各校とも合否に関してはいっさい公表していません。校長や入試関係者に取材しても、「ノーコメント」か、もしくは「総合的に評価する」という答えが返ってくるだけです。懇意にしている校長から、学校名を伏せるという条件で合否の判定資料を見せてもらったことがありましたが、おおむね予測の範囲内でした。
合否は非公開といっても、「特別なモノサシ(評価基準)」はないと思っていいでしょう。ペーパーテスト、行動観察、運動、絵画のほか面接などの総合点で合否を決めているというケースが多いようです。「総合点」といっても、合計点ではなく、それぞれの科目について合格ラインが設定されていて、かりにペーパーテストが満点だったとしても、行動観察で合格ラインに達していなければ不合格とする学校が多いようです。ペーパーテストで足切りをし、二次の行動観察でさらに絞り込み、面接点で最終合格者を決定するという学校もあります。
評価の対象は、ペーパーテストの成績や行動観察の評価だけではありません。それらの試験の最中に行われる個別考査での一問一答では、言葉遣いや態度・振る舞いもチェックされます。ペーパーテストの成績が合否に占める割合はどれくらいかというと、100パーセントという学校はないでしょう。ここが中学受験とは決定的に異なる点です。概ね2分の1〜3分の1というところでしょう。
受験対策というと、ペーパーの勉強に力点をおく保護者が多いと思いますが、家庭学習に占めるペーパーの勉強は多くて3分の1、せいぜい10分の1くらいに考えてちょうどいいかもしれません。ペーパーよりも、同じ年頃の友達と遊ばせるとか、大人に挨拶をさせる、自分の考えや言いたいことを相手に伝えるといったことを経験させたほうが合格は近づきます。
保護者の面接については、「重視する」学校と、「原則として合否には関係させない」という学校に分かれます。前者の場合、女子校やミッション系の学校に多いようですが、進学校の場合でも保護者面接を重視する傾向にあることは要注意です。後者の場合でも、まったく合否には無関係かというとそうではなく、「志望校を間違えているような場合はご遠慮していただく」といいますから、「合否には無関係」とは言い切れません。
ペーパーテストと行動観察のどちらを重視するかは、各校の対応に違いが見られますが、行動観察重視の傾向にあることは間違いありません。系列の中学高校をもたずに、有名中学への高い進学率をウリモノにしていた小学校でさえ、最近は「思いやり」とか「協調性」を重視する時代です。
ペーパーテストも行動観察も面接もミスはなかったのに不合格というケースがたまにあります。しかし「ミスがなかった」のではなく、子供の行動観察か保護者面接で致命的な減点があったのです。前に並んでいる子の肩を押したとか、共同制作のときに動作のノロい子に「早くして」と注意した(文句を言った)などがチェックされると減点幅は大きくなります。逆に、泣き出した子のそばに駆け寄って、「大丈夫だから一緒にやろうね」と声をかけたことが合格の決め手になったケースもあります。入学後の校長との面談でそのことがわかったそうです。
入試当日、学校の近くまでクルマで来たら不合格となったケースがあります。学校から遠く離れた場所に駐車したのですが、運悪くチェックされてしまったのです。学校の門をくぐって門から外に出るまでが試験といわれていますが、最寄り駅から学校関係者の目が光っていると思ったほうがいいでしょう。学校の門を入るときに、守衛さんに挨拶をした保護者にはプラス点をつけた学校もあります。減点もプラス点も差がつくことでは同じです。
まさか、そんなことをチェックされているとは知らなかったという場合が多いのです。合否の決まり方を知らないと、一瞬にして、すべての努力が無になります。ペーパーテスト対策にばかり目を向けていると、お子さんに無駄な努力を強いることになります。別の項でもふれますが、ペーパー対策で満点を目指すのは賢い勉強法とはいえません。
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