*学校はどんな子をほしいと思っているのか。それを頭の片隅においた上で願書の文案を練ることも大切です。ある学校では、在校生の保護者に対して、夜は早めに寝かせてほしい、朝食は必ず食べさせてほしいと要望しています。午前中から居眠りをしたり、お腹を空かして授業に集中できないという児童が少なくないためです。夜更かしをした次の朝は大人でも食欲はありません。子どもでも同じです。
*早寝早起きと三度の食事をきちん食べさせてほしい‥‥こんな当たり前のことをあえて保護者に訴えなければいけないほど、子どもの家庭環境は悪くなっているようです。そんなことは私立ではあり得ないと思っている人がいるかもしれませんが、子どもというのは私立でも公立でもたいした違いはありません。難関校や名門校にも、授業中におしゃべりをしたり、先生が叱ればふてくされたり泣き出す子はいます。ある名門女子校の講師になった人の話によると、「いわゆるお嬢様タイプの子が多い学校ですが、お行儀の悪い子が多いことに驚いた」と言っています。
*現場の先生方が困っていることが入試に反映するということは容易に想像できます。かつてある学校で衣服の着脱がテストに出たことがあります。現場の先生から、体操着に着替えるのに時間がかかる子がいて困ったことが理由だったようです。おやつを食べる様子をチェックする学校もあります。学校説明会のときに、ペーパーの勉強よりも基本的な生活習慣をきちんと身につけさせてくださいと念押しする学校もあります。「授業中にトイレに行きたいという子は生活が不規則になっているケースが多いためです」と言います。
*何人かの校長先生に、「志望理由にしてもわが家の教育方針にしても、みなさん立派なことを書いていると思いますが、合格した子はその通りですか?」と聞いたことがあります。「まあ、みなさん合格したいと必死ですからね」と、きれいごとのオンパレードになっていることを暗に示唆しています。中には「そんな子はいませんよ」と言い切る校長先生もいます。「みなさんが願書で書いているような子に育てるのが学校の役割の一つです」とも言っています。
*教育現場ではいろいろな問題を抱えている‥‥わが家の教育方針を考えるときは、志望校にはそういう実態があることもいちおう知っておいてください。在校生の保護者に「朝ご飯をきちんと食べさせてください」と注意するような状態のときに、わが家の教育方針があまりにもきれいごとだったとしたら、面接官はどんな印象を抱くか、その辺も考えておく必要があります。どこに力点をおくかは志望校によって多少の違いはありますが、「感謝」「思いやり」「好奇心」といった誰もが書くようなことを並べ立てるより、挨拶やしつけを強調したほうがいい場合もあります。