連載企画 願書・面接資料の書き方

第12回



学校説明会の感想文を提出し、その直後、校長先生から会いたいという電話をもらい、この時点で事実上の内定となったケースを第12回で紹介しましたが、もう1校の合格校である青山学院初等部に提出した「面接資料」の記入例です。この父親はマーケティングの専門家です。「売り込む技術」のプロが書いた「面接資料」です。

入学願書や面接資料は、コネクションがない限り、受験校が最初に個々の志願家庭を認識・判断する資料です。好きな人に最初に出すラブレター、あるいは絶対に結婚したい相手への釣書のようなものなのです。また、受験校にとっては、志願家庭を判断する重要資料であり、特に面接試験での参考資料となります。

面接時での参考となる情報の内容としては、志望動機、志望校に望むこと、家庭の教育方針、子供の状況(性格、学習状況、長所・短所)などです。入学願書・面接資料はこれらの基本的な情報を知るためのものであり、本番の面接は実際にそれを確認し、合否を判断することです。志願家庭側からすれば、入学願書・面接資料が面接試験を自らの得意な分野で話ができる場面を創り出すものなのです。表現は不適切かもしれませんが、質問の記入内容に、少しでも自らがイニシアティブをとれる罠を仕掛けておくことが重要です。記入内容を呼び水にして、面接の質問内容を自分が訴求したいものに誘導するのです。

青山学院初等部の面接資料記入例

質問項目

記入例

訴求ポイント
印は想定される質問)
初等部は、どのようなことでお知りになりましたか 親しくお付き合いさせていただいております、現在3年生の○○△子さんのお父様から海の生活での2.2Hの遠泳、雪の学校、洋上小学校のお話を伺いました。その後、親子でファミリーフェア、オープンスクール、運動会を見学・体感させていただくことで貴校を知ることができました。 ・ 全て見学・体験していますよ
・ 事前にしっかり関係者の話も聞いていますよ

見学された感想・共感されたところは?(海の生活の具体的な活動と家庭での活動の適合性)
どのような考えで教室、お稽古等を経験させているのかお書きください ○○スポーツクラブで、水泳を週1回、3年間休まず楽しく通い、目標としておりました100m以上を泳げるようになりました。自らが興味のあることを学習し、目標をつくりそれを親子一緒に達成する喜びを通して、自立していくことを望んでおります。 ・ 教育方針を具体的な日々の活動で親子一緒に実践していますよ

幼児教室には?(自らがおもしろくて楽しいからと幼児教室にも通学しておりました)
初等部の、どのような点にご賛同になって、本校をお選びになりましたか 私どもの教育方針は「思いやりと自立」を体験の中で親子が共に育んでいくことです。公園や児童会館へ出かけ、多くの子供たちと交わることで、人との関係や心を理解できるように努めております。

また、水泳のように自ら目標を決め修練し、さくらんぼが大好きで三年間毎年、山形県の寒河江までさくらん狩りに行き、その生態を観察する体感的な教育を親子で心がけております。

貴校の真に「人を人として育てる」教育、他者と「共に生きる」生き方、「感じる心」「考える力」「行動する活力」を大切にした教育を日々の授業や行事を通じて、親子で学ばせていただける点は、私どもの「思いやりと自立」の体験育成に通じるものがございます。

例えば海の生活での遠泳や自然観察、学校と家庭がつくりあげていくファミリーフェアなどはまさに貴校の実践教育のひとつであると思っております。キリスト教教育に関しては、母親が○○中学校の出身者であり、日常の中で人への思いやりを自然に育むことを体験させていただいております。

貴校で、6年間を共に過ごさせていただくことで、共に生き、思いやりと自立を育んでいきたいと願っております。
・ 教育方針を具体的な日々の活動で親子一緒に実践していますよ
・ 貴校の活動を体験して、その精神を理解して上で、私達の家庭の方針と合っていますよ
・ 6年間、家族全員で貴校に学び、共に生きていきたいですよ

他にどのような実践的な教育をされてこられたのですか(第十一回の学校説明会の感想文ように親子一緒に、動物園や水族館、山や海に出向き、自らの体験的活動を楽しく家庭での実践的活動、ボランティアー阪神淡路大震災、自転車の購入と乗れる練習等)

お母様の出身中学校は、どのような教育を?
お子さんの生活について、お子さんが思い通りうまく育っている点や、思うようにいかない点などについてお書きください 水泳など、自分が興味を持ったことに関しては、目標を持って自ら積極的に納得するまで行動することやどんな環境におかれても誰とでもコミュニケーションがとれることは、うまく育まれてきていると思っております。
ただ、生活面において、忘れ物が多くあわてんぼうのところがあります。

・ 上記で述べている「思いやりと自立」が育まれていますよ

そのあわてんぼうについてはどのような対応を?(忘れ物をしたその時に、なぜしたのか、どうしたらしなくなるのか、自分も困るけど、助けてくれた人への感謝や迷惑等を親子で考え話し合っている。性格はそれでもなかなかうまく直りませんが、継続して対処していくことが大切です)

志望する学校側の立場になって考え、自らの家庭と相性が合うポイントはどこなのかを見つけ出し、そのポイントを基に自分の子供、家族が実践してきたことを素直な気持ちで書くことです。実践してこなければ、先生方の心の琴線にふれるものは書けません。私の場合は「思いやりと自立」という家庭の方針を軸に、
 面接時は、その願書・資料をみながら質問されますので記載内容は必ずコピーをし、面接試験前には記入した内容、その内容から考えられる質問を想定し面接に臨むことです。

下記は、入学願書・面接資料を書く時のポイントです。

・ 受験校の募集要項をよく読んで教育方針、授業内容などを再確認する。
・ どのような家庭(子・両親)を合格にしようとしているのかをイメージし、書いてみる。
・ 文化祭・運動会、学校説明会に出席した時の生の情報を収集し、自分の家庭との適合性をまとめた前述のリポートを書いてみる。
・ どのような家庭を築き、わが子にどのようになってほしいのか
・ そのために、父母は日々の生活の中でどのようにわが子と接しているのか、育てているのか(躾、自然観察、遊び、食事など)
・ 受験校の方針と家庭の方針との適合点を明確にし、箇条書きにする。
・ 在校生の父母や生徒の学校生活の状況を聞き、自分の家庭との適合点をみつけ、箇条書きにする。承諾が得られれば在校生の名前も記入し、リアリティをもたせる。
・ 受験校の具体的な質問項目に対して、上記の作業でのアウトプットを基に、自分が訴求したいポイントを意識した回答を記入する。
・ この回答をみて、面接試験の先生方がどのような質問をされるのかを想定し、その回答をイメージして記入する。



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