合否はどのように決まるのでしょうか。中学高校受験などと違って、ペーパーテストの成績順では決まらないところに、幼稚園・小学校受験のわかりにくさがありますが、基本的には、子どもの成績と親の面接で決まると考えていいと思います。親の社会的地位とか経済力や縁故が合否にからむのが現実ですが、それが小学校受験の特殊性だくらいに割り切ってください。おカネも縁故もないから不利などと考えずに、学校側が「この子・この家族がほしい」と思うのはどんなときか、そっちに発想を切り替えたほうが賢明です。
1つは、子どもの成績が抜群にいい場合です。ペーパーテスト全盛期は5〜7校にすべて合格した子もいました。行動観察系の試験のウェイトが高まるにつれて「オール合格」のケースは少なくなりましたが、それでも、幼稚舎をはじめ、難関校といわれるところを総なめにする子がいます。「優秀な子」は、どの学校もほしいのてず。優秀なお子さんであれば、親の面接でちょっとくらいミスをしても合否には関係ないでしょう。子どもの成績がいくらよくても、親の面接でしくじれば不合格になるという人もいますが、そもそも学校というところは教育機関です。優秀な子の確保は最優先課題でしょう。人気校や縁故が多いといわれる学校ほど、おカネとか縁故とは無関係に力のある子を喉から手が出るほどほしがっているのです。
次に、学校側が「この子・この家族がほしい」と思うのは「親という要素」です。校長先生の立場になって考えてみると、どんな「親」がいいかは何となく見えてくると思います。きちんと月謝を払える親、いろいろな行事に協力してくれる親、ちょっとくらい問題が起きても学校にクレームをもちこまない親、在校生の保護者とトラブルを起こさない親、新聞沙汰にならない親‥‥などです。どんな親かは、面接時の印象に左右されやすいということを知っておいてください。10分たらずの面接時間の中で、面接官は、「この親と6年間つき合っていけるかどうか」を推し量っているのです。油断できませんね。
親の社会的地位や経済力が面接の評価に微妙に影響を与える場合があります。警察庁キャリア(上級職合格者)の父親の場合、「保護者として、いろいろとご協力いただけますか」と聞かれています。抽象的な言い方ですが、学校に不祥事が起きたようなときは相談に乗ってくださいという意味です。「この子・この家族がほしい」という典型例かもしれません。縁故が有利というのは、親自身には影響力がなくても、親の背後にいる人脈の存在が学校経営にプラスになるからです。寄付金をドカンと積んでくれる親も、いうまでなく「この子・この家族がほしい」というケースです。
コネもない、カネもない、子どもは特別に優秀というわけではない‥‥学校側から見て、「この子・この家族がほしい」というものが何もないという場合、合格の可能性はほとんどないかというと、むろん、そんなことはありません。受験する親の大半は、「この子・この家族がほしい」というものは何もない、つまり「ウリ」になるようなものは何もないと思っていますが、「何もない」のではなく、気づいていないだけのことです。
そうはいっても、代々サラリーマンの家庭だから財産はないし、親類縁者に有名人がいるわけでもないし‥‥「ウリ」になるようなものは何もないという人が多いと思いますが、おカネや縁故を探すのではなく、ご自身がどんな考えでお子さんを育ててきたか、それを「ウリ」にしてはどうでしょうか。たとえば、どんな時代、どんな環境下でも、自力で切り開いていけるような生き方をしてほしいと願っているなら、無意識のうちにも、「自分で考えなさい」「自分のことは自分でやりなさい」という育て方をしてきたと思います。何かエピソードもあると思います。それを願書や面接で強調すればいいのです。
「御校の教育方針に共感した」「在校生の親に話を聞いた」「在校生の行儀のよさに感銘した」など、いかに御校がすばらしい学校であるかを強調する保護者が少なくないのですが、面接官が知りたいのは、どんな子か、どんな親か、どんな方針で子どもを育ててきたのかです。「私どもはこういう子育てをしてきた、だから、御校を志望した」という答えを面接官は期待しているのです。「御校の‥‥」という話の中には、うちの学校に入りたがっているという熱意はわかっても、面接官が「この子・この家族を受け入れたい」と判断する材料がないのです。
入社試験の面接にたとえてみれば、わかりやすいかもしれません。「御社は都内の一等地にあって、通勤にとても便利です」「御社に勤務する課長のお話によると、福利厚生施設が充実しており‥‥」「御社は業界トップメーカーであるだけでなく、海外進出にも積極的であり‥‥」といくらほめられても、この人間を採用する気にはなりません。この人間を採用してどんなプラスがあるのか、その判断材料が何もないからです。あなたは会社にどんな貢献ができるのか、面接官はそれを聞きたいのです。小学校受験の面接も同じです。「この子・この家族がほしい」という材料を提供する、それが面接の場だとお考えください。