はじめての幼稚園・小学校受験

第5回●親の面接対策は二の次でいい

面接対策というと、入試直前で間に合うと思っているかもしれませんが、それは親の面接であって、肝心のお子さんの準備はそれではとても間に合いません。

そもそも小学校受験は子どもの試験であって親の試験ではありません。どんなに家柄がよくて、学校側がびっくりするほどの寄付金を積んだとしても、この子は手に負えないとなったら合格させることに躊躇するでしょう。親の社会的名声やコネが神通力を発揮するのは、子どもが普通に育っていることが大前提です。コネや寄付金の額がモノをいう世界であっても、要は、子ども次第です。ですから、面接対策にしても、子どもの準備はどうしたらいいか、それを重点的に考えなければいけません。親の面接対策は二の次でいいのです。一夜漬けでも何とかなります。

しかし、子どもの場合、一夜漬けは通用しません。夏休み前から一問一答の練習をしてきたとしても、子どもにとっては一夜漬けと同じです。もし、練習していない質問や子どもが経験していなかったようなことを聞かれた場合、あなたのお子さんはとっさに答えられますか?
 「電車の中で切符をなくしたらどうしますか?」
 「お母さんもお父さんもいないときにお客様が来たらどうしますか?」
わからなければ、「わかりません」と答えなさいと教えてあるかもしれません。でも、「降りた駅で駅員さんに相談します」と答えることができた子どもがいれば、当然、「わかりません」と答えた子どもよりも評価は上です。

関西地区のある小学校で、「デパートに買い物に行ったとき、お母さんとはぐれたらどうしますか?」という質問をしました。下を向いて黙ってしまった子、お母さんに助け船を求めた子、わかりませんと答えた子、答えられずに泣き出してしまった子などが大半だったようですが、「お店の人に訊く」と答えた子も何人かいたそうです。事前に練習していない質問に対して、どんな反応を示すかを知りたかったと言います。

子どもへの質問というと、どうせありきたりの質問しか出ない、子どもよりも親の面接対策が大事と思っているかもしれませんが、油断はできませんよ。
「幼稚園の名前は何といいますか」「仲のいいお友達のお名前を教えてください」「電車の中でお年寄りが立っていたらどうしますか」――毎年のように同じような質問がくり返されていますが、学校側も、こんなことでは本当に優秀な子は見抜けないと気づくと思います。

誰でも簡単に答えられる質問だと、当然、みんなが十分に練習してきますから、面接ではみんなが同じように答えます。1人でも優秀な子を確保したいと真剣に考えている学校なら、誰でも答えられるような質問をするとは思えないのです。

こんなときは、どうしたらいい? という経験を日常生活の中で学習させておく必要があります。つまり、話が間遠くなりましたが、子どもの面接対策は一夜漬けでは対応できないのです。受験を思い立ったときからスタートさせてください。
(2004.10.15)

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