願書を見直すときのチェック・ポイント(その2)
いろいろな「志望理由」の文例を見て、気になる点の1つは文章が長いことです。願書に書く文章は「短く」がコツです。「御校の○○に深く感銘を受け、一方、○○と考えると同時に、○○については‥‥」とダラダラと続くと、読み手は疲れます。たとえば、以下の「志望理由」はどうでしょうか。
「高い学力と豊かな情操の育成」という御校の教育方針に深く感動し、同時に学校説明会でお伺いした校長先生のお話には共感するところが多々あり、こういう素晴らしい教育環境の下で人生の基盤づくりともいえる小学校生活を送らせてやりたいと考え志願いたしました。
短い文章ですから、すっと一息で読めますが、何百枚も読まなければならない先生方には、ちょっと気の毒な文章です。というのも、読点(「。」)が最後に1つしかないためです。また、句点(「、」)が少ないですね。下記のように、句点と読点と適当な箇所に入れるだけでも、少しは読みやすくなります。「読みやすい」ということは、何が言いたいかがはっきりするということです。長い文章だと、読み終えてから、さて、この人は何が言いたかったのかがわからないということになりかねません。
「高い学力と豊かな情操の育成」という御校の教育方針に深く感動しました。同時に、学校説明会でお伺いした校長先生のお話には共感するところが多々あり、こういう素晴らしい教育環境の下で、人生の基盤づくりともいえる小学校生活を送らせてやりたいと考え、志願いたしました。
逆に、下記のように、句点(「、」)がやたら多いのも読みにくいものです。句読点をどう入れるかについては、一定の決まりめいたものはありません。ある有名な作家の場合、単行本1ページに読点(「。」)は1つしかないという場合もあります。作家の場合はどうでもいいのですが、皆さんは、書き手の好みではなく、読み手の読みやすさを基準に考えてください。
「高い学力と豊かな情操の育成」という、御校の教育方針に深く感動し、同時に、学校説明会でお伺いした、校長先生のお話には、共感するところが多々あり、こういう、素晴らしい教育環境の下で、人生の基盤づくりともいえる小学校生活を送らせてやりたいと考え、志願いたしました。
ついでながら、上の「志望理由」をひとひねりしたのが下記の文案です。
豊かな情操教育の中から高い学力が身につくと考え、そうした視点からわが子を育ててまいりました。学校説明会での校長先生のお話、また、6年生の授業を拝見して、御校の教育方針のすばらしさを実感し、志願いたしました。
「高い学力と豊かな情操の育成」という学校案内に書かれたものをそのまま引用しないで、単に「豊かな情操教育の中から高い学力が身につく」と順序を入れ替えただけですが、この1行で志望校の教育方針と家庭の教育方針の接点をむすびつけることができています。また、「授業参観」としないで、わざわざ「6年生」としたのは、6年間の教育の成果を高く評価していますよと言いたいためです。