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合格請負人の技

麹町慶進会 島村美輝さん


第2回


●資質・能力を最大限に引き出すのが幼児教室の役割
 
幼時教室というのは、はっきり言えば客商売です。サービス業ですから、お金をいただいてその分をお返ししなければならない。合格させるだけでなく、小学校に入ってから大きく成長するよう指導しなければいけない。そうすると、ただペーパーをやるだけでは、いただいたお金の何分の一しかお返ししていないことになる。全部お返しするくらいの気持ちで子どものお世話をしなければいけないと思っています。

先ほど、幼児期には「集団の教育」が大切だと申し上げましたが、私どもの教室は子どもたちから「慶進会幼稚園」だと言われています。幼稚園のように楽しいということなんでしょうが、むろん幼稚園と同じことをやっているわけじゃありません。小学校受験のための教室ですから、父兄が希望する学校に合格させなければならないことは言うまでもありません。

そこで、お母さん方に考えていただきたいことは、希望する小学校でほしがるような子に仕上げるのが幼児教室の役割と皆さん思うでしょうが、そうではありません。すべて人間というのは生まれたときから親の資質を受け継いでいます。もって生まれた器というものがあります。その子のもっている資質とか能力を受験の時点で最大限に引っ張り上げるのが、幼児教室の仕事です。ここをしっかりお考えいただきたいのです。

親から引き継いだ資質の範囲内で最大限引き上げてあげれば、その子の能力に合った学校には必ず入れます。ところが、試験に失敗するケースがあります。子どもというのは、ほんのちょっとしたことで、体調を崩したり、緊張して、それまで簡単にできた問題ができなくなってしまう場合があります。

試験が近づくと親が神経質になってくるから、子どもにとってよかれと思ってしてあげたことが逆効果になってしまう。例えば、受験前に風邪をうつされたり、ケガをするのが心配だからと幼稚園を休ませる親がいます。これはやめたほうがいいですね。試験直前までは幼稚園にはコンスタントに通うべきです。

ふつう、一〇月の日曜日になると、どこの幼児教室でも模擬テストがありますが、これもやたらに受けさせないほうがいいでしょう。子どもは、親と一緒に過ごしたり、友達と遊ぶ自由な時間がなくなるとストレスがたまります。だから、試験直前の過ごし方は普段通りが原則です。つまり、受験に失敗するのは、親が原因になっていることが多いということです。

●習い事は一つ、週のうち二日は何もしない日にする
 
いろいろなタイプの友達をつくり、よく遊ばせることが大切です。ところが、最近の子どもは習い事が多すぎます。お母さんに一週間のスケジュールを見せてもらうことがあるんですが、幼児教室だけじゃなく、体操教室もあれば、ピアノ等のお稽古事もある。最悪なのは毎日スケジュールが埋っていることです。せめて七日間のうち二日でもいいから、習い事のない日をつくり、自分の意思で遊んだり、絵を描いたり、公園に行く日をつくるようにすることが大切です。

ついでに申し上げると、子どもが拒否反応を示したからといって、一つの習い事を一か月か二か月で辞めさせてしまう親が少なくないのですが、あまり賢明とは思えません。どんな習い事だって、ある時期、必ず壁にぶつかります。そのときにかわいそうだからと辞めさせてしまう親は受験に失敗するケースが多いのです。

幼児期に習い事をさせるのは、我慢することを覚えさせるためです。どんな習い事でも、あるラインを超えないと達成感は得られません。我慢することがないとか、壁にぶつかることがない習い事というのは単なる遊びです。だから習い事は一つで十分です。

幼児教室を掛け持ちする人もいますが、幼児教室は一か所でいいんじゃないでしょうか。私どもの場合は一か所でいいように一回の授業が二時間、三時間あります。そんな長い時間、大丈夫ですかと聞かれます。ずっとペーパーをやっているわけでなく、行動観察も製作も、遊ぶ時間も、おやつの時間もあります。子どもは飽きるということがありません。二、三か所通うのも選択するための方法論としては間違いではありません。ただ、いずれ最終的にはメインとなる教室を一つに絞る必要はあります。

●仕事をもった母親は受験に有利
 
ピアノやスポーツ等の習い事は一つでいいと前述しましたが、もし、私どもの塾がペーパーオンリーというのであれば、習い事は多くてもいいのです。しかし、私どもに限らず、一般的に幼児教室ではペーパーだけでなくすべてやります。

ということは、私どもに関していえば、いろいろな勉強を、個々の子どもの発達段階に応じて、しかも一年とか二年というスパンでコントロールできるだけのマネジメント力を個々の教師がもっているということです。しかし、子どもに習い事をたくさんさせているお母さん方に、こうしたマネジメント力があるかどうかが問題なのです。能力がないというのではなく、慣れていないのです。

ここでちょっと面白い傾向があることを紹介します。最近、受験に成功する親を見ていると、仕事をもっている母親とか、以前仕事をもっていた母親のほうが合格率が高いのです。仕事をしている母親は合格しないという間違った常識がまかり通っていますが、そうではないのです。現実にはお母さんが仕事をもっていても合格している例はたくさんあります。

どんな仕事であれ、すべて仕事には段取りと手順が不可欠です。一か月後に完成させなければならないという仕事であれば、いつから、どんな材料を使って、誰と・・・・といったことを前もって考えなければ仕事は前に進みません。行き当たりばったりではうまくいきません。
 
小学校受験もそれと同じです。ゴールまでの間に、何を、どう勉強させるかを考えなければなりません。その学校の正確な情報を入手することも必要です。小学校受験もきちんとした段取りと手順がなければ成功しません。その点、仕事をもっているお母さん方は日々段取り・手順の世界で生きているのですから、そのノウハウを子どもの受験に生かせるということになります。


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