまいりました。幼稚園では、お友達が困っていたり、寂しそうにしていることに気づいたら、優しく声かけをして、みんなで仲良く遊べるよう考え工夫することが大事と言い聞かせてまいりました。公園や児童会館へ出かけ、多くの子供たちと交わることで、人との関係や心を理解できるように努めております。休日には、親子一緒に海や山、動物園や水族館や展覧会や音楽会などに出向き体験的活動教育を親子で心がけております。貴校の目指す児童像や教育目標は、まさに私どもの教育方針に通じるものがございます。

志望理由B
志願者の父親である私は学生時代、相撲部に所属しておりました。結婚し、住まいを持ったとき、家の庭に砂地で土俵をつくり鉄砲柱もつくりました。息子が3歳になったときからは、毎朝食事前に、父子共々上半身裸・裸足になり、さらしのまわしを締め、相撲の基本動作を繰り返しています。土俵に上がる時、終了する時の「礼」だけは元気に正しくするようにしています。貴校では、12年間を同一校舎で過ごすことが出来ます。お兄さんやお姉さんへの憧れをイメージしやすく、また大学までの総合学園の、より専門的な本物にも身近に触れることが出来る事は、大変すばらしい環境だと思います。

校長先生は、面接前には願書や面接資料に必ず目を通します。どんな家庭の、どんな子が受験するのか、おおよその状況を把握しておきたいということだろうとおもいますが、願書を読んだ段階で、この保護者にはいろいろと話を聞きたいという印象をもつことがあるようです。

面接官が知りたいことは2つです。1つはどんなお子さんか。もう1つは、志望校のことがどれくらい理解できているかです。

「志望理由A」をその基準に当てはめてみましょう。「自分にも他人にも優しく大切にする心」「何事にも感謝の気持ちをもち」「自ら学び」「最後までやり遂げようとする強い力」‥‥そういう子になってほしいという気持ちはよくわかりますが、「どんなお子さん」かがほとんどわかません。また、受験校のどんなところがよくてわが子を通わせたいと思ったかが書き込まれていません。つまり、面接官か知りたいことは何も書いていないということになります。

「志望理由B」はどうでしょうか。いろいろな意見が出るケースですが、結論を申し上げますと、関西の人気校に合格しました。親子面接では、相撲の話で盛り上がってしまい、母親にも子どもにも質問は出なかったようです。面接が終わった後、不安そうな表情をしていた母親に対して、面接官は心配しないでいいですよと言ったそうです。

「志望理由B」のばあい、どんな子かがよくわかります。どんな育てられ方をしているかも想像できます。親子面接が相撲の話で盛り上がってしまったのは、願書をチェックした段階で、お子さんが致命的なミスをしない限り合格させるつもりだったような気がします。願書は合否には影響させませんという学校が多いのですが、鵜呑みにしないでください。願書は合否に決定的な影響力をもつとおもってください。

 

 



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