はじめての幼稚園・小学校受験

第6回●真っ先にやることは、面接対策です

 

 受験を思い立ったら、すぐ始める――これが子どもの面接対策のポイントです。
 子どもに一夜漬けの特訓は効果がありません。「面接の練習をすればするほど合格は遠のく」と指摘する幼児教室の指導者もいますが、試験官がもっとも嫌うのが、「親に教えられた回答」です。ある校長は「うんざりする」と言って、“嫌悪感”を示したほどです。子どもがどう答えるか、たいへん気になるところですが、思い切って子どもに任せてしまったほうが賢明です。

 といっても、何もしなくていいというわけではありません。面接のときに、子どもに質問するのは、初めて会う、それも男の大人というケースが大半です。子どもは“大人の男性”に慣れていません。普段からおしゃべりで、快活な子どもが面接では“寡黙な子”になってしまうケースが少なくありません。

 試験官の質問に対して、一言も答えなかった子どももいます。この子の場合は、面接以外のテストはよくできたらしく、「単に緊張しただけ」と好意的に解釈されて合格していますが、試験官の質問に何も答えなければ、ふつうは大きなマイナスになります。

 “知らない男の人”から話しかけられたときに、どんな態度をとるのか、きちんと返事ができるのか、その辺はどうでしょうか。
 「幼稚園は楽しいですか?」と聞かれて、上目遣いに相手を見て「うん」とうなずくだけ、あるいは、お母さんの後ろに隠れてしまう。人見知りをしない子だったら、「楽しい!」と大きな声で返事をするでしょう――これが「何も訓練を受けていない普通のお子さん」の反応ですが、小学校受験をするなら、これでは困ります。
 「はい」あるいは「楽しいです」と答えられなければいけません。さらに、「どんなことが楽しいですか?」「どうしてですか?」と聞かれることもあります。それに答えられなければなりません。

 こういうやりとりに慣れさせるためには、一夜漬けはとても無理です。普段から、こうした体験を積んでおく必要があります。たとえば、親戚の人が来たとき、お父さんのお客様が来たとき、あるいは、お母さんの仲のいいお友達が遊びに来たときに、お子さんに挨拶をさせるとか、ときには、大人の話の場に同席させることも必要です。
 大人と話をするときは、ていねいな言葉を使わなければいけないとか、同席するときは、きちんとした姿勢でいなければいけないなどを学びます。

 子どもの面接で面接官が知りたいことの一つは、きちんと躾られている子かどうかです。ペーパーテストよりも躾を重視する学校も少なくありません。
 「集団行動のときに、隣の子どもとケンカしたり、教師の指示を聞かないような子は困ります」
 「この子を入学させた場合、現場の教師は授業がやりやすいかどうか、という尺度でチェックします」 
 困ります、チェックします――言葉はやわらかいのですが、“不合格”と同じ意味です。

 学校側が躾を重視するのは、躾られていない子が増えているためです。授業中にふらふらとたち歩く子や、教師の言うことを聞かないなど、公立校で問題となっている“学級崩壊”現象が私立校でも見られるようになっているためです。
 躾だけでなく、意欲や好奇心、協調性といった、ペーパーテストではチェックできない資質が、今後さらに重視されると言っていいでしょう。ペーパーテストに頼った子ども選びがいつまでも通用するはずがありません。
 「どんなことにも意欲的に取り組む子か」「協調性のある子か」「自分の考え・意見を持っている子か」「好奇心が旺盛な子か」‥‥学校はそういうモノサシで子どもを選別するようになるでしょう。
 面接対策は受験を思い立ったらすぐ始めると言いましたが、面接対策イコール受験対策と考えてください。(
2004.11.2掲載
 

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