はじめての幼稚園・小学校受験

第1回●「お受験の常識」を疑うことから受験準備はスタートする

 小学校受験にはいろいろと間違いや誤解が少なくありません。「それはおかしいですよ」といったことまで含めると、間違いや勘違いだらけと言ってもいいでしょう。

 ある人気校の校長が、講演会のときに、「お子さんと一緒にお風呂に入ったら、いろいろな話をしてあげてください。一つ、二つと数を教えるのもいいと思います」と話したら、面接で子育てについて聞かれた父親の多くが、「子どもと一緒にお風呂に入って、一つ二つと‥‥」と答えたそうです。

 どう思いますか? ちょっとおかしいですね。校長の話を志望理由などに盛り込めば面接の評価が上がると思ってのことでしょうが、この場合は逆効果です。これに類した話はそれこそヤマほどあります。

 まず、「お受験の常識」を疑うことから受験準備をスタートしてください。たまたま、これを書いているときに、読者から次のような問い合わせがありましたので、その話から始めます。

 「幼稚園ではとても活発でおしゃべりなのですが、知らない大人やお友達の前では、とたんに無口になってしまいます。声も小さくて聞こえません。内弁慶というか人見知りをするタイプです。それに集中力もありません。入試は1年後ですが、面接のことを考えると、このままではとても合格できません」

 内気、消極的、集中力がない、友達が少ない、動作が遅い、すぐ泣く‥‥そういう子は合格しない。どうも、合格するタイプはこうだと先入観をもっている親が少なくないようです。

 ひょっとすると、合格するタイプは「目がキラキラ輝いている子」「挑戦意欲がある子」と思いこんでいませんか? そんなことはありません。学校側だって、「目がキラキラ輝いている子」ばかりをほしいと思っているはずがありません。気持ちが悪いですね、もしそういう子ばかりだったら‥‥。

 「おたくのお子さんは○○校向きね」「○○校だったら、○○教室がその学校とつながりがあるわよ」などという会話がお母さん方の間で飛び交うと思いますが、そんな話に惑わされないようにしてください。
 
 「声が大きい子もいれば声が小さい子もいる。駆けっこの早い子もいれば運動が苦手な子もいる。算数が得意な子もいれば絵が得意な子もいる。リーダーシップをとる子もいればとれない子もいる。いろいろな子がいていいのです。そういう中で子どもは成長するのです」と、その校長は言います。

 ただ、合否の判定に際しては、校風に合う・合わないという違いはあります。たとえば、「お母様・お父様」と呼ばせている家庭でないと合格はむずかしいというケースがあります。「行って来ます」と「行って参ります」「ただいま」と「ただいま帰りました」の違いにこだわる学校です。

このタイプの学校では、「お母様・お父様」と呼ばせているような家庭の子どもが自然と多くなります。そういう学校に、お父さんがステテコ一枚で家の中をウロウロしているという家庭の子どもが仲間入りするのはむずかしいかもしれません。

 これは子どもの能力や性格によるものではなく、合否の判定には家庭環境を重視するということです。この場合、「何々校向き」とか「合格するタイプ」はありますが、ごく一部のケースです。あまりこだわらないほうがいいと思います。

 
 

第6回

第5回

第4回

第3回

第2回

第1回