連載企画 願書・面接資料の書き方

第7回


「キラリ光る志望理由」は長文から生まれる

わが子が生まれたときから私立に通わせたいと思っていた、幼児教室に通う2年前から、志望理由ははっきりしていた‥‥など、「志望理由」は決まっているという人が多いと思います。当然ですね、私立を受験するつもりなんですから。そういう人にとっては、志望理由は願書を提出するちょっと前に考えればいいし、すぐにでも書けると思っているかもしれません。

しかし、願書を書く前というのは、志望理由が頭の中できちんと整理されているわけではありません。書きたいことがバラバラになっていっぱいつまっているだけです。一般的に、頭の中で考えていることは、言葉にして話す、あるいは文字に置き換えることで、すこしだけ整理されて外に出てきますが、きちんと整理されて出てくるわけではありません。試しに、考えていることをテープに録音してみてください。こんなにもまとまりのない状態だったのかと驚くと思います。ですから、志望理由は決まっていると思っていても、「何となく私立‥‥」という程度か、もしくは、「志望理由に書けない志望理由」の状態です。願書を書く前の状態の2人のお母さんに、受験を思い立った理由を聞きました。

●私は3人きょうだいの長女です。私も2人の弟も中学から私立です。私は日本女子大、弟は中学から慶應です。末の弟は大学から早稲田です。ですから、自分の子どもを私学に入れることについては、特別な理由はなく、そうするのが当たり前のことと考えていました。小学校から入れるか中学からかのちがいだけです。また、弟の子どもたち、私にとっては甥っ子ですが、1人は3年前に慶應に入りました。もう1人は去年早稲田に入りました。私の娘ですが、やはり私の母校である日本女子大附属の豊明小学校を受験させたいと考えています。志望理由は、私の母校だからとしかいいようがないのですが‥‥。

●この小学校に入れたいという理由は、学校が家から近いことと、中学受験に有利というのが本音です。でも、それをストレートに志望理由に書くわけにはいきません。面接でも、たぶん志望理由は質問されると思いますが、学校説明会やいろいろな学校行事に参加したときの印象などを交えて書くつもりです。もし、学校説明会に行けなかったときはホームページや学校案内に書かれている教育方針などを適当にアレンジして書くつもりです(笑)。

2人とも、頭の中では、まだ「志望理由に書けない志望理由」の状態です。学校説明会の時期になると、幼児教室の先生から、願書指導をうけますが、そのときになって初めて、願書に書ける志望理由は何かを考えなければなりません。しかし、いざ、書き出してみると、何を書いていいか、あるいは書くことがいっぱいあり過ぎて収拾がつかないのです。この状態で志望理由をいきなり200字程度にまとめるとなると、頭を抱えて悶々とするのは目に見えています。

頭の中で考えていることを整理するためには、「書く」ことがもっとも有効な方法です。最初から理路整然とした文章を書こうとは思わず、ご自分の気持ちを素直に書き出してみてください。それもできるだけ長い文章がいいでしょう。400字詰め原稿用紙に3枚でも4枚になってもかまいません。書いていくうちに、書きたいことがどんどん浮かんでくるようになります。1つの言葉がきっかけになって、今まで考えてもいなかった「魅力的な志望理由」がひょいと浮かんでくるかもしません。

最初のうちは、「思いつくままに書いている」のですから、話の流れがギクシャクしていると思います。この話とコレは一緒にまとめる、この話は最後にもってくる、ここの部分は最初にもってくるなど、話を整理していくと、だんだんと文章の流れがスムーズになってきます。最初の文章よりも2度目のほうがすっきりした文章になっていると思います。3度目はもっといい文章になっています。こうしてちょっと長めの文章を書き慣れてくると、キラリと光る志望理由が書けるようになります。


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