●基本的生活習慣が身についてない場合
これはお母様の努力で克服できます。起きてから幼稚園に出かけるまでを考えてみましょう。
「おはよう」‥‥顔を洗って歯を磨く
「いただきます」‥‥正しいマナーで食事をする
「ごちそうさま」‥‥食器を台所に運ぶ
パジャマを脱ぎ・たたむ。制服に着替える。忘れ物がないかを点検する。帽子をかぶってくつをはく。「行って参ります」。
こういったことが、自主的にテキパキとできるように指導してください。今日のお支度、ごほうびシール2枚というように評価し、シール帳などに貼っておきます。
そして、シール100枚でディズニーランドというように、さらに大きなごほうびに取り替えられる特典つきっていうのはいかがでしょう。みるみるうちにしつけのいい子どもに変身します。
●協調性がない場合
友達と遊ぶ機会を増やしましょう。自宅に呼び、見ていないふりをして、さりげなく観察すると、子どもの関わり方がわかります。おもちゃを貸せない、順番を守れないといった行動が見られたとき、すぐに指摘するのではなく、しばらく見守ります。
友達がやさしい行動をとったとき、すかさずほめます。
「Yちゃんは、順番を譲れてやさしい子ね。Sくん(わが子)うれしいでしょう?」
これを繰り返すことによって、協調性のある行動をとることができるようになってきます。叱るばかりでは右から左でなかなか身につかないものなのです。
家庭よりも友達と過ごす時間が長い園生活。子どもと約束しましょう。「一日一回やさしいことをする」、そして毎日、「今日はお約束守れた?」「うん、I君が泣いていたから、いっしょにブロックしようって声をかけてあげたの」「えらかったね。S君はやさしい子だもんね。いい子、いい子」。この繰り返しで、子どもはすっかりいい子になりきるようになります。また、サッカーなどで、チームプレーを学ぶのも有効です。
●自分の意見が言えない子の場合
日頃、お母様や上の兄弟が子どもに先回りして代弁していませんか。依頼心が強くなってしまいます。まずは家庭で、少しお母様が言葉数を減らし、子どもの話に耳を傾けるようにしましょう。
さらに、安全な場所であれば、1人でおつかいに行かせたり、レストランでトイレに行くときには、自分で場所を尋ねさせたりと、他人との関わりの中で少しずつ自立をうながすようにします。出かけるときは母親と2人、元気な声で駅員さんにも挨拶するようにするといいでしょう。
協調性があっても、ついつい友達に引きずられてしまうようでは困ります。善悪をしっかりと判断し、NOと言えること、意見できることは、「行動観察」においても重要です。
また、小集団の中では自分の意見が言えても、大勢の前だと発言や発表ができず、自分が出せない子どももいます。
当教室では、授業の最初に全員前に並ばせて、お母様方や先生たちと向かい合う格好で、質問をします。そうすることで、最初は戸惑っていても次第に慣れてくるのですが、家庭ではそうもいきません。
こういったケースでは、なぜなのかを考えてみることです。「依頼心」が強い子どもの場合は、先に述べましたが、「自信がない」「自意識が強い」のが原因で自分を出せない場合もあります。
自信をつける方法は、「子どもの長所を見つけよう」(19ページ)をご参照下さい。
「自意識が強い」子どもの場合は、人前で恥をかきたくない、笑われたらどうしようと思い、自分を出すことができないのです。
年中のころは何でも無邪気にハキハキと答えていたのに、年長になったとたん急に答えられなくなってしまうケースもこのパターンです。自我に目覚めたからです。つまり成長なのです。こういった子どもの場合は、受験の意味を理解し、意識をもって入試に臨むと、合格したい一念で話をするので心配いりません。
●集中力がない場合
集中力のない子どもはいません。声をかけても気づかないほど、砂場遊びや工作に没頭している子どもをご覧になったことがあるでしょう。
子どもは誰でも好きなことには集中します。与えられた課題に対して集中できない、また、集中力が持続しない子どもはいます。しかし、本来集中力はあるのですから、楽しいトレーニングで克服することができます。毎日、2分間でできるトレーニングです。
・ 箸で小さなもの(サイコロ、まめ、ビーズなど)を皿から皿へ移す
・クリップを紙にはめる・クリップをつなぐ・輪ゴムをつなぐ
・ビーズをひもに通す
何でも結構です。2分間でいくつできたのかを記録しておいてください。2分間集中して手作業を続けることは大変なことです。新記録が出るたびにごほうびシールを貼ってあげましょう。これを1週間続け、翌週は違う課題にします。1か月ほどで目に見えて集中力が持続するようになります。しかも、このトレーニングでは、巧緻性も養うこともできます。
●落ち着きのない子の場合
座っていられない子どもがいます。好奇心旺盛でいつもあっちのもの、こっちのものに興味がうつり、じっとしていられない性格の子どもに多いようです。
絶好のトレーニング法があります。
「3分間正座して目をつむる」。これを毎日1か月間実行してみてください。「家の中が落ち着いていない」「ストレスがたまっている」場合は、その要素を取り除かないと効果が出ませんが、普通の環境で普通の精神状態であれば、必ず効果が出ます。
このタイプの子どもは遊びが大好きですから、遊ぶ時間が少ない毎日を送ると、ますます落ち着きがなくなり、集中できません。頭の回転が速く、短時間の集中力には優れているケースが多いので、家庭学習は短時間で効率の良いものにするといった工夫が必要です。そして、終わった後は、外遊びの時間をつくり、思いっきり発散してあげることです。
●反応が遅い子どもの場合
トランプ遊びをしましょう。たとえばババ抜きです。まず、配られた手札の中から、同じ数字のカードを2枚1組にして場に捨てます。これはすばやく「同数」を探すトレーニングです。
次に、右隣の人の手札から1枚抜き、自分の手札のなかに同じ数があったら場に捨てます。この作業で、「反応速度」の能力が高まります。この「引く」「探す」「捨てる」の一連の行動をリズミカルに行わないとゲームは楽しくありません。
子どもは楽しいことが大好きです。何度も遊んでいるうちに、「イチ、ニイ、サン」と、どんどんリズミカルになっていきます。マイペースで行動するため、動きの遅い子のトレーニングにも有効です。
行動がマイペースな子の場合は、朝の着替えにかかる時間を計ってみましょう。
「ヨーイ、ドン!」。パジャマから、制服に着替えます。ストップウォッチで時間を計り、1日目が5分、2日目が4分30秒であれば、ごほうびにシールです。
1週間後に3分というように、スピードアップすればもうしめたものです。行動がゆっくりで、しかも、一つの行動から次の行動に移るのに時間がかかっていた子どもが、テキパキと行動できるようになり、ペーパーのスピードアップにもつながります。
わが子の「お受験力」は?
90点以上の子ども
理想的に発育しています。おおいに合格が望めます。
89点〜70点の子ども
努力が必要です。合格の可能性はあります。
69点〜50点の子ども
受験に徹して、努力につぐ努力です。合格の可能性がな
いわけではありません。
49点以下の子ども
小学校受験だけがすべてではありません。中学校受験に
切り替えましょう。 |
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