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――2008年度の合格状況は如何でしたか。
吉岡 青山37名、学習院55名、幼稚舎52名、成蹊42名、聖心35名、田園雙葉34名、東京女学館39名、立教49名など、例年と比べて大きな変化はありません。
――合格者数は会員の数ですか。
吉岡 はい。入会金を頂戴して、授業を受けに通ってくださっているお子さんの合格数です。
――受験者数は何人ぐらいですか。
吉岡 約1000人です。
――例年、幼稚舎には50名規模の合格者を出しています。幼稚舎に行かせたいならジャックに通わせたらいいといわんばかりの数字ですね。
吉岡 そういうふうに誤解されては困るので、これまで合格実績を公表しなかったのです。2年前からホームページで公表するようになったのは、教室選びの際の参考にしていただくためです。
――幼稚舎を受験する子は何人くらいいますか?
吉岡 いわゆる記念受験という方も含めると、私どもの場合でも合格者の5倍ぐらいは受験していると思います。ただ、最初から幼稚舎を第1志望にしている人は、120〜130人だと思います。
――ジャックの教室に通う期間はどれくらいですか。
吉岡 1年の子も2年の子もいるし、3年前から通っている子もいますが、無理なく合格レベルに引き上げるには、やはり2年の準備期間が欲しいですね。それだけの期間があれば、幼稚舎でも記念受験ではなく、合格の可能性をもって土俵に乗せてあげることができます。どれくらいの指導期間が必要かは、それぞれのお子さんの資質やご家庭の教育しだいですが、どうしても第一志望校に入りたいと思ったら、まず、ご家庭では、受験を思い立ったその日から、志望校に入ったつもりで生活するという気構えが必要だと思います。これは幼稚舎に限らずどの学校でも同じです。
●入室の時点が第一志望校を決めている保護者が7割
――最初から志望校が決まっている子はどのくらいいますか。
吉岡 そうですねえ。私どもの場合、7割ぐらいは、入室の時点で第1志望が決まっているという印象です。この7割という割合が多いか少ないか、読者によって受け止め方がさまざまだと思いますが、最初から志望校が決まっているのが本来のあり方だと思います。公立はいろいろと問題がありそうだからとか、私立ならどこでもいいとか、有名校がいいとか、そういった動機で受験を思い立つというケースが少なくないと思いますが、最初から志望校が決まっている子と比較すると、スタートから差がついてしまっているのです。この差はとても大きいのです。
私が保護者の皆さんに例え話で申し上げているのは、お休みの日に車でどこかに出かけようと決めたとします。箱根に行くのか、中央高速に乗って甲府に行くのか、日光に行くのか。最初から箱根に行くと決めてスタートした人と、どこへ行くか決めないで、都内をぐるぐる適当に回っているうちに、何となく箱根がよさそうだからと箱根に行くという人とは、目的地に着く時間に相当の差がつきます。むろん箱根に行こうと思って走り出しても、途中で変更は可能ですが、その方角が90度違うとかなりの時間のロスを覚悟する必要があります。
ましてや箱根に行くつもりで走り出してから、日光に行くというのは無謀というか無駄が多い(笑)。いったんスタート地点に戻らなければなりません。小学校受験も同じことで、どこを受験するかは早く決めたほうが有利ということです。
――最初から志望校を決めている保護者が多いということが、難関校に多数の合格者を送り出す一つの素地になっていますか。
吉岡 ええ。自分の子育て全般というものを考えた上で、なるべく子どもにはいい環境を与えてやりたい。自分が育てたい方向に合う学校を選びたいと思って私立を選ぶ保護者と、公立には行かせたくないから、私立を選んだという方の2つのタイプがあったとすると、学校側はどちらの家庭の子どもがほしいのか、やはり前者です。
後者の場合、学校がすることに異論を唱えたり、いろいろな摩擦が生じる心配があります。最初から、志望校を決めている家庭の場合、志望校が求める子ども像に合わせた子育てをしてきたとか、家庭環境を整えているケースが多いのです。私どもの場合、そういう方々の中で過ごすメリットも大きいと思います。親御さん自身、襟を正すというんでしょうか。あの方はこんなふうにしていらっしゃる。こちらの方も、いつもきちんとした身なりでいらしている。こんな格好では恥ずかしいという意識が出てくると、服装一つとっても、見直すべき点がたくさん出てくると思います。子どもにしても、デキる子どもの中にいることが大きな刺激となります。
●クルマの駆動輪の役割をもつ受験体操コース
――なぜ幼稚舎を始め難関校への合格者が多いのか、もう少し具体的にお話しください。
吉岡 ジャックが創立したのは1969年です。もともとはスポーツクラブとして発足していますから、体操に独自のカリキュラムをもっていることが大きな特徴です。また、入試や合格がゴールではなく、その先を目標にしょうという伝統があります。それが合格率アップの原動力になっているかなという感じはします。
みなさんは、受験体操というと、すぐ指示行動をきちんと守ればいいと思うかもしれませんが、私どもの場合、そういう要素だけではなく、ゲームをしたり、いろいろするわけです。その中で、今自分はどう動いたらいいんだろうか。自分がルールを守っているのに、相手がルールを守らないときはどうしたらいいのか。受験体操の中でそういう経験を数多く積み重ねることができます。
また、受験を目的としない一般の体操教室の場合、跳び箱もやがて跳べるようになればいいとか、逆上がりもそのうちできるようになればいいという指導の仕方をしているかもしれませんが、私どもの場合は、この日までに縄跳びを20回跳べるようにしようという目標を設定して、それを達成するためのコツを教えています。壁を乗り越える精神力とか達成感を味わう、この繰り返しがたくさんカリキュラムにふくまれているわけです。
ジャックの受験体操というコースは、クルマの駆動輪のような役割をもっています。ペーパーの勉強が前輪です。駆動輪がしっかりと動かないと前に進めません。方向を変えたり、ペースを速めたり落とすのも駆動輪の役割です。そういう関係です。ですから、入試に体操のない学校が第1志望であっても、受験体操コースをお勧めしています。直接的には行動観察対策にもなりますし、ペーパーの授業では学べない多くのものを身につけることができるからです。
――受験体操のクラスは希望制ですか。
吉岡 ええ。約6割のお子さんが受講しています。うちの子はどうも伸びないんですお母様からご相談があったときに、ジャックでは体操コースをおとりになっていないけれども、どこかでやっていらっしゃるんですかとお聞きする場合もあります。待っているときの姿勢のことも注意してくれない。できてもできなくても何も言われない。そういうような教室だと、やはり違いが大きいのです。単に運動能力を上げましょう、楽しく体を動かしましょうというだけだったら、ジャックの受験体操を受けられたほうがいいとお勧めしています。
●多くの合格実績があるから効果がある学校別対策
――学校別対策ではどんな指導をしていますか?
吉岡 このコースは、夏休みから最後の4カ月ぐらいまでです。志望校によっては、11月スタートで丸々1年間授業を受けていただくという場合もあります。入ったときからベーシックなコースと学校別コースと両方とる方もいらっしゃいます。最初の1年間は学校別コースをとらずに、新年長の子の11月から、学校別をとるというほうが準備としては無理がないですね。
これは学校によっても違いはあります。4月スタートという学校もあれば、2月スタートの学校もあります。幼稚舎などは11月スタートです。それらの学校は、ここまでできたら合格圏内に入ったとかもっと頑張ろうという目安をたてるのが容易ではないからです。ペーパーを与えて、「これはこういうやり方をやりなさい。はい、マスターしましたね、次に行きましょう」というわけにはいきません。時間がかかります。
学校別コースをつくったころは、どういうふうにカリキュラムを組んだらいいのかを随分考えましたが、入学試験の問題などを見て、これはこの辺をチェックしているなということがかなりわかるようになっています。それを次の年の授業の中に織り込むということを毎年繰り返して行って、だんだんカリキュラムが充実してきたということです。
――学校が欲しい子どもはわかりますか。
吉岡 ぼんやりとしたイメージですが、だいたいのところはわかります。「ぼんやり」という言い方をしたのは、合格した子のタイプにはかなりの幅があるからです。とかく保護者の方は「うちの子はリーダーシップがないからA校には入れない」などと、狭い範囲で考えてしまうようです。倍率が高い学校ほど狭き門というイメージがありますから、「これもダメ、あれもダメ」となるのでしょう。
もちろん、ある一定のカラーというのはあると思います。私立には建学の精神があり、学校によって目指すところが違うわけですから。それを校風と呼んでいるわけです。しかし、実際には、どの学校でもいろいろな子がいます。いや、様々な性質の子がいるほうが良いのです。もし、リーダー型ばかりが揃ったら先生は困りますよ(笑)。
ですから、知り合いのお子さんだけを見て、決めつけるのは間違いだと思います。2〜3人の合格者をベースにして受験準備をするのでは、指導の幅を狭くしてしまいます。何が何でも一定の枠の中に押し込もうとしますから、それが逆効果になることもあるでしょう。そういう意味では、3〜4人の合格者を見ているよりは、毎年多くの合格者を見ているほうが、的確な指導ができることは確かでしょう。
――学校によっては、欲しい子の基準が変わることがありますか。
吉岡 評価の重点が変わることはあるでしょうね。合格基準が微妙に変化している例もあります。ある人気校の場合、自分たちがゼロから育てたいというイメージで合否を決めていたような気がします。学校で原石を磨くという姿勢ですね。ですから、表面には現れなくても、奥にキラリと光るものを持っているというお子さんが多かったように思うんです。
でもここ1〜2年は、学校生活にすぐに入っていける、つまり、人の話がきちんと聞けるような受験準備をしてきた子が増えている印象を受けます。原石を見つけて光らせるというのは非常に難しいですからね。思ったように光らないリスクもあるでしょう。だからちょっとリスクヘッジをしたのかなと感じています。そういうことからも、「このようなタイプの子は受からない」「うちの子は○○校タイプ」と狭い範囲で決めつけない方がよいと思います。
●入試問題は「何が出たか」ではなく、「なぜ出たか」が重要
――保護者へのアドバイスをお願いします。
吉岡 保護者向けの講座を通してお伝えしていることの中から、お話しします。例えば父親講座では、父親が家庭の中でどんな役割を持っているのか、というようなことも考えていただいています。その理由は、最近の面接は質問の範囲が広く、多岐に渡るからです。パンフレットやホームページに載っていることを答えるだけでは、学校の先生を満足させることはできないでしょう。先ほど申し上げたように、幼稚舎に限らず、志望校にお子さんを通わせているつもりになって日々の生活を見直すと良いと思います。
小学校受験は親の受験などと言われていますが、まず、ご両親が変わる、そこがスタートです。過去の入試問題ばかりを追いかけていると、ある年に急に出題傾向が変わったときに対応できません。きちんとその学校に向けて、根本的なところから理解して準備しておくことが大事です。入試問題は「何が出たか」ではなく、「なぜ出たか」が重要なのです。
そして、数字に踊らされないことです。合格者が多いからこの塾に入っていれば安心というのは大きな勘違いです。昨年受かった子と今年の子は別人なのですから。塾を選ぶ際にも、そういった数字ですぐに決めるのではなく、授業内容・先生の質・子どもとの相性・情報の正確さなどで判断することです。それにはまず保護者の方が教室を見学し、体験授業を受けたりして、ご自分の目で確かめることが大事だと思います。
――ありがとうございました。
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