連載企画 願書・面接資料の書き方

第29回

●「弱点のない願書」の弱点





願書の書き方講座」に寄せられた文案の中には添削の必要がまったくないケースがたまにあります。書き手がどんな考え方で、どうお子さんを育ててきたか、なぜこの学校を志願したのかがわずか数行の文章の中に凝縮されているのです。このお母さんに育てられた子どもならテストは必要ないし、保護者の面接も不要と思えるほどです。

*いい願書の文章にはスキがありません。2〜3度読み返しても、ここは聞きただしておかなければいけないとか、ここはもっと具体的に話してもらわないと‥‥など、疑問の余地がほとんどないのです。保護者面接で突っ込まれる心配はほとんどないでしょう。形式的に当たり障りのないことを質問されるだけのことと思います。

*「志望理由をお聞かせください」など、オーソドックスな質問をするのはどんなときかと校長先生に聞いたことがあります。「原則として機械的にどなたに対しても同じ質問をします」というケースが1つです。「機械的に」というのは、願書を見ても、内容が抽象的すぎて興味を引くような記述がない場合です。もう1つは、これはめったにないケースだそうですが、とても上手に書けていて「質問する必要のない願書」だそうです。

*質問の余地がない、言い換えると「弱点のない願書」というのは、強烈なメッセージが伝わりにくいという弱点があることも知っておいてください。読んだときには、とても上手に書けていると思っても、後で思い返すと、どんな教育方針だったのか、どんな性格の子どもだったのか、とくに印象に残っていないというケースが少なくないのです。

*願書の文案が決まったら、試験官の立場になって見直してください。必要なポイントはすべて書き込んであったとしても、試験官が興味をそそられるような記述があるかどうかです。その辺が弱いと思うなら、読み手が質問したくなるような記述を意識的に盛り込んでおくことも検討してください。願書には書けなかったこと、あるいは書ききれなかったことを相手が質問するように仕向けるのです。

*「阪神大震災の直後、わが子を現地に連れて行きました」という一文をさりげなく願書に盛り込んだ父親がいますが、目論見通り、保護者面接ではその話に終始したそうです。父親がボランティア休暇を2週間とって被災地の救護活動に従事したことも、むろんPRしています。自分の得手のフィールドに面接を誘導できたのですから、してやったり! の気分だったでしょうね。

*試験官の興味を引くようなことは特にないという人が多いと思いますが、そんなに大袈裟に考えなくてもいいのです。たとえば、スポーツ一家が特徴だとしたら、むろん志望校にもよりますが、「5歳のときから少年野球に参加させて」でもいいのです。祖母が華道の先生だったら、「娘は2歳のときから‥‥」など、「家族・わが子の強み」は何かという角度からもう一度見直してみてください。


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