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『ラクらく受験のすすめ』より(抜粋)
●「七つの基礎力」をもった子を小学校はほしがる



小学校に入ってからの「学習する楽しさ」を子どもたちに感じてもらうためには、まず、十分な「学習の基礎力」をつけることが大切です。その「学習の基礎力」とはどんなものなのでしょうか。

「学習の基礎力」とは、「学力」とはまったく質の違うものです。もともと幼児教育では「学力」という言葉は使いません。小学校受験の出題例を見ると、数量、感覚量、図形といった、小学校一年生から三年生にかかる頃までの算数の内容の一部が幼児にわかるやり方で出題されています。こうした小学校の学習の内容に、ダイレクトに結びつく課題を理解し、解決する力を「学力」と呼びます。

つまり、「学力」とは、小学校の学習内容を先取りしたものなのです。ですから、仮に「学力」があまり身についていない状態で小学校に入ったとしても、入学後、しっかり学習すれば困ることはまったくありません。

一方、小学校に入学してから学習していくために必要な能力を「学習の基礎力」と呼んでいます。この能力は、小学校で教科書を使い、文字や数字などの記号で表されたことを理解し、授業を聞いて言葉で学習していくうえで必要になる力です。

具体的には、次に述べる七つの能力ですが、この基礎力があまり身についていない状態で小学校に入学すると、小学校の学習で苦しむことになってしまいます。
ここで、その七つの能力について説明しておきましょう。この七つの能力こそ小学校が子どもに求めているものです。

1先生の話を「聞く力」
先生の話を聞いて、その内容を理解することができる力です。言葉の意味がわかる語彙力や、文章・文脈が理解できる要点把握力などです。この力が足りないと、相手の話していることがわからず学習についていけません。ふだんから、子どもとの会話を多くしたり、言葉で説明して、何かを頼んだりすることで、「聞く力」を育てておくことが必要です。

2教科書を「見る力」
教科書や黒板に描かれた、絵・記号・図・文字・数字を正しく見ることができる力です。ものをきちんと見て、細かな違いを認識できる観察力が重要になります。数字の6と9を見分けられなかったり、絵を見て場面を理解できなかったりするのは、この力が足りないと考えられます。身のまわりのものをよく観察する姿勢を育てたり、違いを見つけるパズルやゲームを楽しんだりすることによって、「見る力」を育てることができます。

3位置や空間を把握する「空間の力」
上下左右などの位置関係や、長さや高さなど、空間を認識することができる力です。この力が足りないと、鏡文字を書いてしまったり、数直線上で数をとらえることがむずかしかったりします。日常会話のなかで意識的に位置を表す言葉を多く使ったり、家のなかにあるのものの「高さくらべ」などで遊ぶことによって、「空間の力」を伸ばすことができます。

4身体を動かす「運動能力」
自分の身体の動きをコントロールする力です。リズムに合わせて歩いたり、拍手したりするリズム感や、平衡感覚、ジャンプ力などです。運動能力と知的な発達は、お互いに発達を促し合います。ボール遊びやなわ飛びなど、身体を思いっきり使って遊ぶ経験をたくさんさせることで「運動能力」を伸ばすことができます。

5手先を器用に使う「生活技術・巧緻性」
字を書く、絵を描く、工作のために道具を使うといったことが上手にできるための手先の器用さです。この力が足りないと、頭のなかにすばらしいアイデアや構図、デザインが浮かんだとしても、形にして表現することがむずかしくなります。何かをアウトプットして形にするためには、手を使ったプロセスが必要だからです。ボタンをかける、服をたたむなどの生活技術を身につけることは、この巧緻性の発達を促すことにもつながります。また、工作などを楽しむことも手先の器用さを伸ばすことになります。

6課題を発見し、自分で「考える力」
与えられた課題を教えられた通りに考えるだけでなく、自分で新たな課題を発見し、考えを進めて行く力です。新しい方法や工夫を生み出す発想力や、その考えを合理的に進めるための総合的な思考力などです。この力が足りないと、学習の面でも、教えられたことしかできず、一定のところで伸びが止まってしまいます。幼児期にさまざまな体験をさせ、そのなかで「どうしてだと思う?」「◯◯したらどうなるかな?」「どっちにする?」などと問いかけ、子ども自身に考え判断させることをくり返すことによって、「考える力」「判断する力」を育てていくことができます。

7自分の考えを「話す力」
自分の考えを言葉で相手に伝え、コミュニケーションできる力、アウトプットのための言語力です。相手と話し合う会話力だけでなく、人前で意見を述べる、発表力もこの「話す力」に含まれます。この力が足りないと、自分の考えを相手に話したり、グループやクラスで、周囲の人との意見の調整をはかったりすること、つまり、先生や友だちと上手にコミュニケーションをとり、人間関係を育てていくことがむずかしくなります。いつも子どもの話にきちんと耳を傾け、相手に聞いてもらえるという安心感、だから話そうという意欲を育てることで、この「話す力」を伸ばすことができます。

こうした七つの「学習の基礎力」は、すべての学習を支える能力です。この基礎力が身についていれば、その土台の上に、本来の「学力」を築いていくことができるのです。ですから、幼児教育では、土台のないところに無理に家を建てるように、焦って小学校の学習を先取りするのではなく、この基礎力に重点をおくべきです。

幼児期に身につけておきたいこうした能力には、それぞれ「臨界期」とよばれる、その能力を身につけるのにもっとも適した時期があります。その時期を逃してしまうと、能力がなかなか身につきにくくなってしまいます。今述べた七つの能力のなかにも、発達段階のかなり早い時期に臨界期をむかえるものも多いのです。もちろん、臨界期を過ぎても、本人の努力さえあれば、その能力を身につけることはできます。しかしせっかくの時期に小学校の学習の先取りにばかり気をとられ、その結果、本来身につけておくべき基礎力がおざなりになってしまって、小学校に入学してから苦労するというのでは、もったいないのです。


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