連載企画 願書・面接資料の書き方

第13回

今回は、岡さくらさんに原稿を書いていただきました。岡さんのお子さんは、去年、難関校の一つといわれている小学校を受験し合格しました。岡さんは、お子さんを幼児教室には通わせず、家庭で指導し、合格させることに成功しています。受験を思い立ってから合格までの一部始終をブログ「20万円でお受験に成功した」(http://gokaku.seesaa.net/)で公開しています。岡さんの原稿は3回に分けて掲載する予定です。

【岡さくらさんの略歴】
小学校から高校まで私立女子校、大学で外国語を専攻。卒業後、大手商社で海外営業・事業計画を経験し、キャリアアップのためにアメリカのビジネススクールに留学し、MBA取得。現在は、マーケティング・事業計画の仕事に従事。仕事と2児の育児との両立に奮闘。楽天家の夫と4人家族。



「わが子の長所短所」の書き方@子どもの性格分析法

多くの学校の願書やアンケートには、子どもの性格・性向を記入する欄があります。単に性格、性向といった言葉で書いてある場合もありますし、長所・短所という言葉で書いてある場合もあります。どのような質問のされ方であっても、子どもの性格を長所も短所も含めて把握し、学校に説明できるようにしておくことは、願書対策、面接対策の両面において大変重要です。この際、長所も短所もしっかりと把握し、適切な表現ができるようにしておくと良いと思います。

一般的に、願書の記入は、母親が下書きを書き、父親がチェックするというケースが多いと聞いています。むろん、その逆もあるでしょうが、できれば、両親が別々にわが子の長所・短所は何かを考えることをおすすめします。子どもの性格や健康状態といったことは母親が聞かれるとは限りません。母親に質問した後、お父様はどうお考えですかと聞かれるケースもあるようです。「わが子の長所短所」「志望理由」などを、どう記入するかは、両親共通のテーマとしたほうがいいでしょう。

まずは、紙と鉛筆のセットを2組用意します。父親と母親が1組ずつ持ち、子どもの性格で思いつくことを片っ端から書いていきます。父親と母親はお互いに相談せずに、別々にこの作業をします。そして長所・短所の分類を気にせずに、どんどんと書き出していきます。

いざ紙に向かって自分の子どもはどんな性格だろう? と考え出してみると、意外とむずしいことに気がつくと思います。自分の子どもなのに、毎日接しているわが子なのに、「ン?」と考え込んでしまうこともあるでしょう。また、ああいうことはどういう言葉で表現したらよいのだろう? と言葉の選択に悩むこともあるでしょう。

そうなのです。人間の性格を記述するのは実にむずしい作業なのです。それは、日頃の特定の人の行動や発言のパターンから自分が感じることを具体的に思い浮かべて、その特長を言葉で纏め上げる作業だからです。ましてや、自分の子どもともなれば実に密接な繋がりなので、普段から客観的な視点で観察することはほとんどないと思われます。ですから、なおさらむずかしいのです。

普段の子どもの様子を思い浮かべて見てください。どんなことが思い浮かびますか? それからどんな性格だと言えるか考えて見ましょう。

ウチの子は動物が好きだ。小さな子どもにも優しく接する。母親が疲れた顔をしていると「だいじょうぶ?」と気遣う。だから「優しい」のだろう。
ウチの子はピアノの練習が好きだ。間違えて先生や母親に注意されても一人悔し涙をじっと流しながら歯を食いしばって練習を続け、発表会では見事な演奏をした。だから「粘り強くやり遂げる」性格だと言っても良いだろう。
ウチの子は人の話を最後まで聞かずに「わかったよ〜!」と言いながら直ぐにどこかへ行ってしまう。少しでもできないと「や〜めた!」と言って投げ出す。だから「短気」なのだろう。
ウチの子は何か注意されると「だって、こうだったんだもん」と反論し、親の注意を聞き入れない。それなりの理屈は通っているが、人の意見を聞かないところがある。だから「頑固」だろう。
‥‥という具合です。

子どもの日常の風景をあれこれと具体的に思い浮かべないかぎり、子どもの性格は言葉で表せないのです。ですから、この作業には意外と時間がかかります。父親と母親のそれぞれが、丸3日くらいかけて、紙にどんどん書き出していきましょう。

具体的に、どのようなことがあってそのような性格だと思えるのかを簡単にメモします。初めは要領がつかめなくても、用事をしながらでも頭の中で「ウチの子はどんな子?」と考えているうちに、2日目を過ぎた頃からびっくりするほどいろいろなことが見えてくると思います。そういえばこんな面があった、あんな良いことも、こんなことも、と‥‥。それをどんどんと書いていきましょう。

3日経ち、だいたいこんな感じかなと思ったら、夫婦で結果を持ち寄ります。結果を互いに見てどうでしょうか? 合致する点も勿論いろいろあるでしょうが、相手ならではの見方があることにも驚くことがあると思います。合致する点は、まさに両親から見た子どもの性格ですから、間違いなく子どもの性格だと言えると思います。父親と母親が個別に書いた点は、お互いによく話を聞き、受け入れ、または異論があれば議論すると良いと思います。

このプロセスこそが、夫婦が共に子どものことを客観的に見ようする素晴らしい作業だと思います。そしてある意味でこれまでの子育ての振り返りを二人でしていることとも言える貴重な話合いではないでしょうか。




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