連載企画 願書・面接資料の書き方

第8回



長い文章を書くことが面接対策になる

長文の練習をお薦めするするいちばんの理由は面接対策です。志望理由にせよわが子の長所短所にせよ、200字程度の短文では決まり切ったことしか書けないでしょう。たとえば、志望理由をこう書いたとしましょう。

「個性を生かし、自主創造の精神をもつ心豊かでたくましいこどもを育てる」という御校の教育方針だけでなく、学校説明会での校長先生のお話に深い感銘を受けました。ぜひ、御校のご指導の下、わが子の成長を見守りたいと思い、志願いたしました(約120字です)。

可もなく不可もない志望理由です。何百枚と目を通さなければならない試験官の印象に残るのはむずかしいでしょう。

問題は、面接です。志望理由は必ず聞いてくると思ってください。志望理由を聞かれるのはほとんど父親ですが、願書に書いた志望理由を暗記するだけでは準備不足を後悔することになります。「志望理由をお聞かせください」と素直に聞いてくれればいいのですが、変化球を投げてきたときに打ち返すことができるのかどうかです。以下の質問は、いずれも学校のことをどれくらい理解しているかを知りたいための質問例の一部です。

・本校を知ったきっかけは何ですか
・本校のことはどれくらいご存知ですか
・男子校(女子校)を選んだ理由は何ですか
・カトリックの中で、とくに本校を選んだ理由は何ですか
・本校の受験をいつ頃からお考えでしたか
・本校の教育方針について、どうお考えですか
・学校の教育方針と家庭の教育方針の何が一致していますか
・本校の良さをお子さんにどう説明しましたか
・本校のどういう点がお子さんに合うとお考えですか
・志望理由に関して、願書に書かれたことに付け加えることは何ですか

「本校の良さをお子さんにどう説明しましたか」と聞かれたとき、準備なしで答えられますか?
「本校を知ったきっかけは何ですか」と聞かれて、「志望校は女房が決めました」、「御校のことは、女房はよく知っていますが、私は何も知りません」などとは口が裂けてもいえませんね。
「本校のどういう点がお子さんに合うとお考えですか」に的確に答えるには、志望校の教育方針を理解するだけでなく、わが子の教育方針との接点は何を答える必要があります。
「志望理由に関して、願書に書かれたことに付け加えることは何ですか」に対して、「何もありません」では、願書の志望理由を丸暗記しただけだと見破られていまいます。

前置きが長くなりましたが、長文を練習することが即面接対策になるという理由がおわかりになると思います。たとえば、志望理由を800字にまとめるとなると、志望校の教育方針はもとより、わが子はどんな子に育ってほしいのか、そのためにどんなことに気を付けて育児をしてきたかなど、上に列挙した過去の質問例の大半に触れることになります。書くことによって、頭の中にぎっしり詰まっていた断片的な志望理由が整理されます。書くことによって、「志望校の教育方針」と「わが子の教育方針」に接点が見えてくるようになります。2〜3度、長い文章を書いておけば、面接で答えに詰まるという事態は避けることができます。



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