連載企画 願書・面接資料の書き方

第18回



願書を見直すときのチェック・ポイント(その3)

願書の準備は順調ですか? 文案が固まったら、いきなり願書に清書しないで、一晩寝かせて、翌朝、もう一度、読み直してください。

誤字脱字、送りがなの間違い、略字などは、1〜2か所のミスがあっても、マイナス点がつくことはないと思います。「第」が略字になっていたとか、「叱かる」(叱る)となっていても、それだけで不利になるようなことは考えられません。ほとんどはミスに気づかないで見逃してしまうと思います。

誤字脱字より注意したいのは、書かれている内容です。たとえば、ついつい「こちらの事情」ばかりで読み手のことを考えずに書いているかもしれません。読み手(校長先生)の立場になって読み返してみることをお勧めします。どうでしょうか? あなたが校長先生だったら、この保護者に会ってみたいとか、この保護者が育てた子どもなら興味があるという気になりますか? それとも何も印象も残さないで次の願書を手にとりますか?

志望理由の中でもっとも多く使われている用語は「共感」「感銘」「感動」といった言葉です。大袈裟すぎないかどうか、見直してください。「国際人を育てるという御校の教育方針に共感し」「指導に取り組む先生方のひたむきな姿勢に感動し」等々、読み手は、絶賛され賞賛されることに慣れていますから、何の感慨も起きないと思います。それどころか、「またか‥‥」「これもか」とうんざりしているかもしれません。「そう簡単に共感したり、感動してほしくない」とおっしゃっていた校長先生もいたほどです。

「登下校中の御校の児童の行儀のよさに感動」と書かれていても、「そんなことで感動するかなあ」と逆にこちらの理解不足を指摘されそうです。書いているご本人は本当に感動したのかもしれませんが、その学校を受験しなければ登下校中の児童の様子などというものは、ありふれた光景ではなかったでしょうか。

「授業を受ける児童の真剣なまなざし、先生方の指導力に感心し」と書かれていても、授業を公開しているのは、実は、何も問題がないクラスであって、本当は、先生のいうことを聞かない子、やる気のない子、集中力のない子に手を焼いているのかもしれません。私立の場合、そんなことはあり得ないと思っているかもしれませんが、そうとばかりは言い切れません。

人気ランキングではトップクラスのある有名校の校長先生から、「5月6月になると、無気力な子や教師の指示に従わない子が目立つようになる」という話を聞き、この学校でもそうなのかと驚いたことがあります。私立といっても、公立校で抱えているような問題は皆無ではないのです。表沙汰にならないか、もしくは早い段階で抑え込んでしまっただけのことで、どの学校でも、「行儀がよい」「真剣なまなざしで授業を受ける」という良い子ばかりではありません。

志望校も、そうした問題をいろいろ抱えているとしたら、一方的な「共感」「感銘」「感動」はちょっと白々しいものになります。校長先生の立場に立って、学校はどんな子に入学してほしいのかを改めて考えてみてください。この保護者に会ってみたい、この保護者が育てた子どもがほしいと思えるような志望理由になっていますか?





第1回

第2回

第3回

第4回

第5回

第6回

第7回

第8回

第9回

第10回

第11回

第12回

第13回

第14回

第15回

第16回

第17回

トップページへ