はじめての幼稚園・小学校受験



第13回●チェックが厳しくなった「過度にトレーニングされた子」


ペーパーテスト一辺倒から、行動観察や個別考査を取り入れる学校が多くなっています。その狙いは、先生の指示をきちんと聞くことができるか、自分勝手な行動をしないか、友達と仲良くできるかなどをチェックするのが主な目的ですが、もう一つ、学校側は意外な目で子どもたちの一挙一動を観察していることを知っておいてください。「過度にトレーニングされた子」かどうかをチェックしているのです。

募集要項の中に、「受験準備を目的とした学習は必要ありません」「基本的な生活習慣が身に付いていれば十分です」とわざわざ明示する小学校が少なくないようですが、額面通りに受け取る保護者はいないと思います。幼児教室などでトレーニングを受けなければ合格しないことは周知の事実です。にもかかわらず、あえて就学前の学習は必要ないと強調するのは、入学後に過度のトレーニングが原因と思われるさまざまな弊害がでているからです。

教師の言うことを聞かない、注意すると反抗的な態度をとる、授業に集中できない‥‥そんなことは公立の小学校のことで私立は関係ないと思うかもしれませんが、私立でも現場の先生方が“学級崩壊現象”に手を焼いているのが現実です。

注目したいことは、こうした「困った子どもたち」の多くは、ペーパーテストの成績がいい、面接や行動観察・個別考査でも高い評価点をとっているという点です。なぜ、そんな矛盾したことが生じるのかというと、これまでの評価方法では入学後に困った行動をとる子どもを見抜けないのです。

ペーパーテストで高い点をとるには、かなりの枚数をこなす必要があります。行動観察テストでは、積極的に行動したか、リーダーシップをとったか、行動がキビキビしているか、試験官の問いかけに対して、自分の考えていることをはっきりと言えたかなどのほか、みんなと一緒に行動できないお友達を助けてあげたかといったチェック項目があると思いますが、実は、幼児教室では、そうしたチェック項目に沿って、「こんなときはこうしなさい」と指導していますから、どの子も、お行儀はいいし、行動はキビキビしているし、試験官から問いかけられれば、明るく元気よく答えます。泣いている子がいれば、「どうしたの?」「大丈夫よ」と慰めてあげます。どんな言葉をかけたらいいかも教えられています。当然、これまでの評価方法なら高い評価点がつくでしょう。

こうして高い評価で入試をクリアした子どもたちの中に、入学後に困った子に豹変するケースが目立って増えてきたのです。ある学校関係者は「この子たちは豹変したのではなく、地が出たのです。これまでいい子を演じてきたけれど、入学してしまえば演技をする必要はなくなります。これまで抑さえつけられていた反動として、教師の言うことを聞かない、自分より力の弱そうな子をいじめるなどの行動に出ます。中には思いがけない素顔を見せる子どももいます」と言います。

このため、ある学校では、ペーパーテストを幼児教室でトレーニングされていなくてもできるレベルにするほか、行動観察や集団行動などの評価法を変えています。たとえば、教師から質問されたときに真っ先に手をあげたり行動しなくてもマイナス評価はしない、決められた時間内にできなくても、じっくり考えていると思われるときはマイナス評価をしないなどのほか、第一印象がぱっとしない子(地味な子)であっても、時間をかけてその子の本当の良さを観察するなどです。

これまでの評価法を変えるという学校はまだ少ないのですが、「過度にトレーニングされた子」「試験慣れした子」にどう対応するのか、各校とも頭を悩ませていることはたしかです。幼児教室に通わせなければ合格しない、しかし、過度にトレーニングされた子は敬遠されるというのですから、保護者としては悩ましい問題です。




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