連載企画 願書・面接資料の書き方

第22回






「わが子の将来象について」という文案をいただきました。「志望校の願書には“わが子の将来像”という項目はありませんが、『願書・面接資料の書き方講座』の最初のテーマですので、とりあえず書いてみました。よろしくお願い申し上げます(京都在住)」という添え書きがありました。以下の文案は、個人情報保護のため、編集部で大幅に書き換えてあります。お含みおきください。

(原文)
娘の最大の長所は「やさしさ」です。同居している祖母(68歳)が風邪で寝込んだとき、「おばあちゃん、喉、痛くない?」と心配したり、リンゴの皮を剥いてあげたりするなど、親に言われなくても自然と細やかな気配りができる子です。ギスギスした今の世の中、こうした「人を思いやる」という娘の長所を更に伸ばし、心身共に健やかな女性になってほしいと考えております。どんな時代になっても、人と人のかかわりの根底には「心遣い」「思いやり」「愛」が必要と考えて、あえて娘には「愛」の1字をつけたほどです。いろいろな人から愛されるような生き方をするためには、幼児期に自らが愛された経験が不可欠と考えて、夫婦共々子どもと向かい合ってきました。
 
「わが子の将来象について」というテーマを願書に書かせる学校はほとんどありませんが、「わが子は将来どんな人間になってほしいか」「どんな生き方をしてほしいか」は、願書・面接対策を考える際に不可欠の課題です。マイホームづくりの基礎工事みたいな部分です。ここをしっかりと固めておくと、願書・面接対策に苦労することはほとんどありません。このため、この「願書・面接資料書き方講座」では、できるだけこのテーマから書くことをおすすめしています。

さて、お寄せいただいた文案ですか、心のやさしいお子さんに育ってほしいというご両親の願いがよくわかる内容です。「リンゴの皮を剥いて」とありますが、こういう「さりげない言葉」から、読み手は、ご両親がどんな子育てをしているかを推測します。ただ、競争倍率の高い学校を受験するのであれば、読み手の印象に残る工夫がほしいところです。「人にやさしい」お子さんであることはわかりますが、ちょっとインパクトが弱いのです。

もし、「どんなお子さんですか」と面接で聞かれたときに、「祖母が風邪で寝込んだときに『喉は痛くない?大丈夫?』と気遣うやさしさがあります」とか「リンゴの皮を剥いてあげます」では、面接官の心には残らないかもしれません。

祖母にかぎらず、ご両親も含めて、家族の誰かが寝込んだようなときに、お子さんはどんな様子だったか、寝ているお母さん(あるいは祖父母)に何をしゃべったのか、どんなことをしてくれたか、どんな顔つきをしていたかなど、よく思い出してください。どんなことでもけっこうですから、思いつくままにメモします。

この作業を2〜3日続けていると、「人にやさしい」とか「思いやりのある子」にピッタリの言葉やエピソードが見つかると思います。むろん「おばあちゃん、喉、痛くない?」「リンゴの皮を剥いてあげた」でもいいのですが、せっかく、この講座を利用するのですから、もう一ひねりしてはどうでしょうか。こういう作業を何回かくり返していると、願書対策だけでなく、ちょっとした挨拶文とかお礼状を書くときに、「いい短文」がスラスラ書けるようになります。

たかが数行の短文を書くのに、そんな手間暇をかけるなんて‥‥と思うかもしれませんが、プロの作家でも最初の1行を書き出せなくて苦労するケースは少なくないのです。まだ、願書提出までたっぷり時間があります。この段階で書く苦労をしておくと、面接対策がグンとラクになります。なお、文章の添削については、文案がもう少し固まってきた段階でお話します。
 



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