「願書・面接資料の書き方」講座でちょっと気になる傾向があります。いろいろなことを盛り込み過ぎるケースが多いのです。たとえば、「わが家の教育方針」。就学前の子どもですから、「教育方針」などと大上段に構えるほど大袈裟なことではないと思います。「どんな考え方でお子さんを育てていますか?」という程度の意味です。「まず、健康」とか「ウソをつかない」「早寝早起き」「していいこといけないことのケジメを教える」「名前を呼ばれたらハイと返事をする」「親の言うことをきちんと聞く」「ご飯は早く食べる」といったことでいいのです。ただ、これらを文章にするときは工夫が必要です(別項で説明します)。
みなさんの願書を拝見すると、けっこう肩に力が入ってしまうのか、抽象的な言葉で、しかもアレもコレもと詰め込みすぎる例が少なくないようです。以下は去年、講座に寄せられた「わが家の教育方針」の文案です(原文のままではなく、ちょっと脚色しています)。
(わが家の教育方針)
きちんと挨拶ができ、相手を思いやる心だけでなく常に感謝の気持ちをもち、自分のやったことに対して責任を持てる人間になってほしいと願っています。集団のなかではきちんとルールを守り、自分勝手な行動をとらない、また、何事も自分の考え方で行動できるようにするため、3歳くらいから意識的に「見守る」という姿勢で育ててきました。
たぶん、文面通りの気持ちでお子さんを育ててきたと思いますが、ちょっと詰め込み過ぎです。抽象的過ぎて読み手の印象に残りません。ここをもっと具体的に聞いてみたいという興味がわかないかもしれません。総花的記述よりも強調したい点をメインにしてまとめたほうがいいと思います。志望校が期待する子ども像に合わせた絞り込みも一つの方法です。「自分で考え、自分で行動する」を指導方針にしている学校であれば、後半の「見守る」という部分を強調したほうがいいと思います。たとえば、こうです。
何事も自分の考え方で行動できるようにするため、3歳くらいから意識的に「見守る」という姿勢で育ててきました。外出の際に何を着るか、お手伝いは何ができるか、おやつは2つ用意しているけれどどちらがいいか、旅行先では何をして遊ぶかなど、まず娘の考えを聞き、できるだけ希望を聞き入れるようにしてきました。その結果、自分の意見や行動に責任をもつようになったこと、さらには子どもなりの状況判断力や創造力が身に付いたように思います。
アレもコレも式記述と重点型記述の違いは何かというと、いろいろな考え方はあると思いますが、どちらが面接のときに質問しやすいかという視点からの検討も必要です。アレもコレも式の教育方針の場合、どれもこれも当たり前過ぎて、ここを聞いてみたいというものがないのです。その点、重点型教育方針の場合、「寒い日に薄着で出かけたいと言ったらどうしますか?」「子どもでは無理なお手伝いをしたいと言ったらどうしますか?」など、聞いてみたいことはたくさんあります。実は、ここがポイントです。面接官の質問を誘導できれば面接は成功したも同然です。「わが家の教育方針」に限らず、面接官がここを聞いてみたいと思うようなことを書く、これが願書・面接資料を書くときのコツです。