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校長インタビュー

東京女学館小学校校長

三原 徹さん



ーー三原先生は、民間の会社(ベネッセコーポレーション)に約30年間勤務した後、公立小学校としては初めての民間人校長を務め、さらにこちらの校長に就任と、異色の経歴をお持ちです。初めての私立小学校の入試にはどの程度かかわりましたか。
三原 実際に入試問題をつくるのは、それぞれ担当の教師ですが、どういう傾向の問題にするとか、どういう能力を見るかといったことに関しては、企画の段階から私の意向を伝えてあります。

ーーとくに重視した点は何ですか。
三原 やはり素直にきちんと人の話が聞けるかどうかという点ですね。小学校6年間は人間の基礎をつくり上げる時期だと思っています。新しい知識だけでなく、いろいろな経験を積み重ねて基礎力をつけてほしい。そのためには、いろいろなことを吸収して受けとめる力が必要です。乾いたスポンジのような状態ならいくらでも水を吸い込むけれど、一杯いっぱいだと、なかなかしみ込んで行きませんからね。

それともう一つ、意外性や可能性を持っている子どもたちを育ててみたいと思っています。そういう視点で子ども達を見ますから、私どもの試験は、受験の準備で一杯いっぱいという子にはきついだろうし、私の考える子ども像とは少しずれるかなというイメージを持っています。

ーー面接に関しては、どんな感想をお持ちですか。
三原 どの親御さんも一生懸命に我が子のために準備をされていることに驚きました。礼儀作法も非常にきちっと身についているし、試験官との受け答えもしっかりしています。ただ、5歳児6歳児が自分の考えを滔々と述べるというようなことがもしあったとしても、それはやっぱりつくられたものだと思いますよ。

小学校入試というのは、そういうことが評価されるのではなく、保護者の6年間の子育ての総決算の場だと思います。保護者と学校とは二人三脚で前に進んで行かなければなりません。学校をどれだけ理解していただいているか、教育方針や指導内容にどれだけ賛同していただけているのか、その辺の理解と熱意の度合いを願書や面接で知りたいと思っています。

お子さんのありようを見れば、家庭での教育の考え方も、家庭で子どもをどのようにしつけているかというところも、おのずから垣間見えてくると思います。ですから、保護者の面接は重視しています。

●AO入試では願書を重視します

ーーこちらはAO入試と一般入試を併用していますが、競争倍率はどのくらいですか。
三原 例年、一般入試は12倍前後、AOは3.5〜4倍です。
ーー願書もごらんになりますか。
三原 一般入試の願書もAOの願書も見ます。特にAOの場合は、保護者推薦書を提出していただきますから、しっかりと拝見します。面接での質問は願書の内容に沿ったものとなります。ですから、とくにAO入試では願書を重視しています。ただ願書それ自体は評価の対象にはしていませんが、書き手の熱意というか心が伝わって来ないとか、学校案内やホームページからの切り貼りという場合、本気で入学する意思があるのかどうかと首をかしげるケースもあります。

ーーAO入試の場合、願書に書くスペースはかなり多いですね。
三原 A4で4枚です。書いていただくテーマは7つから8つあって、1つのテーマにつきA4半分ぐらいのスペースがあります。全部埋める必要はないのですが、たくさん書きたい人もいるでしょうから、スペースはそのぐらいとってあります。AOですから、私はこういう特技がありますよとか、こういうことをやりたくてこの学校に行きたいんですというふうな、いわば自己推薦書ですよね。

でも6歳の子どもに書けるわけはありませんので、保護者の方に代理で書いていただくわけです。なぜ自分の子どもを入れたいのか、どうしてここの教育がいいのかということについての思い、お考えを書いていただくという、保護者推薦書という形をとります。

ーーAOについてはペーパーテストはなしですね。
三原 ええ。
ーーペーパーテストがあると、親が一生懸命勉強させることになりますね
三原 まあ、ペーパーテストをやるかどうかは、どういう学校かにもよりますね。知的能力の高さを重視する学校であれば、しっかりとペーパーテストの勉強をしておく必要があるでしょう。ですから、学校がどういう教育を目指しているのかということときっちり整合性がとれていいと思います。

●合格と不合格の差は紙一重です

ーーAO入試と一般入試を分ける意味合いは何ですか。
三原 できるだけいろいろな資質を持った子どもたちに入学してほしいということです。集団の中には、いろいろな資質の子がいたほうがいいのです。すべて金太郎アメでは困ります。異なった資質の子がたくさんいることによって、精神的にも切磋琢磨され、お互いが幅の広い人間に育っていくと思います。

そうすると、AO入試だけでは偏りが出るし、一般入試だけというのも、そのバックグラウンドの親や家庭が見えてこないという難点があります。AOと一般に分けて入試をする狙いはその辺にあります。大変ですけれどね(笑)。

ーーAO入試の場合、ペーパーテストがありませんから、子どもを見る眼力が必要ですね。
三原 ええ。基本的に6年間責任を持って預かるということですからね。私学の場合、教師の出入りは少ないですから、あなたがOKを出した子どもの6年後はこうなっていますよと検証できるわけです。それだけ責任を持たなければいけませんね。

ただ、1人の教師が1人の子を選ぶという方式ではありませんから、ある教師の目にはそういうふうに映っても、ほかの教師の目には別に映るという場合もあります。複数の目を通して、この子どもはどうだろうということを多面的に評価・選考していますから、こんなはずではなかったというケースは少ないと思います。

ーー合格と不合格の差ははっきりしていますか。
三原 いや、募集定員は80人ですが、80番と81番はこういう違いがあるとか具体的にここがこうだったからというはっきりした差はありません。本当に紙一重です。ご縁というしかありません。
ーー姉が在校生であったとしても、妹は合格できなかつたというケースもありますか。
三原 今年もそういうケースがありました。つらいですね。

●親の考え方を押しつけないようにしてほしい

ーーこちらの学校に子どもを入れたいという保護者に向けて、メッセージをお願いします。
三原 そうですねえ。いろいろありますが、一つは、自分の子どもは今何をしたいと思っているか、何を言いたいのか、子どもの目を見て話を聞いてあげてほしいですね。親の考え方を押しつけないようにしていただきないものです。まずは子どもの気持ちをいったん受けとめてあげる。その上で、あなたはそう思うのね。でもお母さんはこう思うと、話してあげてほしい。

子どもの将来を考えて、いろいろなことをしてあげたいという気持ちはわかりますが、親の一方的な期待というか都合を押し付けていないか、その辺が心配です。2歳からピアノ、3歳からはバイオリンとバレエ、4歳からはお受験の準備のために幼児教室に通う‥‥子どもが興味を示せばいいですが、やりたくないものを無理やり押し付けてしまうと、要するに指示待ち人間になったり、自分の考えが素直に言えなくなってしまうのです。

ーーなぜ、それほど親の押し付けが気になりますか。
三原 3歳であっても5歳であっても、一人の人間として相対してあげてほしいのです。子どもだから、だだをこねることもあるでしょうし、間違ったことを言うこともあるでしょう。でも、それは間違いよと決めつけてしまったら、何で間違いなのか、どうしてこれをやったらいけないのかを理解できないかもしれません。対等な立場で子どもに向かい合うということが、子どもの精神的な成長を促すことになると思います。

 なぜこういうことを重視するかというと、そういう心が育っている子どもは、人の言うことをきちんと聞けるからです。自分の言うことを聞いてくれる親に育てられたからです。だから自分も相手の言うことをきちんと聞こうと思うようになる。子どもというのは、親のまねをしますからね。親が「こうしなさい」「それはダメ」という言い方をしていたら、子どもも幼稚園でお友達に「こうしなさい」って言っているのです。

 将来、いろんな国の人や考え方の違う人たちと共同で何かをするという場面はいっぱいあるわけです。自分勝手な主張ばかりするような人は、とてもそういう世界では生きていけません。世界で活躍するリーダーの第一の資質として、やっぱり人と自分の違いがわかった上で、自分の言いたいことを主張する、その能力が大事だと思います。

●子どもが興味・関心を示したことには口を出さない

ーー家庭での受験準備についてはどうお考えですか。
三原 まずは挨拶です。公立の学校のときにも、私はよく子どもたちに言っていましたが、掛け算の九九はできなくても生活はできるけれども、「こんにちは」と言えなかったら、人とコミュニケーションできないのです。1人では生きていけない。だから、まず挨拶だけはできる人間になりなさいと‥‥。気持ちのいい挨拶をするところから人間関係は始まります。どこの国の人であろうと、大人であろうと、年寄りであろうと、子どもであろうと、挨拶は生きていく上での基本だと思います。

 それから、子どもたちはどういう可能性を持っているかわかりません。可能性がいっぱい詰まった缶詰のようなものであって、開けてみたら中から何が出てくるかわからないぐらい、無限の可能性を持っています。ですから、子どもが興味・関心を示したことは、危険がない限りは、口を出さずにやらせてあげてほしいのです。

 もう一つは、人の役に立てる喜びを教えてあげてほしいですね。子どもはすべて、自分のために生活をしていますが、これをやってあげたらおじいちゃんがすごく喜んでくれるとか、これはお母さんのお手伝いになっているとか、どんなことでも構いません。人のためになることをするということが、人間が生きる喜びのベースにあると思うんです。

それを子どものころからぜひ体験させてあげてほしい。そうすると、40人の学級に入ったとき、みんなのために自分は何ができるだろうと考えられる人間になると思います。

ーー家庭の中だけでなく、散歩に出たら、ごみが落ちていたから拾うということも大事ですね。
三原 ええ、「道をきれいにしたら、みんなが気持ちよくこの公園を使えるよ。お母さんもやるから、あなたも手伝って」といえば、公園を使うみんなのために、私とお母さんとでここをきれいにしたんだと、それは役に立ったんだということになりますよね。おじいちゃんのお話し相手になってあげたり、毎日5分間肩をたたいてあげてもいいかもしれません。おじいちゃんの体が楽になるんだよ、喜んでいるよということですよね。そういう資質のある子どもたちが入学してもらえるような入試にしていきたいと思っています。

ーートレーニングをしなくても、子ども本来の資質を見抜ける入試にしたいと‥‥。
三原 まあ、デパートの包装紙できれいに包んであるものと、100円ショップの紙袋に入っているものと、どっちの品物がいいですかといったら、デパートの包装紙に包まれている品物のほうがきれいに見えますよね。でも、中身が問題なのです。その中身は家庭でつくるものです。包装紙に惑わされないように、中身をしっかり見たいと思っています(笑)。
ーーありがとうございました。




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