● 不安や大変さにとらわれず、やるべきことをきちっとやる
――受験の厳しさや大変さは、事前に予想できましたか。
何となく大変だろうなぁとは思っていました。でも、それは漠然としたもので、どの程度大変なのかはわかりませんでした。本当に最初から最後まで、自分はどこまでやれば良いのか不安でした。合格をいただいて、やっと「あぁ、このぐらいがんばれば良かったのか」と実感しました。
――受験前や受験中に、そういった不安や大変さに耐えていく自信はありましたか。
自信があるか、ないかという次元の話ではありません。やるしかないんですよ(笑)。目の前のものをきっちりこなしていくことが、きっと合格につながるんだと思います。大変さを考えるよりも、やるべきことをきちっとやる。それが大事なんだと思います。
――お子さんは、受験にプレッシャーを感じていたようですか。
全くなかったと思います。受験をする自覚はあるんですが、それが重圧にはなっていなかったようです。逆にモチベーションが、とても上がっていましたね。プレッシャーに負けてしまうようでは、やはり受験は乗り切れないと思います。子供も親も強くならざるを得ないんですよ(笑)。
――お母様は、受験で疲れてしまったとき、どのようにストレス発散を?
私の場合、ストレスがたまったときは一方的に主人に文句や不満を言っていました(笑)。子供を見ていると、本当に一生懸命がんばっているのがわかります。試験の直前で気持ちが焦ってきたりすると、毎日、主人に「もう少し手伝って」と文句を言っていました。ただ、これは本当に手伝って欲しいのではなく、気持ちをすっきりさせたいだけなんです。言うだけ言って、すっきりしたらあとは自分で全部やりますから(笑)。
――ご主人と喧嘩になったりしなかったのですか。
ええ、喧嘩はなかったです。主人は、どちらかと言うとデンと構えているタイプで、性格的にも温厚です。私の文句も聞いている振りだけして、聞き流してくれていました。二人兄弟で、弟の子育てもしなければいけないので、ジムなどで運動をしてストレス発散する余裕はありませんでした。だから本当に助かりましたね。
――お子さんがスランプに陥ったとき、どう対処されましたか。
受験期間でスランプは一度もありませんでした。常に精神状態も良く、上昇気流に乗っていましたね。多分、本人の性格に因るところが大きいと思います。
――具体的には?
細かいことを気にしないんですよね。本当に、「もっと気にしなさい」と言いたくなるくらい、大らかというか鈍いんですよ(笑)。そういう性格が、良い方向に向かったんだと思います。おそらく本人のなかにはスランプというもの自体、存在していないと思います。
● 受からないなと思ったら受けちゃダメ
――幼児教室から幼稚舎の受験について、何かアドバイスはありましたか。
実は、試験の直前まで幼稚舎を受験することを幼児教室に言ってなかったんです(笑)。山田先生は、いつも「受験するからには合格を取ってこないといけない。取れなければ子供が傷つく。だから、受からないなと思ったら受けちゃダメ」と言っていました。私たちも初めは幼稚舎を受ける気はありませんでした。とりあえず願書だけ出したという感じだったんです。受験を決めたのは、願書締め切りの2日前です。その日に成蹊小学校の合格が決まったので、幼稚舎を受けることを決めました。第一志望だった成蹊小学校の合格が決まったので、仮に幼稚舎に落ちたとしてもショックは少ないと思って、受験することにしたんです。今までがんばってきた子供の集大成としてというか、実力試しで受験しました。それを山田先生に話したら、「納得できるように楽しんできなさい」と言われました。
――幼稚舎の学校説明会には参加しましたか。
ええ、主人だけが参加しました。私は試験当日、初めて幼稚舎に行きました。
――試験当日のお子さんの体調はいかがでしたか。
万全でした。受験した全ての学校の試験期間中は常に体調は万全でしたね。
――試験当日、お子さんにどういう言葉をかけましたか。
特別に何か言うことはありませんでした。試験が始まる前まで、本を読み聞かせていました。
――どんな本ですか。
特に試験とは関係ないのですが、「孫悟空」と「オズの魔法使い」です。息子は、本が好きなので、持ち歩きしやすい薄い本を何冊か試験に合わせて主人に用意してもらいました。試験前に本を読めば、息子の性格からして集中できるし、気持ちが落ち着くと考えたんです。それから、山田先生からお手紙をいただいていたので、それを読ませました。
――その手紙はどんな内容だったのですか。
A4サイズの紙に3枚くらい書いてありました。幼児教室の生徒さん全員に1通ずつ配ったそうです。全員、内容は違うらしいのですが、息子の手紙には「今までがんばってきたよね」という感じで、子供のこれまでのがんばりを褒めてくれる内容でした。他にもお守りをいただきました。お守りはポケットの内側に縫い付けました。手紙とお守りは、息子にとっても私にとっても、とても効果がありました。私は安心できたし、今までのがんばりを褒めてもらうことで、子供には自信になりました。また、子供は大好きな先生の期待に応えようと必死になってがんばりました。
● 努力は報われるんだなと今、改めて思います
――幼稚舎の試験内容はどんなものでしたか。
流れとしては、まず集合場所で体操着に着替える。それから整列して別の教室に移動します。移動中は、走らない・しゃべらない・前の人を抜かさないというルールがあるそうです。そこでゼッケンが渡されて、そのゼッケンを身に付けます。部屋のなかにはマークが付いたイスがあって、そのマークの色や形を覚えておくようにという指示が出ます。その後、また別の部屋に移動し、イスのマークの色や形を聞かれるそうです。それから体操や絵画などの試験が始まるそうです。
――それはお子さんから聞いた内容ですか。
ええ、そうです。山田先生から「試験の内容を覚えてきて先生に教えてね」と指示が出ているんです。これは他のお母様への情報として使うのではなく、子供に集中させるためだそうです。大好きな先生からそういう指示が出ていたら、子供は一生懸命覚えます。だから、試験の内容を理解しようと集中するんです。
――試験後のお子さんの反応はいかがでしたか。
「こうだったよ。ああだったよ」と試験の話を冷静にしていました。幼稚舎の試験では、約30人が一度に連れて行かれます。息子は、そのなかの誰がどんな感じだったかを、詳細に覚えていたので、「あぁ、冷静だったな」と安心しました。
――お母様は、そんなお子さんにどんな声をかけたのですか。
「お帰りなさい。ちゃんとできた? 緊張しなかった?」と。今思うと、かなり普通でしたね(笑)。多分、その前の段階で成蹊小学校の合格を取れていたので、試験には親子で余裕をもって臨めたんだと思います。結果的としてそれがプラスに働いた感じはしますね。
――幼稚舎に合格していかがですか。
もちろん合格して嬉しかったです。子供も喜んでいますね。親としては、名門校ですから、子供の将来に希望をもっているし、期待もしています。同時にやはり直前まで受験するつもりがなかったこともあって、幼稚舎のなかがどんな状況なのかわからない部分もあるんですよね。この子がやっていけるのかなという不安は感じますね。子供には、幼稚舎に入っても、今のまま明るく元気の良い、誰からも好かれるような人になってもらいたいと思っています。そういう人間になれれば、自分の人生にとって自然と良い環境ができるはずです。大学までの一貫教育のなかで、自分らしく生きていける道を時間をかけて見つけていってもらいたいと思いますね。
――今振り返って、幼稚舎に合格した一番の要因は何だったと思いますか。
やはり、幼児教室の先生ですね。息子が幼稚園の年長さんの7月にひとみ幼児教室に変えていなかったら、こんな素晴らしい結果は得られなかったと思います。
――具体的には、どんなところですか。
どこの幼児教室でも、子供がリーダーになれるような教育をしていると思います。それは、行動観察などでそういう面が問われるからです。でも、ひとみ幼児教室では、ただリーダーになるということではなく、周りの人間を気遣うことを教えてくれました。自分がリーダーとして、ただガムシャラに動くのではなく、冷静に状況を判断できるように指導していただきました。そういった子供が集団のなかに入ると自然に目立つのではないでしょうか。また、幼児教室内で子供を競わせるんです。そういう部分が大きな要因になったと思います。
――受験をして良かったと思うのは、どんな点ですか。
何よりも親子で成長できた点です。子育てというのは、すごく我慢が必要だと痛感しました。受験を経験したことで、その我慢のレベルが上がった気がします(笑)。また、自分の子供だけでなく周りのお子さんを見たり、他のお母様と接したり、先生と出会えたり、いろんなことで自分が多少なりとも成長できたと思います。子供にとっては、受験を経験したことで、6歳なりに「やればできる」とか「今はこれをしなければいけない」といった意識をもつことができました。受験は、親子ともに闘いでしたが、それでお互い成長できて、結果も最高で、達成感も味わうことができました。努力は報われるんだなと、今改めて思います(完)。