グループレッスンはできない子を踏み台にしてしまう
アナックでは、一対一のプライベートレッスンが原則です。集団の中には、授業が先に進んでいる子どもと遅れてスタートした子どもが混じり合っています。
集団の中で自分のことが何か言える、伝えられるという能力は、生まれもった資質もあるし、教えられ訓練されて身につきます。そういう子どもは、どんな集団の中でも、しっかり発言し、自己主張できます。しかし、集団というのは、そういう子どもに踏み台にされてしまう子どもたちが大多数というのが現実です。
10人のうち3人の子どもがよくできて、何人かのできない子どもがいた場合、よくできる子ができない子に教えてあげるような光景をみると、いい関係に見えるかもしれませんが、実は、教えてもらっている子どもはコンプレックスを持ってしまうのです。逆に教えている子どもは優越感を抱きます。
人より先に手が上げられる、先生に大きな声で言えるというようなことが、一方は優越感を生み出し、一方は劣等感を生み出す、それが集団教育の現実なのです。
よくできる子の縁の下の力持ちのようになってしまう子どもたちのほうが気になるのです。だからこそ、アナックでは一対一の教育を原則としているのです。どの子も生かせるようになってからグループ指導を行えばいいのです。
一人の教師が何人の子どもを指導できるかを調べたことがあるのですが、3人以上は無理です。どうしても教師の視野に入らない子がでてきてしまうのです。
アナックの教室の広さは6畳くらいの部屋に先生1人と子ども1人です。部屋を仕切ってはどうかという声もありますが、やはり隣の子どもが気になって効率が悪いのです。小学校受験のためというよりも、子どもの学習効果をあげるために一対一のプライベートレッスンにしました。経済効率から言えば、ほとんどボランティアに近い状態です。
そもそも、同時に、同じ教材を与えて指導するのは矛盾しています。顔かたちがそれぞれ違うように、子どももって生まれた資質や能力は違うのです。仮に3人でも、それぞれ子どもの状態は違うのです。また、その日によって1人の子はやる気がなかったり、1人の子はやる気があったりします。そんな状態の子どもをひとくくりにして教育するのは、理想論かも知れませんが、やはり無理なのです。3人のうちの誰かにしわ寄せがくるのです。
一対一のプライベートレッスンを1年間続け、子どもの様子を見た上で、徐々にグループレッスンを導入して行きます。その場合でも、優越感や劣等感を感じさせるのではなく、協力しあいながらできるようなグループだけ、あるいは能力に差がない同じような子だけを一緒にするようにしています。
社会性は集団教育で身につくという考え方は間違い
小学校受験では何人かでこれを一緒にやりなさいという試験があります。一対一の教育では集団に慣れないと不安をもつかもしれませんが、基本的にはみなさん幼稚園や保育園へ行っていますから、集団行動には慣れています。幼稚園などの集団できちんとしたことができていれば、集団に関してはそんなに問題はないと考えています。
集団の中で指導しなければ社会性が身につかないと考えている人が多いのですが、そんなことはありません。社会性というのは、グループの中にいて、私が私でいられるという自信から生まれるものです。慣れから生まれるものではないのです。だから自信をつくってあげれば、どこへ行ってもおじけつかないでものが言える子どもになりうる可能性が高いのです。
言い換えると、子どもに自信を持たせてあげることが学習効果に大いに関係するということです。プライベートレッスンというと、何かやさしいことをやっているのですかと言われますが、現実はグループレッスンの何倍もの量をこなしています。
一対一のプライベートレッスンは子どもだけでなく、お母様方の場合にも一対一としています。以前はお母様の面接は集団でやっていたのですが、一対一にしないと、こっちから言うだけで本音が出て来ないのです。一対一になって初めて自分の考えと主人の考えが違うとか、本当の悩みが出てきます。
プライベートレッスンとグループレッスンとでは、むろんいろんな考え方があると思いますが、子どもはいろんな子がいる中で育てた方がいいというのは、幼稚園や保育園で学べばいいことです。幼児教室や進学塾が幼稚園や保育園と同じことをしていたのでは、高い月謝を払っている意味がありません。プライベートレッスンは学習効果を上げるためです。
子どものアンテナはどっちを向いているのか
今まで教えた子どもたちの成長記録を洗い直してデータ化してみると、一つのことを教えるのに子どもによってアンテナの方向が違うことがわかりました。これはシュナイターもユングも言っていたことです。これが体系化できれば、幼児期の学習にきわめて効果的な手法が開発できると考えています。
どういうことかと言いますと、例えば、この子にとってはこっちの方向でものを言っても全然伝わらないことがあるんですが、別の方向から働きかけるとすっと理解してもらえるということがわかりました。
例えばしつけでも、いくら言ってもきかないんですというお母さんから話をきいてみると、どんなときに叱るか、どんな叱り方をするかがいつも一緒です。ところが子どもはお母さんの言うことをきかない。
そこで、例えば、食卓の上に乗ってはいけないと教えるときに、テーブルは御飯を食べるところだから、汚れるからだめでしょうと、いくら言っても子どもは聞かない。そうすると、この子どもは理屈がわかるアンテナの感度がちょっと低いということがわかる。しかし、感情を受け止めるアンテナの感度はすごく高いかもしれません。あなたが机に乗っちゃって机さんは悲しいわよという一言でやめるかもしれないのです。
子どものアンテナが、どっちの方向に向かっているのか、幼児教育に携わる人間としてもとても大事なことだと思っています。それによって、子どもに主体性をもたせるか、先生が引くか、この子だったらこっちが出ていくのか、どういうレッスンの仕方をどういう順番で組み入れたらいいのか、ごほうびを後にもってくるのか、先にもってくるのか‥‥みんな子どもによって違ってくるからです。私どもが一対一の指導にこだわる理由はここにあります。