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「面接の過去問200」(保護者編 その1)


 ●保護者編のポイント

*私立志向の高まりの中、各校とも、より優秀な子どもの確保に躍起となっています。歯止めのかからない少子化時代を見据えて、競争倍率の高い人気校であっても、今や「選ぶ側」から「選ばれる側」という危機意識をもっています。より優秀な子どもを求めて、入試はシビアになると見ていいでしょう。入試方法や採点基準も変わってきます。その辺の時代背景を踏まえた面接対策を考慮しておく必要があります。

*面接に際しての質問項目についても、ありきたりの質問や事前に練習できるようなことは聞いてこないと考えたほうが賢明です。志望理由1つとっても、角度を変えて質問してくると思います。一問一答の練習は無意味とはいいませんが、「変化球」にも対応できるようにしておいてください。

 ●ご利用に際して


*この「面接の過去問200」は、ざっとお目通しいただくだけでけっこうです。すべての項目に対して回答を準備する必要はありません。ただ、もし、質問されたらどう答えたらいいか迷うといった「気になる質問」については、いちおう答えを用意しておいたほうがいいかもしれません。「聞かれたら困る」という不安感をなくすためです。

*面接時間は各校ともせいぜい10分です。しかも、聞かれることは「志望理由」「子どもの長所短所」など、だいたいのところは決まっています。準備は「ほどほど」でいいのですが、私立を受験するからには、ここに出てくる質問項目に関心がある(考えたことがある)、あるいは的確に答えられる必要があります。ときどき目を通して、問題意識を定着させるようにしてください。






・本校を志望された理由は何ですか
・本校のことはどれくらいご存知ですか
・男子校(女子校)を選んだ理由は何ですか
・本校を知ったきっかけは何ですか
・カトリックの中で、とくに本校を選んだ理由は何ですか
・本校の受験をいつ頃からお考えでしたか
・本校の教育方針について、どうお考えですか
・学校の教育方針と家庭の教育方針の何が一致していますか
・本校の良さをお子さんにどう説明しましたか
・本校のどういう点がお子さんに合うとお考えですか
・志望理由に関して、願書に書かれたことに付け加えることは何ですか
・本校のホームページをご覧になりましたか。感想をお聞かせください


*「志望理由」は必ず聞かれると思って準備してください。
*ストレートに「志望理由」を聞いてくる場合もあれば、言い回しを変えた「変化球」もあります。慌てないようにしてください。要は、どの程度、学校を理解した上で受験しているのかを知りたいのです。
*受験校の建学の精神や教育方針を「解説」しないように注意してください。
*各校の校長に聞くと「学校案内の丸暗記が大半」という印象をもっています。ひと工夫ほしいところですが、無理にユニークなことを言う必要はありません。
*「本校の受験はいつから考えましたか」と聞かれたとき、不用意に「1か月前」と答えてしまった父親もいます。注意してください。滑り止め受験と誤解されないようにしてください。
*志望校の教育方針をよく理解する、家庭の教育方針との接点は何か、何としてでも入学させたいという熱意、この3点が相手に通じる必要があります。


・今のお父様のお話に何か付け加えることはありますか?


*「お母様」と名指しされないかぎり、父親が答えたほうがいいといわれていますが、突然、発言を求められることもあります。「夫と同じ考えです」よりも、「あえて付け加えるとすれば‥‥」と答えたほうが評価が高いと思います。父親が答える項目にも、もし、自分だったらどう答えるか、いちおう準備しておいたほうがいいでしょう。


・説明会の感想をお聞かせください
・本校の行事のどれに参加しましたか、感想をお聞かせ下さい
・校長の話の中でどんな印象をもちましたか


*第一志望校の説明会には必ず出席してください。
*学校説明会への欠席は「合格しても入学する気がない」と誤解されます。説明会に行かないで合格するケースもたまにありますが、お子さんがとびきり優秀か、この家族はわが校にふさわしいと評価された場合だけです。
*説明会に出席したときの感想をA4判紙4〜5枚にまとめて校長宛に送り、入試前に事実上、合格のサインをもらったケースもあります。
*説明会で見聞きしたことはすべてメモをとってください。印象、感想、感心したことだけでなく、「おや?」と思ったことはすべてです。それが願書や志望理由に結びついてきます。
*関連記事→「願書の書き方●学校説明会のチェックポイント」へ。


・上のお子様は公立の学校に通われているのに、なぜ下のお子様は私立を志望されたのですか?
・上のお子様は私立のA校に通われているのに、なぜ下のお子様はわが校を志望されたのですか?


*上の質問は公立と私立の違い、下の質問はA校と志望校の違いを答えることになります。どちらも批判めいたことは言わないことが原則です。「公立には○○○という良さもありますが‥‥」「A校の特色は○○○であり、上の子はたいへん喜んで通学していますが、下の子の場合は、本人の性格や個性を考えると御校の‥‥」という答え方が無難です。


・私学にお子さんを通わせるメリットは何ですか
・近くの公立小学校ではなく、遠方の私立を受験させる理由は何ですか
・校区の学校はどこですか
・校区の学校の評判はどうですか


*「志望理由」に関連した質問です。私立受験の本気度を確かめたいのかもしれません。
*公立の悪口は避けなければいけません。ただし、こういう点は我慢できないということがありましたら、ズバリ指摘してもいいと思います。
*校区の学校名くらいは答えられるようにしておいてください。

・中学受験についてどうお考えですか

*志望校の中学進学状況をチェックした上で答える必要があります。中学受験に力を入れている小学校なのかどうか、それとも一貫教育の良さを訴えている学校なのか、その辺を見極めて答えてください。

・本校に何を望みますか
・本校に期待することは何でしょうか

・本校の生徒を見て、どう思われましたか

*漠然とした言い方ではなく、「近所の子どもが御校の在校生」「授業参観の様子を見て」など、思ったこと、感想を具体的に言えばいいでしょう。ホメまくるのは避けたほうが賢明です。


・ご家庭の教育方針について、どうお考えですか
・しつけについて、どうお考えですか
・どんな家庭を築きたいですか
・家訓をお聞かせください
・仕事と家庭、どちらが大切ですか
・我が家のモットーがあれば、それは何ですか
・願書を書くとき、ご夫婦でどんなことを話し合いましたか


*「家庭の教育方針」を聞かれた場合、学校の教育方針と一致する点を盛り込ませることがポイントです。「一致点」があるのかどうか、面接官の関心事はそこにあります。
*「仕事と家庭とどちらが大事か」、ご自身の信念を述べてください。
*「家訓」「我が家のモットー」など、考えたこともないという場合、「ない」と正直に答えるのではなく、「こうありたい」でいいと思います。日々の生活の中で、具体的にどう実践していますかという質問にも答えられるようにしておいたほうがいいでしょう。
*一般的に、私立小学校というのは意外と保守的な考え方をするものです。夫が一家の大黒柱であるべき、夫がリードする家族が好ましい、最終的な決定権は夫にある‥‥等々、古くさい価値観がまだ通用する世界です。ある校長に、最近の若い夫婦は、家事も家計も折半、出産の立ち会いから、子育ては共同作業、ゴミ出しは夫の役割というのがふつうになっているようだが、どう思うかと聞くと、「けっこうなことです」とはいうものの、「私らの世代とは違いますからね」と付け加えます。本音は苦々しく思っているかもしれません。合否の決定権者は受験する保護者の親の世代ということをいちおう念頭においてくだい。

・公共の場でルールを守らない子がいたらどうしますか

*むずかしいですね。「注意する」「注意しない」どちらでもいいのですが、その根拠を問われる場合もあります。「こういう場合は注意する」という判断基準を示すことができればいいと思います。


・仕事についてお聞かせください
・どんなお仕事をされているのか、簡単にご説明ください
・どんなお仕事か、具体的にお話しください
・ご自分の仕事をお子さんにどう話をしていますか


*どう答えるか、いちおう用意しておいてください。保護者の職業は合否に関係ないという学校が多いのですが、やはり建前でしょう。まったく質問しないというのは、保護者の職業や勤務先などが事前にわかっていて安心できる場合です。
*中小企業の経営者や自営業の場合、設立年、事業内容、年間売り上げ、社員数などをコンパクトに説明したほうがいいでしょう。この質問が母親に向けられたケースもあります。「夫の仕事のことはまったく知りません」は感心しません。
*「詳しく」「具体的に」と質問されたときは、答え方・内容によって父親の力量を知りたいということですが、学校側が勤務先に対して不安があるか、もしくは念押ししておきたいというケースもあります。
*破綻が噂されているような「問題企業」に勤務しているような場合は、単なる決意表明だけでは足りません。かりにリストラなどで失業したとしても、月謝の滞納を避けるための具体的な方策を述べる必要があります。そこまで触れるかどうかは、その場の状況次第で判断するしかありません。


・転勤の可能性はありますか


*勤務先、あるいは仕事の内容によっては「転勤はない」と言い切れない場合があります。2〜3年という短期間のケースが多いこと、その間は、土日には必ず帰ること、また、近所に住む祖父母の協力が得られるなど、父親が単身赴任していても不安はないことを具体的に答えることが大切です。


・他校は受験しますか、どこを受験しますか
・本校は第一志望ですか
・附属小学校を受験されますか


*自信をもって「御校が第一志望です」と答えるのが、大人の対応です。別の学校を受験することについては、「慣れるため」でいいでしょう。
*関西地区の場合、附属小学校に近い私立は、各校とも定員よりも多めに合格者を決定しています。附属小学校に合格すれば辞退が多いためです。もし、附属小学校受験に失敗した場合でも私立に入りたいのであれば、「受験する」と答えるのは適当とは思えません。
*受験するのは御校だけですと答える場合は、その理由を説明してください。どうしても御校でなければならないという理由次第では、それが相手の心を動かす場合もあります。


・どんなときに叱りますか、ほめるのはどんなときですか
・お父さんが本気で叱ったことはありますか、どんなときですか

*もし、この質問が出たら、どんな考えの下に子どもを育てているかを説明するチャンスです。十分に練った答えがほしいところです。エピソードがあればなおいいでしょう。


・どのような父親でありたいとお考えですか
・一家の大黒柱として、何が大切とお考えですか
・父親としての充実感を味わうのはどんなときですか
・家庭で安らぎを覚えるのはどんなときですか
・父親として、お子さんに何を伝えたいと思っていますか
・子どもにとって父親とは何だと思いますか
・お父さんご自身、ご両親から何を教えられましたか
・祖父母から受け継いだものでお子さんに伝えたいことはありますか、それは何ですか


*保守的な小学校もあります。どう答えるか、力点をどこに置くかは、受験校によって変える必要があるかもしれません。
*追加質問が出やすい分野です。「具体的には、日々、どう行動していますか、どう考えていますか」など、突っ込まれることを前提に最初の答を用意してください。
*「この父親なら6年間つきあえる」「この父親に育てられた子どもなら安心」と思わせることができるか、その辺がポイントです。
*たとえ質問されなくても、これを機に改めて考えたいテーマです。

・お子さんと過ごす時間をどう捻出していますか
・週のうち、お子さんと一緒に夕食をとれるのは何回くらいですか
・お休みの日、お子さんとどう過ごしますか


*「仕事優先は当たり前です」という校長もいれば、そうでない校長もいます。仕事が忙しくて子どもと一緒の時間がとれなかった場合、どう答えるか、慎重に。
*開業して1年目の医師の場合、「土日はほとんど休めなかった」「学校説明会には出席できなかった」「この一年間、子どもと何かをしたということはなかった」とありのままを答えましたが、合格しています。


・お子さんが仲良くしているお友達の名前はご存知ですか
・お子さんの誕生日はいつですか
・お子さんが好きなテレビ番組は何ですか
・お子さんの好きな食べ物は何ですか
・最近、お子さんにどんな本を読んであげましたか
・お子さんの目がキラキラと輝いているときはどんなときですか
・今日、お子さんは緊張していますか、普段と変わりありませんか
・お子さんの受験番号はご存知ですか


*どう答えたらいいか迷うという質問はありません。でも簡単な質問ほど、「知りません」は困ります。
*お子さんの友達の名前を聞かれたときは、「隣のタケちゃん」ではなく、フルネームで。4〜5人の名前を答えて、さらに発言を続けてもいいような雰囲気だったら、どんな友達なのか、どんな関わり方をしているか、わが子の成長にどんな影響を与えているかを付け加えたいところです。
*それぞれの項目に共通しているのは、父親として、わが子の成長にどくらい関心をもって見守っているかを知りたいということでしょう。


・今の幼稚園を選んだ理由は何ですか
・幼稚園と担任の先生の名前を知っていますか
・幼稚園の父母会には行ったことがありますか
・幼稚園でお子さんのどんなところが成長したと思いますか


*幼稚園名、クラス名、先生の名前は覚えておいたほうがいいでしょう。
*幼稚園のクラス名や担任の先生の名前を知らなかったとしても、それを減点の対象にするような面接官は少ないと思いますが、たいして手間のかかることではありません。覚えておいてください。
*幼稚園に通うようになってから、どんなところが成長したのか。「我慢強くなった」「協調性がでた」「思いやりのある子になった」など、できれば、簡単なエピソードをまじえて受験校の教育方針に話を結びつけたいところです。

*保護者編(その2)に続きます

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