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『新・幼児の脳教育』より(抜粋)
プロローグ
スーパーエリートはこうして育つ!


●驚異的な記憶力は「脳を広く使う」のが秘訣

――次ページの写真(省略)では、今度は板状のパズルに取り組んでいますが、ずいぶん数が多いですね。
岡田 ええ。1つの型枠には十数枚のいろいろな形をした板が入っていて、その型枠が10個くらいありますから、板の数は100枚近くになります。それを床に全部広げてゴチャ混ぜにして10個の型枠にそれぞれ収めます。隣の女の子も同じトレーニングをしていますが、彼女の場合、型枠の数がちょっと少な目になっています。どうです? あなたも挑戦してみますか?
――10枚の板を一つの型枠に入れるのでしたら、時間をかければ何とかなりそうですが、100枚となるととてもとても‥‥。男の子の場合、100枚近くの板を10個の型枠に収めるのにどれくらいの時間がかりますか。
岡田 1分30秒分くらいですね。この教室でトレーニングしている子は全員1分30秒から2分で仕上げています。

――驚異的な記憶力ですね。何か記憶力を高める秘訣はありますか?
岡田 記憶力向上の秘訣は「脳を広く使う」ことです。みなさんが学生時代に経験している数字の記憶は、脳の中の側頭連合野の一部分しか使いません。2人の子どもが取り組んでいる訓練は、1か所の脳領域ではなく、脳全体を総動員した記憶法となっています。つまり、
・モノの形や色に関わる情報を司る視覚野や側頭連合野、
・モノの位置や動きを司る頭頂連合野、
・音をキャッチする聴覚野、
・モノの手触り感を把握する触覚野、
・自分でくり返し発音することによって前頭連合野の中の言語野
 など、脳を総動員したトレーニング法です。この方法だと記憶力は飛躍的に向上します。むろん、2〜3回で記憶力の回路がしっかりとつくられるということはありません。ここでもくり返しが必要です。
 
――別の場所で勉強している3人(いずれも小学校高学年生の女子。次ページ写真。省略)も、最初は、この木製の型枠はめから始めていますが‥‥。
岡田 ええ。いわば脳力の基本トレーニングに入る前のウォーミングアップみたいなものです。この「型はめ」の訓練をすることによって、記憶力の回路が定着しているかどうかをチェックという意味合いもあります。「形づくり」でモノを正確に、しかもスピーディにとらえる認識力の強化は、注意力の向上や集中力の強化につながります。また、その後の観察力、記憶力、判断力・思考力・創造力などの訓練にもいい結果につながります。

人間の場合、2歳までにいろいろなモノを見せておくことはとても大切です。自然のいろいろな景色やその形や色の変化(春夏秋冬)、それだけで子どもの認識力は強化されます。刺激によってシナプスは増えるのですから、「訓練と努力が天才をつくる」と断言できます。

●見たものを脳にしっかり記憶させるトレーニング

――次ページ写真(省略)では、ふたりとも壁に貼ってある絵と数を30センチほどの棒で指し示しながら読んでいますが、これは何の訓練ですか。
岡田 みなさんもしょっちゅう経験していると思いますが、目では見ているのに認識していないことが日常たくさんありますね。あるいは、読んだはず、しっかりと記憶したはずなのに、まったく記憶に残っていないというケースです。これは記憶に登録されていないために呼び起こすことができないのです。これでは一生懸命に勉強しても効率が悪いですね。彼女がやっていることは、見たものをしっかり記憶にとどめるトレーニングです。学習能力や記憶力、理解力を向上させるための訓練です。

幼い頃から映像文化の中で育てられてきた子どもたちは「読む力」も「書く力」も極端に低下しています。書き写しをする場合も、1字ずつノロノロと、しかも間違って消してばかりいる子、早く書こうとして、自分にも読めないような乱暴な字を書く子もいます。また、高学年になると、文字の「はね」「はらい」を無視した丸っこい字を書く女の子が少なくありません。チャイルド自由学園では独自の文章や文字、また詩や物語を音読させています。それに次いで複写させて書く力を育てていきます。
 
――そういう基礎的な訓練が必要だということですか。
岡田 ええ。子どもはひとっ飛びに飛躍していくものではありません。その子の環境や年齢に合った方法で、また個人差を考えてていねいに身につけていくことが大切です。幼児期は1つや2つの童謡の歌詞や曲を覚えて歌ったり、文字や数も、教えればすぐに覚えてしまいます。それだけに親としてはいろいろなことを教え込みたく気持ちになります。幼児期は、真似も、そらんじることも、どの子も天才的です。しかし、そのことと、「言葉の意味や文字を理解した」「数を理解した」こととはまったく違うのです。

――ある幼稚園で徒然草の素読をさせたところ、むろん、意味はまったく教えていないのですが、あるとき、小川の近くを通りかかった子どもが、「あっ、淀みに浮かぶ泡沫(うたかた)だ」と叫んだそうです。意味はわからなくても、素読をくり返しているうちに情景が浮かぶようです。
岡田 ええ。この頃の学校は「暗唱」という指導をしていません。詰め込み教育と誤解しているのかもしれません。昔は、幼い子どもに漢文の素読をさせました。論語(孔子と弟子の言行を書いた書物)とか孟子(中国の戦国時代の思想家)などを読ませるのですが、子どもは自分では読めないので、先生が読むのを聞いて、これを口写しに声を出して言うのです。意味の説明を一切しないでお経を読むように唱えるので素読です。合理的な学校教育が普及するにつれて素読がすたれて行きましたが、チャイルド自由学園本部教室では、この素読を幼児期から薦めています。

●目を閉じて片足で10秒立つ

――大きな鏡の前で子どもたちが片足で立っている写真(省略)がありますが、これは脳の発達にどんな効果がありますか?
岡田 幼児に小学生がお手本を見せているところですが、体の移動、姿勢の制御、発話運動、ピアノを弾いたり、物を持ち上げたりといろいろ使われる筋肉の運動に小脳は関与しています。小脳は、後頭部、脳幹の後ろにあって、大脳の下に位置し、大脳よりもずっと小さいのです。小脳のはたらきの確認のテストとして、目を閉じて片足を上げ、10秒間バランスを取る練習をしています。
――私もやってみたのですが、目を閉じると身体がグラついて立っていられませんが‥‥。
岡田 まあ、慣れもありますから。このほか、床の上にひもを置き、これにそって歩く練習をしたり、一冊の本を頭の上に載せ、バランスを取りながら歩くといったこともさせています。小脳の機能を高めるためには、神経と筋肉の協調と平衡感覚を必要とするような運動によって小脳を刺激するのも一つの方法です。

●「遊び的学習」が子どもの脳を活性化する

――次ページ写真(省略)は、幼児の粘土遊びですが、脳力開発にどんな効果がありますか?
岡田 造形的表現力や創造力の向上です。この時期は、粘土べらなどを使うことはあまりなく、素手で充分です。しかし、細かい部分を作るようになると竹べらなども必要になります。竹べらには3種類あります。穴をあけたりする先のとがった棒べら、板粘土を切るときなどに使う、切りべら、表面をなでたりするなでべらがあります。鉛筆やスプーン、割り箸のけずったものなどで代用できますから、買い揃える必要はありません。粘土の基本として、いろいろな立体の基本型(球体・円柱・円錐・角柱)をつくります。

また、粘土ひもの作り方も楽しんでいます。3歳児くらいになると、できた形に名前をつけます。はじめから何をつくるかは明確ではありません。作ってみた奇妙な形に驚いたときの印象がそのまま粘土の形の名前となって表現されます。3歳台後期になると、いろいろな動物に興味を持ちはじめます。それを単純な形ですが立体に作ります。また、粘土ひもをいろいろな大きさの輪にして、つなぎあわせると鎖のようにもなって面白がっています。

――楽しそうにやっていますね。
岡田 ええ、子どもの成長にとって、遊び的学習は絶対に欠かせないものです。遊びの中で子どもたちは、さまざまな想像をしたり、工夫をこらしたりします。その課程で、思いがけない発見や、イメージの広がり、成功や失敗、体を動かす楽しさや想像の喜びを体験していきます。この体験のくり返しの中で自由に伸びのびと心豊かな人間に成長していくのです。つまり、子どもにとっては遊びそのものが生活なのです。遊ぶことは単に遊びではなく、「学習」の一つであり創造なのです。

――お母さん方は、その辺をよくわかっていると思いますが、ついつい勉強を無理強いさせてしまうようですね。
岡田 幼児にやたらに形やむずかしい絵を教えようとすると、子どもは嫌がり、かえって絵を嫌いにさせてしまうことになります。観念的に形や描き方を教えようとしても、反発を増すばかりです。このようなときは、絵描き歌で遊ぶと抵抗なく、自然に絵を描く能力の基礎と楽しみを養います。形や色への関心は、これから学ぶ文字や色彩教育への大切な発火点ともなります。

また、折り紙遊びは、ぜひ子どもと一緒に楽しんでください。折り紙遊びは手指の運動機能の向上(巧緻性)や思考力、表現力、記憶力などを育むのに最適な遊びです。親子の間で行われる遊びとして、数百年来生活の中に生き続けてきました。お母さんが折り紙を折る手もとを見て、子どもは折り紙の折り方を覚えます。そして今度は自分が母親になったときに、またその子どもに伝えるという具合にして、人々の間に伝承されてきたものです(終)。


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